一方で世界的な半導体不足、PCの供給不足が影を落とす
一方で、3月単月の数字を見ると、気になる傾向が出ている。思いのほか、出荷数量が伸びていないのだ。
2021年3月の出荷実績は、前年同月比40.9%増の111万5000台と、前年実績を大きく上回っているが、1月が109.8%増、2月が115.5%増と、2倍以上の成長を維持していたのに比べると、成長率が鈍化しているのだ。
前年1月にはWindows 7のサポート終了にあわせた駆け込み需要があったものの、それでも2倍の販売台数という旺盛な需要があり、2月には比較対象となる前年の需要が少ないというプラス要素はあったものの、同様に2倍以上の販売台数となった。今回の発表された3月も前年実績が22.6%減のマイナス成長だったことや、3月に最も需要が集中するという例年のパターンを考えると、業界内ではもつと高い伸びを期待する声もあった。
そうした点からみると、3月の出荷台数は40.9%増という高い成長にはなったものの、物足りなさを感じる結果となったのだ。
実際、3月の111万5000台という実績は、12月の161万3000台を大きく下回り、1月の138万4000台よりも少ない。そして、11月の116万台、2月の108万1000台と比べても差がない水準なのだ。
これには理由がありそうだ。
実は、3月に入ってから、個人向けPC市場の鈍化が指摘されている。前年度はテレワーク需要が徐々に顕在化してきた時期であり、これが個人向けPCの需要拡大を支えたが、現時点ではテレワーク需要が一巡しており、需要の起爆剤が見当たらない状況にある。
そして、もうひとつの理由は、PCの供給不足だ。世界的なPC需要の高まりがみられる一方、主要部品の不足や、コロナ禍におけるサプライチェーンへの影響が表面化しており、需要に生産が追いつかない状態が続いている。海外PCメーカーの日本法人からも、日本への供給量が限定されているという話が聞かれているように、3月になってその状況がより深刻化している模様だ。それが出荷台数の成長鈍化につながっているといえる。
PCメーカー各社に聞くと、部品不足やサプライチェーンの停滞という状況は、4月になっても続いている。さらに、4月以降は、これまで需要を底上げした小中学校のGIGAスクール構想が終了。その代わりに、公立高校への整備が本格化することになるが、その規模は大きく縮小することになり、需要の起爆剤としては弱い。
好調な伸びを続けてきた国内PC市場だが、4月以降は一転して、厳しい状況に陥ることになるのは間違いなさそうだ。