毎秒8000回マウス信号を送るとは、一体全体どういうことなのか!?
「ポーリング毎秒8000回」の最新ゲーミングマウス「Razer Viper 8K Hz」レビュー
Razer Synapseを導入して思い思いのカスタマイズ
ポーリングレートの設定には注意したい
Razerの製品の多くは統合ソフトウェアの「Razer Synapse3」に対応しており、このソフトウェアを導入することでボタンの割り当てを変更したり、センサー周りの挙動を細かく調整できる。箱出しの状態でも十二分に使えるViper 8Kだが、より自分になじませるためにもSynapse3の導入はマストと言っていいだろう。Razerのソフトウェア紹介ページへのリンクを記しておくので活用してほしい(https://www2.razer.com/jp-jp/synapse-3)。
Razer Synapseのカスタマイズを開くと、マウスのイラストと各ボタンの名称を表した表示になる。ここではボタンの割り当てを変更することが可能だ。
両側面にあるサイドボタンがマウスボタン4と5で名前が一緒なので一見共用に見えるかもしれないが、個別で割り当てをし直すことが可能だ。多ボタンとして活用したい場合は設定しておくといいだろう。
パフォーマンスタブでは主にセンサー周りの設定ができる。感度は最小100DPIから最大20000DPIの間で50DPI刻みごとにカスタマイズすることができ、さらに最大5ステージ分設定可能だ。このステージとはDPI切り替え用ボタンを押したときにステージ1、ステージ2、ステージ3と事前に設定した感度をサイクルさせていくことができるが、感度ステージのチェックを外すと1つの感度だけに固定することもできる。
続いてViper 8Kのキモとも言えるポーリングレートの機能について触れていこう。ポーリングレートとは使用しているマウスとPCとの間に1秒間で何回情報のやりとりをするかの値だ。現在、市場に出ているほとんどのゲーミングマウスはこのポーリングレートの上限が1000Hzまでとなっているのだが、Viper 8Kはなんと125/500/1000/2000/4000/8000Hzという驚異の高Hz駆動に対応している。
このポーリングレートの高さから得られるメリットは大きく、簡単に説明すれば、止めていたマウスの動き出し、つまり初動をPC側が検知するのが単純に8倍速くなるという理解で良い。これはeSportsなどの競技シーンではアドバンテージになり得る差である。
ただ残念なことにデメリットも存在している。ポーリングレートの数値が大きくなると処理するべき情報が多くなり、ゲームによってはフレームレートの低下を招く恐れがあるからだ。
日本国内の正規流通代理店であるMSY株式会社では、この問題について代表的な10タイトルで動作検証を実施し、その結果を公開している。PCの環境は千差万別なので、あくまでもこれはひとつの参考データであることを理解し、必ずしも同じ結果が得られるということではないことを頭の片隅に留めておいてほしい (http://razerzone.jp/support/faq/mice/viper-8k)。
実施に筆者のプレイ環境で(CPU:Core i7-7820X、ディスプレーBenQ XL2420T(最大120Hz))、いくつかのゲームでポーリングレートを最高値の8000Hzにしてテストしてみたところ「Counter-Strike:Global Offensive」ではフレームレートが目に見えて低下し、逆に「Apex Legends」では特に影響を受けず遊ぶことができた。またSynapseを用いると、各ゲームでポーリングレートを自動で変更できる。問題が発生した場合はここで設定を変更するといいだろう。
ライティングタブではマウス内部に搭載されたLEDイルミネーションの発光パターンや明滅の具合をカスタマイズすることが可能だ。筆者の個人的な感想ではあるのだが、ライティングのオフの設定があるのがとても嬉しい。というのも、PCで腰を据えて映画などを見ている時、視界の端でチカチカと光られてしまうのが嫌で嫌で仕方ないのだが、アイドル状態での消灯等もできるので、煩わしさから開放されたのが地味に嬉しい。今後もこの機能は絶やさないで欲しいと切に願う。
ソフトウェアの最後は較正タブ。こちらは使用しているマウスパッドに対してセンサーのキャリブレーションしたり、マウスパッドとマウスがどれくらい離れたらセンサーの挙動が停止するかを設定できる。Razer製品のマウスパッドに対してはプリセットが用意されているが、それ以外の製品を利用したい場合は一度較正タブでセンサーの最適化を施しておこう。
センサー周りで触れておかなければならないのがアングルスナップ、直線補正の有無についてだ。Synapse上には関連した項目が存在しないので、Viper 8Kには直線補正が皆無か、感じられないレベルのものとなっているはずだ。その確認のため、ここではWindowsの標準ソフトであるペイントでいくつかの曲線と直線を書いて検証してみた。結論としては補正を感じることはなかった。
高ポーリングレートでの動作は出色!
正しい設定方法を理解して使おう
Razer Viperの正統進化版とも言えるViper 8K。筆者が気に入っている点は左右メインボタンのスイッチ入力の向上、他の追随を許さないポーリングレート値への対応だ。逆に気になったのはスクロールホイールスイッチの過敏さ加減と、ポーリングレートを高く設定したときにゲーム上で現れる不具合の2点だろうか。
スクロールホイールスイッチについては「Apex Legends」を遊んでいるとき、筆者はジャンプボタンをホイールに、ピン(マーカー)をスクロールホイールスイッチに設定しているのだが、ジャンプをしたときにピンを打ち込んでしまうことが何度かあった。もう少しスイッチの入力に必要なストロークを深くしてくれていればなぁと思う次第である(ボタン配置変えれば解決ではあるが)。
そして高ポーリングレート時のパフォーマンスの低下は環境によって左右されるため、必ずしもポテンシャルを活かせるかというとそうではないのが少々残念だ。ただ、2000Hzでの駆動あればパフォーマンスの低下は筆者の環境では見られず、問題なくゲームを遊べたのでおおむね満足している。
思い返してみればゲーミングマウスのポーリングレートの上限は1000Hzまでというのが当たり前すぎて、ある意味停滞してしまっていたように思える。そんなところに8000Hzまで対応させた製品を投げ込むRazerには正直驚きを隠せないし、他のメーカーが追随するのかどうかも気になるところだ。
正しい使いこなしが必要なViper 8Kだが、それをクリアできれば、戦力になるデバイスである。今後、Razerの製品でこれがスタンダードになるのかも含めて注目していきたいと思う。
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