このページの本文へ

前へ 1 2 3 4 次へ

2021年企業が求めるITエンジニアとは 第1回

就職活動を控える学生・若手ITエンジニア必見の人事担当者インタビューをお届け!

“高度IT人材”獲得について企業へ取り組みを尋ねると「日本が求めているこれからのITエンジニア像」が見えてくる

2021年06月04日 18時30分更新

文● ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

KDDI株式会社:通信を基盤に“やりたいこと”に取り組み、成果を出せる人材を求める

 KDDI株式会社は近年、新卒・中途採用ともにポテンシャル以外にプロフェッショナルとしてのスキルを持つ人物を求めるように変わった。その一環として、従来の新卒一括採用に相当するOPENコース以外に、経験やスキル・志望に応じて初期配属先を確約するという配属先を確約するジョブ型のWILLコースが用意されている。

KDDI株式会社 人事本部 人材開発部 採用グループ グループリーダーの山田幸功氏

 WILLコースでは、クラウドアプリエンジニアやセキュリティエンジニア、ネットワークエンジニア、データサイエンティストなどの分野で活躍できる⼈材を求めている。たとえばクラウドアプリエンジニアならスクラム開発をする環境に配属され、そのスキルをすぐに発揮できるという。そのためWILLコースでは採用の際、スキルを大きく評価。たとえば学生時代に「ビジネス用のアプリケーション開発をしていた」や「バイトのリーダーをして工程管理からコーディングまでやっていた」ということであれば、より高く評価すると採用担当の山田氏は語る。

 KDDIが求めるのは、やり抜く力を持った人。学生時代の研究やサークル活動でもよいが「単に所属していただけではなく、問題解決のために行動していたかどうか。それにプラスでスキルがあることで成果が出せる人材という評価になる」(山田氏)のだそうだ。よって面接においても「私はこのスキルがあります。こういうことができます」と単に話す人ではなく「私はこういうことがやりたくて、それを実現できるスキルがあります」と自分の思いを持って語れる人と一緒に働きたいのだという。中途採用はポジション採用のため、求められるスキルはポジションごとにさまざまではあるものの、ベースとして求める人物像として同じような観点があるとのこと。

 KDDIで働くことの魅力は、通信という基盤を中心に、ライフデザイン、スマートフォンなどのデバイス、金融などを組み合わせて、利用者へさまざまな価値を提供できることが挙げられるという。「自分のやりたい分野と掛け合わせて仕事に取り組めるので、やれることの幅が広い企業だ」と山田氏は語る。また事業会社なので、自分が考えたものが、そのままKDDIの事業に活きていくということを直に体験できること、自分の仲間がリリースまでもっていくところを体験できることも、大きい魅力としてあるのだそうだ。

株式会社NTTドコモ:事業方針に共感し、専門的なスキルを持つデータ活用人材を採用強化中

 NTTドコモでは今年の新卒採用から、従来通り配属先を定めないオープンコースのほか、学んできたスキルを活かす部署への配属を確約するジョブ型のWILLコースを用意した。WILLコースでは、一次面接・二次面接を現場の担当者が担当する。WILLコース設立の背景には「スキルの多様化がある」と新卒採用を担当する室住氏は語る。

(写真左から)株式会社NTTドコモ 人事部 人事採用・第二人事担当 担当課長の外村彩氏、同部 人事採用担当 担当部長の松野亘氏、同部 人事採用・人事採用担当 担当課長の室住篤子氏

 なかでも必要としているのは、データ活用人材。「dアカウント」をさまざまな企業と連携する戦略において欠かせないスキルとなるためだ。具体的には、データエンジニアリング・データサイエンティスト・デジタルマーケターの3職種。こうした職種は中途採⽤においても人材確保が難しいため、新卒での育成も含めて増やそうとしているとのこと。イベントや逆求人などを使った採用もしているのだそうだ。

 採用評価基準には、さまざまな軸を選考時に確認するものの、何らかの専門的なスキルを有していることに加えて、ドコモでやりたいことを持っていること/ドコモの事業方針に共感できることを重視。新卒採用において技術スキルは必須ではないが、「ドコモに興味がある」だけでなく「大学で研究に専念している」や「プログラミング⼤会に出ている」といった実績もあれば、面談評価が⼤きくアドバンテージになるのだという。

 また選考活動そのものを「会社をアピールする場」とし、ドコモから企業の魅力や風土を選考参加者へ伝えることを非常に大切にしているとのこと。選考が進むにつれて、よりドコモのことを知ってもらい、最終的に、相思相愛での採用を目指しているのだそうだ。

 中途採用は新卒採用と違い、即戦スキルを求めると担当の外村氏は言う。また採用全般を担当する松野氏によれば「たとえばフィンテックでの経験など、他業種での経験もその方の価値である」という考えを持っているとのこと。中途採用はポスト型の採用となるが、分野・部署によって風土や働き方が異なるため、個人での開発を得意とする人は、スキルを持っていても、チーム開発を主体とするポジションしか空いていない場合は採用を見送ることもあるそうだ。

 NTTドコモは事業範囲が広く、さまざまな活躍のフィールドがある。昨今では、5GとAIを組み合わせた社会課題解決や地域創生をしたいという志望者も増えてきているという。またIoTと農業・水産業を組み合わせた第一次産業にも力を入れており、そうした分野で活躍したい人材も採用したいということだ。

ソフトバンク株式会社:良質な仮説を構築し課題解決できる人材、尖った人材を求める

 新卒エンジニアの大半が何らかのプログラミングスキルを持っているというソフトバンク株式会社。プログラミングスキルを求めるのは、通信の上で提供される新規ビジネスにおいて、ソフトウェアが重要だからだ。

 こうした人材を集めるために実施しているのが、就労体験型で採用に直結するJOB-MATCHインターン。コロナ渦のため昨年はオンラインワークショップで代替となったが、参加した人材の40パーセントが入社見込みだという。またPayPayの決済データを用いたデータハッカソンやアプリ開発のハッカソンなど、エンジニアが面白いと思えるものを題材とした催しも多数実施。こうした採用イベントを通じて、特に高いスキルを持つエンジニアにアプローチしたいのだそうだ。

 通常の新卒採用選考では、内定期間中に配属を検討するOPEN選考と、希望業務での配属を確約するJOB-MATCH選考を用意。文章より技術力をアピールしたいという志望者には、エントリーシート選考をプログラミング技術のスキルテストに代替することもできるとのこと。

 またソフトバンクでは、キャリア採用も積極的に行っている。配属先で多いのは「法⼈事業統括」と「テクノロジーユニット」。法人事業統括は、クラウド・IoT・セキュリティの3軸。テクノロジーユニットは、通信技術やAI、ビッグデータ、その他先端技術、セキュリティなど、いわゆる新技術の企画・開発分野だ。ダイレクトスカウト、リファラル社員紹介、採用イベントのほか、オウンドメディアを使った訴求もしながら、転職市場においても貴重な高度IT人材を探しているということだ。

ソフトバンク株式会社 コーポレート統括 人事本部 採用・人材開発統括部 統括部長の足立竜治氏

「ソフトバンクの企業理念は“情報革命で人々を幸せに”。それはつまるところ、課題解決の繰り返しを意味する。どれだけ本質を問う力があって、良質な仮説が立てられて、課題に対して解決に導けるかというロジカルな思考力が求められる」と採用担当の足立氏は語る。

 

 志望者へのメッセージを尋ねると「ソフトバンクは事業範囲が広く、自分で細かいコードを書く部署から、設計だけして実装は委託する部署まである。尖ったスキルを持った人も、きちんとマッチングできる採用をしていきたいと考えているので、是非、門戸を叩いてほしい」(足立氏)との回答があった。

前へ 1 2 3 4 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ