スイス2大時計フェアの取材歴25年以上という時計ジャーナリスト 渋谷ヤスヒトさんとアスキー編集部エリコが、時計業界にまつわる旬な話題を話すClubhouseの「時計トーク」Room。
毎週 日曜日の21時からレギュラーで開催するRoomで話したキーワードを基に、ASCII.jp上で時計業界のトピックスを紹介します。
2020年1月から起きた新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大は、時計の世界にも2つの大きな「事件」を起こし、業界を一変させることになりました。
「大きな事件」のひとつめは、毎年春に開催されていた主要な時計ブランドが新作を世界に向けて発表する年に一度のビッグイベント、スイスの2大時計フェアが中止に追い込まれたこと。
もうひとつの「大きな事件」。それは、時計の生産国スイスやヨーロッパ、そして日本でも起きた都市のロックダウンによる、時計工場や時計店の数ヵ月単位の休業です。
今回は「大きな事件」のひとつめ、スイス2大時計フェアの中止と、その結果起きたことについて、お伝えしましょう。
スイス2大時計フェアとは?
スイス2大時計フェアとは、スイス・ジュネーブで開催されている「サロン・インターナショナル・オート・オルロジュリ(略称S.I.H.H.。フランス語で、国際高級時計展という意味。業界での通称はジュネーブサロン)」と、やはりスイスのバーゼルで開催されている「バーゼルワールド(通称バーゼルフェア)」の2つを指します。なお2020年からジュネーブは「ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ(略称WWG)」という名前に改名して開催される予定でした。
この2つのフェアは、主要な時計ブランドが「今年の新作」を初めて公開する見本市。このフェアに行けば、新作を一気に見ることができます。だから、百貨店の時計販売部門や時計専門店のバイヤーや私のような時計ジャーナリストなど、時計ビジネスに関わりのある人の間では「この2つを観なければ仕事にならない」と言われる重要なイベントです。また時計ブランドにとっても、世界中から集まったバイヤーやジャーナリストを前に新作時計の魅力を効率良くプレゼンテーションできる、唯一無二の大切な機会でした。
特に、1917年から「スイス産業見本市」として始まって100年以上の歴史を持ち、出展社が数百にもなる世界最大の規模で、出展料を払えば基本的にどんな会社でも参加できるバーゼルフェアは、「世界で時計ビジネスをするなら、まずバーゼルフェアに出展することが必要不可欠だ」と言われるほどの最重要イベントとして、時計業界に「君臨」してきたのです。
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