自作ユーザーには馴染み深いCrucialブランドの会社
意外と知られていない? 巨大半導体会社マイクロンの日本とのつながり
提供: マイクロンジャパン
SSDやメモリーのブランドである「Crucial(クルーシャル)」やゲーミング向けメモリーの「Crucial Ballistix(バリスティックス)」シリーズは、自作ユーザーならお世話になっている人も多いはず。一方で「Micron(マイクロン)」と聞くと「?」と思う人も多いのではないだろうか。
もちろん、ご存知な方もいると思うが、Micronは企業向けのブランドであり、世界的半導体会社Micron Technologyのこと。Crucialは、同Micron Technologyが出しているコンシューマー向けのブランドを指している。
Micron Technologyは1978年にアメリカで設立された歴史ある企業で、売上規模としては世界でナンバー4の半導体メーカーであり、アメリカの企業として唯一残っているDRAMとNANDの両方を手掛けている会社だ。
そんなMicron Technology、実は日本と深いかかわりのある企業なのである。今回は、Micron Technologyの日本支社であるマイクロンジャパンのDirector of Sales, Japan & Koreaである原田宏昌氏に、企業とブランドについてお話を伺った。
広島工場では最新のDRAMを生産
「Micron Technologyは、メモリー関係の半導体生産に特化した企業で、サーバーやパソコン、スマホ、産業機器向けが中心です。特に品質が厳しいクルマ向けのメモリーやグラフィックスメモリーも生産しており、そのあたりはナンバーワンのシェアを占めております。品質面ではお客さまからご評価いただいております」とMicron Technologyについて語る原田氏。昨年の売上は234億ドル(約2兆5583億円)で、従業員は世界中で4万人ほどいる大企業だ。
工場は、アメリカ、台湾、シンガポール、マレーシア、中国、そして日本など全世界で13ヵ所の工場が稼働中。大きく分けてコンシューマー向けにCrucial、企業向けにMicronと2つのブランドに分けて展開している。「Micron Technologyとして培ったテクノロジーや高品質をコンシューマーのパフォーマンス向上を目指す形で、DRAMを自分たちで製造することになった1996年に、Crucialブランドを立ち上げています」(原田氏)。
簡単にMicron Technologyの歴史を紹介すると、1978年にアメリカのアイダホ州のボイジーにある歯医者の地下室で設立。「アイダホ州っていうと、アイダホポテトが有名だと思いますが、当時は田舎でポテトぐらいしか有名なものがなかったと思います。そのとき世界で初めて冷凍ポテトを開発したJ.R.Simplot氏の会社が我社に出資してくれたおかげで、会社が大きくなったんです」(原田氏)と、そこから成長を続け、DRAMの生産を始め、コンシューマーにもターゲットを広げていっている。「当時、マイクロンエレクトロニクスというブランドも作り、パソコンを製造していました。そのためDRAMを製造し、パソコン自体も販売していた経緯もあります」と原田氏は語った。
その後、大きく動いたのが1998年にテキサス・インスツルメンツ(TI)の半導体メモリー事業を買収し、大きくグローバルの拠点を構築することになる。日本とのつながりはこの頃に生まれた。
TIと神戸製鋼との合弁会社KTIセミコンダクターも一緒に子会社化し、それが母体となって2001年にマイクロンジャパンが誕生。さらに、2004年ごろから開発・生産を始めたフラッシュメモリーにも参入。その後経営破綻していた日本のエルピーダメモリを2013年に買収し、現在に至っている。
日本には、メモリーの販売やマーケティング活動を行なっているマイクロンジャパン株式会社と開発・設計・生産を担っているマイクロンメモリジャパン合同会社の2つあるが、こうした経緯により2つの組織に分かれているのである。
「マイクロンジャパンの資料には元KTIセミコンダクターの工場で生産していることになっているのですが、実はすでにその工場は売却していて、現在稼働している工場は広島にある、もともとエルピーダメモリのDRAM生産で使われていた旧NECの工場になります。かなり大規模な施設で、技術開発もここで行なわれています。最新のスマホに搭載されている低消費電力タイプのLPDRAM(DDR5)を中心に生産しており、今後、数千億規模の投資を行なう予定です」(原田氏)。
DRAMなんて、もう日本では生産されていないと思っていたら、広島で生産しているという意外な事実。その点について原田氏は「工場としての生産効率が良く、日本は技術力もあり、エンジニア部隊も広島に大きな組織があるため、Micron Technologyとしては非常に評価されているんです」と語った。
広島のほかにも、元NECの橋本オフィスの場所に開発センターがあり、DRAMの設計を。そして蒲田にもオフィスがあり、NANDの設計を行なっている。カスタマーラボが品川にもあり、東京・大阪などの販売やマーケティングなどを含めると、4000名ぐらいの従業員がいるという。現在Crucialブランド向けのコンシューマー用DRAMやNANDの生産は台湾やシンガポールが中心だが、設計に関しては日本も関わっているので、それぞれの製品には日本の技術力が生かされていることになる。
「さきほど高品質だとお客様に評価されていると言いましたが。DRAMの故障率が低いことが挙げられます。また、たとえ不具合が発生してもサポートも評価いただいております。耐久性も高く保証期間を過ぎてもきちんと動作しています。設計と製造プロセスが優れていることを自負しています」と自信を見せる原田氏。
Crucialブランドで使われているDRAMやNANDはもちろん、SSDのコントローラーも自社開発をしており、ほとんどがマイクロンの工場で生産したものを使っている。「いい製品をお客様へ届けることはもちろんですが、半導体はどうしても需要供給によって品薄になるため、欲しい数量が得られなかったり、価格の上下動も大きかったりするため、自社ですべて手当てできるところが、ほかのメーカーより有利な点ですね」(原田氏)。
SSDのコントローラーは、NANDの特性を踏まえて設計に反映でき、どうしたらパフォーマンスが引き出せるかといったノウハウも活かせるため、性能面だけでなく、耐久性の向上にもつながっている。「当時のオーバークロック世界最高速記録(6666MHz)を達成したDRAMを開発するなど、常にチャレンジングな面も持ち合わせている会社だと思います」と原田氏が語るように、NANDでも176層を実現するなど、トップクラスの技術力を誇っている。安かろう悪かろうではなく、信頼性や品質の高いものづくりを目指しているのだ。
マイクロンジャパンは、日本で最も働きがいのある会社20位(2021年Great Place to Work調べ)にランキングされており、従業員が働きがいを持って意欲的に取り組んでいるとのこと。また、マイクロン財団を創設し、地域貢献のために、最近ではマスクや消毒薬などを寄付するなど、地域を大事にして一緒に発展していこうという思想で取り組んでいるとした。
遊びが足りないお堅いブランドというイメージ?
マイクロンとしては、MicronとCrucialという2つのブランドを、よりユーザーに浸透するべく努力をしているという。「実は2020年11月末からTwitterをCrucial Japanとして始めました。ユーザーから『いつやるんだ』とかなり尻を叩かれまして。今後はSNSを通して、エンドユーザーへもっとアピールしたり、ユーザーとのコミュニケーションを深めていきたいですね」(原田氏)。Crucialはユーザーからすると、マイクロンのイメージと結び付いているからか、どうもお堅いイメージがあるようだ。
「たとえば、メモリーで3200MHz動作と言ったら、それ以上では動かないというイメージがあるらしく、堅実で信頼性は高いのですが、遊びが足りないと思われがちなようです。オーバークロック用のメモリーとしてはCrucial Ballistixシリーズがあるのですが、Crucialと結びついていないのかもしれません」と語る原田氏。
自作ユーザーの間では「Crucialで動かなかったらもう駄目だね」と言われるぐらい信頼性の高さは認識されているはず。昨年、分かりづらかったブランドも整理し、Ballistixブランドは、Crucialのなかの1つのラインとして扱うようにし、MicronとCrucialの2つのブランドに絞っている。
「これからも『迷ったらCrucialブランドを買っておけば間違いない』と言われるよう、より身近なブランドとして裾野を広げていきたいと思っています」と原田氏は熱く語っていた。
今後、Crucialブランドの製品を中心に紹介していくのでお楽しみに!
(提供 マイクロンジャパン)
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