実際の電圧がわからない電圧計
ハンヴィーの電圧計は電圧を数値で表すのではなく、電圧に応じて緑、黄色、赤と色分けされているだけという大ざっぱなつくり。
マニュアルを見ても緑の範囲内にあればOKとなっているだけで、どこが何ボルトなのか、どの色が何ボルトから何ボルトまでを示すのかは書かれていません。電圧計のミルスペック規格を見つけたので今は理解できていますが、それまでは推測するしかありませんでした。
一番知りたいのは緑エリアの下限です。ハンヴィーの発電電圧は28Vだから緑の真ん中は28Vというのは想像がつくとしても、下がわからない。針が真ん中を指しているなら何の問題もないんですけど、うちのハンヴィーは下から1/4あたりまでしか上がらないんですよね。それが何ボルトにあたるのかが気になってしまいます。
ヒントになりそうなのは12V×2の24Vというハンヴィーのバッテリー電圧。24Vを下回るのを防ぐということで、緑と黄色の境目が24Vなのではないかと考えました。その場合、下から1/4では26Vしかないことになります。
自動車のバッテリーは通常12.5V〜13Vなので2個で25V〜26V。充電電圧はそれより高くなくてはいけないので、ギリギリ充電できるかどうかというほどしかありません。
予想は大外れでした
以前に発電電圧を制御するレギュレーターの出力をチェックしてもらった時は正常範囲とのことだったし、1ヵ月ぐらい動かしてなくてもスターターは調子よく回るので、充電は普通にできてる感じです。つまり発電電圧はちゃんと28Vあるのではないかと。となると電圧計の方が間違っているということになります。
で、電圧計の故障を疑い電圧をテスターで調べてみたんですが、なんと予想は全外れ。実際の電圧は27.3Vでした。28Vもないし、かといって26Vでもありません。
と、ここで見つけたのがミルスペックです。それによると緑のエリアの真ん中が28Vというのは予想通りでしたが、24Vから始まってるのかと思っていた緑のエリアは、26Vからだということがわかりました。下から1/4なら27Vということになり、テスターでの計測結果とほぼ合っています。電圧が低すぎるわけでもないし、電圧計が壊れているわけでもありませんでした。
27Vを超えているなら充電電圧としては十分で、そりゃバッテリーも生き生きとしているわけです。よく考えたら発電電圧が24Vだったらバッテリーの通常値より低くなってしまうので、緑のエリアが24Vから始まるはずがないんですよね。
すでに新品を購入済み
というわけで電圧計は壊れていないということがわかったんですが、それをチェックする前に新品を買っちゃってました。
まぁ元の電圧計は外見がだいぶ傷んでますし、買っちゃったものは使わないともったいないので交換します。
固定用部品が違いました
交換は簡単。電圧をチェックするために元の電圧計は外してあるので、新しい電圧計に配線を繋いで元通りに戻すだけ。なんですが、ここでちょっと問題が。固定用の部品の形が全然違ったのです。
ハンヴィーで使っている電圧計の規格が最初に承認されたのは1956年7月22日。ハンヴィーの配備は1985年からなのに何でそんなに古いのかというと、ベトナム戦争で活躍したM151という車両と同じメーターを使っているんです。
同じ24V車ですし特に変更する理由もなかったということなんだと思いますけど、M151とハンヴィーでは違いもありました。M151のメーターパネルは金属板1枚なんですが、ハンヴィーは二重になっているのです。
M151もハンヴィーもメーターの枠と固定用部品でメーターパネルを挟むことでメーターが固定されます。メーターパネルが二重になっているということはそのぶんパネルが厚いということで、当然メーター枠と固定用部品の間隔も広くする必要があります。
そのため、もともと付いていた電圧計の固定用部品はパネル裏に当たる部分が短いのですが、新しい方はそこが長く、メーター枠のすぐ裏まで来ているのです。M151などハンヴィーより古い車両用なんでしょうね。素材もハンヴィー用はプラなのにこれは金属製で、いかにも古そうですし。
まぁでもプラ製の固定用部品を使えばいいんだし……と思ったんですが、そう簡単にはいきませんでした。微妙にネジの位置が違い、固定用部品が入らなかったのです。
部品を加工します
金属製の方をグイッと曲げて使ってもいいんですけど、本来の使い方じゃないしプラ製の方が今っぽいので、修正加工をすることにしました。
どうやらネジとネジの間隔が狭いようです。防水コネクターを避ける凹みの位置からすると下のネジ穴が違っているようなので、ドリルでちょっと広げてみました。するとピッタリに。
マネする人はほとんどいないと思いますが、もしやるなら固定用部品はメーターとセットのようで単体では出回っていないので加工は慎重に。ワタシはまんまと折りました。
もっと慎重にやればと悔やまれますが、悔やんでも仕方ないので瞬間接着剤で補修。万が一折れたとしてもナットで押さえつけているので問題はないし、見えないのでよしとします。
動作テストしてから取り付けます
がっちり取り付ける前に動作テストをしました。
プラスとマイナスの配線をつないだらメーターパネルに電圧計をはめ込みます。テストなので固定用部品は付けずにはめ込むだけ。
テストを開始。まずはエンジンが冷えた状態でスイッチをRUNにします。
グロープラグがオンになり、針は赤いエリアの下から2/3あたりを指しました。一番下が18Vで黄色との境目が22Vなので20.7Vといったところです。実測値は20.6Vだったのでほぼピッタリ。
数秒でグロープラグがオフになると針は緑のエリアに。緑は26Vからなので下から1/8だと約26.5Vになります。実測値は26.4Vだったのでこれもジャストといっていい値です。これが現在のバッテリー電圧になります。
エンジンをかけると針がピンっと動いて緑エリアの下から1/3あたりになりました。27.3Vぐらいで実測値も27.3Vなので完全に一致です。
テストの結果、問題なさそうなので今度は固定用部品を使ってしっかり取り付け、メーターパネルを元に戻して交換完了です。なんか電圧計だけ黒々としちゃって、こうなるとほかのメーターも交換したくなってしまいますね。
前の電圧計と見た目は同じですがちょっと違うところも。前の電圧計は針がブルブルしながら動いたり、一度止まってもまたブルブルしたりと安定感がイマイチだったんですが、新しい電圧計の針はピッピッという感じでキビキビと動くようになりました。その点でも交換して正解だったように思います。
28.5Vのマークは28Vを示すもの?
ところで、メーターを交換していて気づいたことがありました。電圧計の緑のエリアにある小さい線の謎です。
規格書によるとこの線は28.5Vを示しているんですが、なぜ規定の電圧である28Vではなく28.5Vなのか。ずっと変だなと思ってたんですけど、その謎が解けたような気がします。
どういうことかというと、ハンヴィーのメーターパネルって運転席の正面じゃなくてハンドルの右にあるんですよね。しかも電圧計はパネルの右下という一番離れた場所なので、運転席からだとかなり斜め左から見ることになります。
このとき、針は盤面から数ミリ浮いて取り付けられているので、斜め左から見ると本当の位置より右にあるように見えるはず。つまり、実際は28Vの所にあるのに28.5Vの線の下にあるように見えるのではないかなと。
そのうちオルタネーターの出力を28Vに調節して、実際に28.5Vの所に見えるのか、確かめてみたいと思います。
この連載の記事
-
最終回
デジタル
本物の元素を1cm角キューブにした”標本セット”を買いました -
第352回
デジタル
全9種類! ミリタリー風「蚊取り線香」ホルダーでどんな線香が使えるのか試してみました -
第351回
デジタル
ミリタリーテイスト満点の「蚊取り線香」ホルダー、こんなモノまでタクティカル! -
第350回
デジタル
「スキンヘッド専用シェーバー」は今年買ってよかったもの大賞、金賞候補です -
第349回
デジタル
スキンヘッド専用シェーバーで頭ツルツル -
第348回
デジタル
靴底補修剤でカカトに空いた穴を直してみました -
第347回
デジタル
ダイヤルを回すだけでフィットするシューズ「DICTATOR」を衝動買い! -
第346回
デジタル
ハンヴィーのシート交換で若干のトラブルが! -
第345回
デジタル
未使用新品&中古美品のハンヴィー用シートをまとめ買い! -
第344回
デジタル
Beatsのヘッドホンが手放せなくなりました -
第343回
デジタル
そっぽを向いていたハンヴィーのタイヤが直りました! - この連載の一覧へ