●オーディオ製品のポートフォリオから考える、今後の進化の道筋
加えて、HomePod miniには、テキサスインスツルメンツ(TI)の温度センサーが内蔵されていることが明らかになりました。
つまりHomePod miniを設置している部屋の室温を検出し、HomeKit対応デバイスの制御に活用可能にする可能性がある、ということになります。
もう少し進化した使い方を提供するなら、たとえば寝室に置いたHomePod miniが温度検出をしていれば、Apple Watchの睡眠計測のデータと統合し、Googleの新型Nest Hubのように、睡眠の深さと室温の関係を分析できるようにもなります。
また、複数のHomePod miniによる空間オーディオの可能性も考えることができます。HomePod miniは単体での空間と音声の反響の分析ができませんが、U1チップの位置と方向の検出によって、スピーカーの位置関係を把握することはできます。
Apple TVの処理能力が上がり、2台以上のHomePod miniがペアリングされる場合、部屋自体で空間オーディオを実現できるかもしれません。もちろん、HomePod miniのスピーカーがどこまで低音などに対応するのかという問題は残りますが。
ちなみに現在、オリジナルのHomePodに限り、Apple TVと同じ部屋に設置していれば、Apple TVのサラウンドスピーカーとして設定することができます。しかし、HomePod miniではまだできるようになっていません。
このあたりで、アップルの「部屋の中のオーディオ環境」の製品と体験が散らかってしまっている状態といえます。このあたりが1〜2年をかけて解決されていくことになるとすると、やはりHomePodの後継モデル、そしてApple TVの新モデルへの期待を寄せてしまいます。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura
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