このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

コミュニティ運営者のためのコミュニティ「Slack Community Hub」一般公開記念 ウェビナー

先駆者たちが語る「コロナ禍でコミュニティをうまく回すヒント」

2021年05月14日 07時00分更新

文● 指田昌夫 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

コミュニティと参加者を活性化するさまざまな仕掛けを披露

 上記2名のプレゼンに続き、AWSユーザーコミュニティの「JAWS-UG」を立ち上げたパラレルマーケターの小島英揮氏、「VS Code Meetup」でオーガナイザーを務める戸倉彩氏が参加し、コミュニティ運営について議論するパネルディスカッションを行った。

Code for Japan 武貞氏、情シスSlack EugeneK氏に加え、パラレルマーケター/Still Day One代表社員の小島英揮氏、VS Code Meetup Oraganizer/IBM カスタマーサクセスマネージャーの戸倉彩氏、Slack Japanの溝口宗太郎氏が参加

 まず、コミュニティ参加者同士の交流を促すために運営側ができることについて、小島氏が解説した。

 「コミュニティでは、自分が発言しないと、他の参加者から見つけてもらえません。運営者は、参加者に質問をしてもらえる仕組みを設けたり、極力登壇側に回ってもらうように促すのがおすすめです。登壇すると、聞いた人にどういう人なのかが伝わるため、その後にいろいろな人から声がかかります」(小島氏)

 ここでイベント参加者から、「オンライン中心時代のコミュニティ運営についてのヒントが聞きたい」とリクエストが寄せられた。小島氏は、次のように「コンテキストが大事」だと説明した。

 「まずはコンテキストが大事です。どういう場で何をやっているかということが明確でないと、荒れやすい。運営側はそこをはっきり示すと同時に、今日のイベントのようにさまざまなツールを使って投稿の間口を広げることも重要です。コメントやレスポンスがスムーズに伝わっていると、参加者の信頼を得ることができます」(小島氏)

 次のテーマは、本来は企業のビジネスコミュニケーションであるSlackを、コミュニティの運営基盤としてどう扱っているのかだ。これについて武貞氏は「Twitter、FacebookとSlackのアカウントを持っていますが、私たちは共同でプログラム開発を行っていく活動のため、Slackに比重が移っていきました」と語った。

 またEugeneK氏は、「最初はエンジニア系の人が多かったのでSlackのなじみがよかった。また非同期でコミュニケーションを取れることがいい」とし、戸倉氏は、「いくつかコミュニケーションツールを試しましたが、Slackはメンバー間の距離を縮める機能が他のツールより優れていると実感しています」と語った。

 続いて、古参メンバーと新規メンバーの間の壁をなくすための工夫について。小島氏、武貞氏はそれぞれ次のように語った。

 「関心軸が揃っていないと、コミュニケーションが発展しません。そうならないように、JAWS-UGではテーマや関心によってコミュニケーションを小さな単位に株分けする取り組みをしていました。また古参のコアになるメンバーには、新しい人が入ってくることが重要だという教育的なアドバイスもしていました。自然に改善することはありません。運営側の対応が必要です」(小島氏)

 「悪気なく“昔話”で盛り上がってしまうことがしばしばありますが、それを見つけたときに、新しい人にもわかるように解説を加えています。地道な取り組みですが、それが大事だと思います」(武貞氏)

 「情シスSlackには、質問にものすごいスピードで回答してくれる人(既存メンバー)がいます。これは、初めて質問した人にとって、とてもいい印象を残しています」(EugeneK氏)

 コミュニティが成長しても、発言する人が増えなければ活性化しない。発言する人を増やすにはどうすればいいのか。

 この疑問について小島氏は、「コミュニティではどうしても、全部知っている人が偉いという空気になりがち。(それに対して)自分の知っている知識や情報は少ないと思ってしまうのです」と、発言しにくい人の気持ちを代弁する。これを解決するためには「細かく専門的なテーマを設けることが有効」だと述べ、たとえばJAWS-UGでは営業職の分科会を作り、そうしたメンバーの活発な発言を促していると説明した。

 またEugeneK氏は、逆転の発想で「アウトプットをまったくしたことがない人限定で登壇するイベントを開催しました」と語った。ここで発言の経験を積んだメンバーが、他のコミュニティでも発言するなど、成果につながったという。

 オンライン化を通じたコミュニティの“次の展開”について、戸倉氏は「Slackは他のツールとの連携が可能なので、コミュニティの中で連携を試したり、ボットなどの機能を追加することもできると思う。今年はチャレンジしてみたい」と話した。

 このように、パネルディスカッションでは、コミュニティ運営に関するさまざまなノウハウが語られた。

 なお本イベントは、参加者がSlackにリアルタイムで書き込み、登壇者はそれを見ながら講演するスタイルを採用した。登壇者からは、「オンラインで失われていた参加者の反応がわかって嬉しいし、話も進めやすい」という声が聞かれた。オンラインコミュニティ、イベント運営でも、双方向のコミュニケーションが重要であることを実感した。

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ