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佐々木喜洋のポータブルオーディオトレンド 第72回

ゼンハイザーの個人向け事業が、スイスの補聴器メーカーに年内移管……驚きと転換

2021年05月17日 13時00分更新

文● 佐々木喜洋 編集●ASCII

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2~3年先のロードマップは変化なし?

 ゼンハイザー製品が今後どうなるかについては分からないが、発表からは「当面大きく変わることはない」と考えられる。実際に2月に行われたHead-FiのインタビューでもJude氏が非公開で把握している将来のロードマップについても、2023年くらいまでは変化がなかったと語っていた。また、ゼンハイザージャパンによる説明会でも同様なことが語られている。

 興味深いのは、このSonovaが展開している補聴器ブランド"Phonak"では、10年ほど前にPFEというブランドでイヤホンを海外展開していたということだ。海外でも評価は高く、国内市場でも販売されることを期待していたが、日本ではPhonak製品が主に補聴器市場向けに輸入されていたため、イヤホンの販売は見送られたようだ。そうした意味ではリリースの通りに親和性は高いと言えるだろう。単に資金を余した企業が、名前=ブランドだけを欲したというのではないと考えられる。

 最近では昨年の7月に、やはり老舗のWestoneがオーディオ部門を米国のLucid Audioに売却したことが話題となった。知財権だけではなく、スタッフも移籍したようだ。この件に関しては、イヤホンの開発と生産はLucid Audioでいままで通り続け、国内代理店のテックウインドも「製品は従来通りに扱う」としてしている。ちなみに2018年には、往年のイヤホンファンにはお馴染みの「ER-4S」を開発したEtymotic ResearchもLucid Audioに合併されている。

ハイエンドヘッドホン市場のひとつの転換点か

 このようにハイエンドのヘッドホン/イヤホン業界では数年前から業界再編の動きが出ている。つまり、短絡的にコロナ禍の悲しい影響のひとつと見るわけにはいかない。先週はアップルやグーグルなども参画するスマートホームの新規格「Matter」の発表もあったが、イヤホンもまた、こうした大きな動きの一部にもなり得るということはひとつ頭の片隅に捉えておくべきことだと思う。

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