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Azure事業戦略の最重点分野「アプリの変革」促す施策、パートナーと提供する新プログラムも

日本MS、アプリ開発やデータ分析の内製化を「並走」して支援

2021年02月03日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 日本マイクロソフト(日本MS)は2021年2月2日、「クラウドネイティブ開発・開発内製支援」および「データ活用と分析基盤」をテーマとしたMicrosoft Azureの事業戦略説明会を開催した。顧客企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)実現にあたってはアプリ開発やデータ活用の“内製化”が重要であるとし、そのためにまずマイクロソフトとパートナーが企業と「並走」して支援を行っていくアプローチをとると説明した。

マイクロソフトとパートナーが顧客開発チームと一緒に「並走」しながら実プロジェクトを支援、スキルアップや体制構築を図る「Cloud Native Dojo」などの新プログラムも紹介した

日本マイクロソフト 業務執行役員 Azureビジネス本部 本部長の上原正太郎氏、同 Azureビジネス本部 クラウドネイティブ&デベロッパーマーケティング部 部長の坂田州氏

DX人材確保/育成に悩む企業を支援するキーワードは「並走」

 日本マイクロソフトでは、日本市場のデジタル化促進支援を目指す2021年度のAzure事業戦略において、顧客企業における「アプリの変革」=クラウドネイティブなアプリ開発と既存アプリのモダナイズを最重点分野の1つに掲げている。

 Azureビジネス本部 本部長の上原正太郎氏は、これを実現するための具体的なシナリオとして、大きく2つの取り組みの方向性を示す。1つは「パートナーエコシステムの強化」、もう1つは「業界別ユースケースを基点とした新規ビジネス開拓」である。

 特にパートナーエコシステムの強化については、顧客企業におけるDX推進を背景に、DevOpsやクラウドネイティブ技術(PaaS、コンテナ、サーバーレス活用など)、またデータ分析/AI活用に対するニーズが高まっている。マイクロソフト自身がAzure上でそれらを支援するサービスを提供するだけでなく、それを各業界の企業にデリバリできるパートナーが不可欠となる。そのために日本MSでは今年度、「新規パートナーのリクルーティング」と「既存パートナーの育成」に注力している。

 そして、さらにDXを加速させていくためには、顧客企業自身の企業文化や体制の変革も求められることになる。ここにおける企業の課題について、上原氏は「IT人材とスキルの不足」「ナレッジが自社内に蓄積されない」「データのサイロ化」といった点を取り上げ、こうした課題を迅速に解決していく必要があると強調する。

 「特に(開発が)内製化されていないがゆえにDevOpsが実践されておらず、データ活用も進まない。そのため、こうした課題に取り組むための人材の育成と確保が、顧客における機運になっていると考えている」(上原氏)

DX推進、加速に向けて顧客企業の抱える課題

 上原氏は、従来型の(外注型の)クラウドインテグレーションパートナーエコシステムも引き続き拡大していく一方で、新しい「クラウド時代の開発思想」においては「自分事としてDXを進めていくための内製化」も必要になると説明し、パートナーと綿密に連携を図りながらその支援を行っていくと述べた。

 「(これまでのように)ハードウェアの更新タイミングでしかシステムがガラッと変わらないのでは、世の中の流れには対応できない。顧客が主導してクラウド時代に求められているDevOps、よりアジャイルな開発体制といったものをいったん取り入れていただき、そこからマイクロソフトやパートナーが並走して顧客のDXを加速させていく――これが従来型の(外注型の)アプローチと異なる点だと考えている。キーワードは『並走』だ」(上原氏)

実プロジェクトに参加しクラウドネイティブ開発を支援「Cloud Native Dojo」

 こうした方針に基づいて今年度展開するプログラムの詳細、および顧客企業における事例については、同社 Azureビジネス本部 クラウドネイティブ&デベロッパーマーケティング部 部長の坂田州氏が説明を行った。

 まず、クラウドネイティブ開発とその人材育成を支援するプログラムとして「Azure Light-up」と、今回新たに追加する「Cloud Native Dojo」を紹介した。

 Azure Light-upは「まずはアジャイル開発、スクラム開発を体験してみる」ための超短期プログラムで、1~2週間の事前ヒアリングと要件定義ののち、パートナーとのハッカソンを通じて最短3日~1週間で一気にモックアップを開発、成果発表会も行って、その後のマイルストーンまでするものとなる。価格については実施パートナーや要件により変動するものの、1回およそ200万円程度としている。

 「まずは小さく始めて見ましょう、と。そのうえで成功体験を作り、ノウハウを蓄積して、変革を進めて行きましょうというコンセプトに基づいたプログラム」(坂田氏)

 もうひとつのCloud Native Dojoは、最短2~3カ月間を目安とする中長期のプログラムで、パートナーとマイクロソフトが協働スクラムチームを構成し、顧客がこのチームと並走しながら実プロジェクトにおいてクラウドネイティブ開発を実践する。これを通じて人材育成と開発体制/プロセスの整備を行い、最終的には顧客自身で「自走」できるようにレベルアップを図るプログラムだ。価格は最低で300~400万円としている。

 「既存の(外注)パートナーがいる顧客では『一足跳びに内製化は難しい』といった声も多い。そこでわれわれが提唱するのが、既存パートナーと並走する形で社内人材育成や社内体制の整備を行うというもの。それを今回、Cloud Native Dojoプログラムとしてローンチする」(坂田氏)

「Azure Light-up」「Cloud Native Dojo」それぞれの概要

それぞれのプログラムで実践する内容に近いものとして、Azure Light-upでは富士フイルムソフトウェアのサービス基盤モダナイズ事例を、Cloud Native Dojoでは東京証券取引所の「CONNEQTOR」開発事例を紹介した

 これらのプログラムのターゲットとして坂田氏は、内製化を検討している企業、CI/CDやDevOpsといった開発のベストプラクティスを学びたい企業、社内エンジニアのレベルアップを図りたい企業などを挙げた。

 マイクロソフトではAzure Light-up、Cloud Native Dojoとも複数のパートナーと連携しており、パートナー各社で異なる「強み」も生かした形で顧客へのマッチングと提案を進めたいと語る。また両プログラムとも、必ずしもAzureテクノロジーだけにこだわらず、他のMicrosoftテクノロジーや他社ソリューション、他社パブリッククラウドも適材適所に活用するとした。

現時点でのAzure Light-up/Cloud Native Dojo連携パートナー。今後もさらにパートナーを拡充してより多くの顧客に利用いただけるようにしたいと語った

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