企業向け製品「Rinna Character Platform」新版を発表、外部サービスとの連携も強化
少量の学習データで“キャラ付け”可能に、rinnaのAIチャットボット開発基盤
2021年01月26日 07時00分更新
雑談を通じてユーザーの反応が見える「双方向」のマーケティングツール
前述したとおり、rinnaではRCPを企業向けAIマーケティングソリューションと位置づけている。従来のマーケティング手法は「一方的」なものになりがちで、ユーザーの具体的な反応が見えづらかったが、AIキャラクターが口コミ感覚で新製品情報などを発信し、それに消費者やユーザーが返答することで反応が可視化され、「双方向」のマーケティングが可能になると考えている。
企業におけるAIキャラクターの活用をサポートするために「RCPパートナープログラム」も展開している。これは、rinnaと顧客企業の間にパートナーが入り、RCPのライセンス再販と合わせてAIキャラクターの企画/開発/運用、ソリューション提案を行うというもの。現在は電通、面白法人カヤックがパートナーで、ほか数社と契約が進行中だとした。
そのほかにも企業向けに必要な要素として、AIキャラクターによる不適切な発言を防ぐ機能の搭載、学習データの作成サポートなども提供している。
AIキャラクターの開発で新しい「つながり方」を実現していく
rinna社長のチェン氏は、rinnaの経営ミッションは「すべての人と組織にAIキャラクターを」だと述べたうえで、その理由を「人と世界の『新しいつながり方』を生み出す」ためだと説明する。人間は長い歴史の中で言葉、文字、本/インターネットといったものを発明し、それぞれで新たな「つながり方」を生み出してきた。AIキャラクターの発明によって、これまでの「人間の関係性を超える」新たなつながり方を模索しているのだという。
「『ダンパー数』の研究では(親密な関係を持てる)友だちの数は最大で150人と言われ、SNSによってそれが2000人まで増えたという話もある。こういう数字をどうやって超えるか、人間の関係性をどうやって超えるか。われわれの観点から見ると、AIキャラクターでそれを超えられると考えている。だから(それを目指して)AIキャラクターをたくさん生み出していきたい」(チェン氏)
またチェン氏は、AI開発のうえでは6つの原則(公平性、信頼性&安全性、包括性、プライバシー&セキュリティ、透明性、説明責任)を遵守しており、rinnaの会社組織もそれを備えたものにしていると説明した。
ゲスト出席した日本マイクロソフトの榊原氏は、Microsoft Researchの最新研究成果から「深層学習における学習効率」をトピックとして取り上げ、紹介した。各種産業向けのシミュレーターと連携してAIの強化学習を進めることができるプラットフォーム「Project Bonsai」や、175億ものパラメーターを持つニューラルネットワークで構成された自然言語モデル「T-NLG(Turing Natural Language Generationg)」、OpenAIとのパートナーシップと、それに基づいてAzure上で巨大AIモデル構築用に提供するスーパーコンピューター「Microsoft AI at Scale」などを紹介した。