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中小企業情シス担当者のための“IPv6対応入門”2021年版第2回

最低限必要なのはISPの接続サービス契約変更とルーターの更新/設定変更のみ

中小企業インターネットアクセス回線のIPv6対応で必要なこと

文●大塚昭彦/TECH.ASCII.jp 監修● 久保田 聡/日本ネットワークイネイブラー

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IPv6対応に必要なサービスや機器

 IPv6対応の概要を説明したところで、具体的に導入が必要なサービス、機器について見ていこう。ここでは中小企業で加入者が多いと思われるNTT東西の「フレッツ光ネクスト」に絞り込んで話を進めたい。

 IPv6 IPoE接続サービスの新規契約や契約変更は、ISPの窓口に申込みをすればよい。フレッツ光網でのIPv6 IPoEの利用には「フレッツ・v6オプション」(月額無料)の追加が必要だが、この手続きも自動的になされるはずだ。

○フレッツ・v6オプション
 ・NTT東日本:https://flets.com/v6option/
 ・NTT西日本:https://flets-w.com/opt/v6option/

 ISPと契約するIPv6接続サービスの具体的な内容は、ISP各社でまちまちだ。法人向けメニューは個人(一般家庭)向けよりも利用料金が高額だが、そのぶん法人専用の保守サポートや法人専用バックボーン回線といった付加価値サービスが付いている場合が多い。これまで法人向け接続サービスを利用してきたのであれば、IPv6接続でも法人向けサービスを選択するのがよいだろう。

○フレッツ 光ネクスト IPv6 IPoE対応プロバイダー(ISP)
 ・NTT東日本:https://flets.com/next/ipv6_ipoe/isp.html
 ・NTT西日本:https://flets-w.com/service/isp/?act=provider_list&m=3&w=&a=16
   ※NTT西日本は表の「インターネット(IPv6 IPoE)」欄を参照

 すでにフレッツ光シリーズのアクセス回線を利用していれば、同じISPで接続サービスだけを変えるケース、ほかのISPに乗り換えるケースのどちらでも、ISPとの契約変更とルーターの設定変更だけで済み、NTT東西による物理的な回線工事は発生しない。ただし、契約を切り替えるタイミングで一時的にインターネットアクセスができなくなるので、業務に支障が出ないよう、事前にISPと切り替え日などを確認/調整しておく必要がある。

 インターネットルーターについては、IPv6 IPoE接続に対応し、さらに利用するIPv6接続サービスのIPv4 over IPv6方式(MAP-E、DS-Liteなど)にも対応している機種を利用する。既存のルーターがそのまま使えるのか、新規導入が必要なのかはISPや機器メーカーに確認するのが確実だろう。

 対応ルーターの場合、具体的な接続設定方法はメーカーのWebサイトや取扱説明書などを参照してほしい。v6プラスやv6プラス 固定IPサービスの場合、以下のサイトに対応確認済みルーターの一覧と、設定方法(メーカーサイトへのリンク)が掲載されている。

○JPNEの対応ホームゲートウェイ、ルーターの一覧
 ・v6プラス:https://www.jpne.co.jp/service/v6plus/
 ・v6プラス 固定IPサービス:https://www.jpne.co.jp/service/v6plus-static/

IPv6対応を進めるうえでの注意点

 旧来のIPv4インターネット接続からIPv6 IPoE+IPv4 over IPv6接続に移行して、何か不具合は生じないのだろうか。事前に確認しておくべき注意点を挙げておこう。

 まずIPv6 IPoE接続の場合、NTT東西のフレッツ光網の仕様上、固定IPv6アドレスを取得することができない。正確に言えば、同じIPv6アドレスが割り当てられることがほとんどだが、それを固定的に割り当てることは保証していない(「半固定アドレス」と呼ばれる)。

 ただし、v6プラス 固定IPサービスのように、インターネット側のIPv4アドレスとして固定IPアドレスが提供され、IPv4アドレスを他のユーザーと共用するv6プラスでは使えないポートも利用できるオプションが用意されているケースがある。WebサーバーやVPN装置をオフィスに設置しており、それらを外部公開したり外部とVPN接続したりする必要がある場合には、こうしたオプションを利用するとよいだろう。固定IPv4アドレスサービスを提供しているかどうかはISPにより異なるため、事前に確認してほしい。

 また、インターネットアクセス回線のインターネット側(ルーターの外側)にファイアウォールやUTMなどのセキュリティ機器を設置している場合は、ルーターだけでなくそれらのIPv6プロトコル対応や設定変更も必要になることがある。法人向けのこうした機器でIPv6非対応のものは少ないが、対応しているかどうか、またどのような設定変更が必要なのかは、事前に各メーカーサイトのドキュメントで調べておこう。

* * *

 以上、今回は中小企業オフィスネットワークのIPv6対応を進める“ステップ1”となる、インターネットアクセス回線のIPv6対応について要点を説明した。現在契約しているISPやサービス内容、導入しているルーターなどの機器によって詳細は異なるが、大まかな進め方や、これがそれほど難しいことではないことを理解していただけたなら幸いだ。

 また、実際にサービス契約の変更などを行う前にはISPともよく確認を行い、きちんと手順やスケジュールを整理したうえで、業務に支障の出ないよう作業を進めるようにしたい。

 引き続き、次回はステップ2となる「インターネットブレイクアウト(ローカルブレイクアウト)」について説明していく。

(提供:日本ネットワークイネイブラー)

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