佐々木喜洋のポータブルオーディオトレンド 第51回

イヤピースの位置で音色変化、カスタマイズが楽しいAcoustune「HS1300SS」

均整がとれて、解像感が高い

　箱はコンパクトな立方体で、開けるとイヤホンとケーブルが格納されている。その下にはAcoustune伝統とも言える多数のイヤーピースのセットが置かれ、そのさらに下にはソフトケースが付属している。上位モデルのようなアルミケースではないが、必要十分なキャリーケースだ。ケースの質感も悪くなく、製品グレードに十分見合っている。アルミケースにどうしてもこだわりたいのでなければこれで十分だろう。

　本体は金属製のずっしりとしたもので高級感が感じられる。カラーのAzulも質感によく合っていて、モジュラー構造がカラー別になっているのも製品のアイデンティティーをよく表している。標準ケーブルもやや硬めだが太くてしっかりとしたものだ。

　ノズル部分ではさきに書いたようにイヤーピース位置を2段階に調整できる。深い位置を利用するときはベント穴を塞いだほうが良いので、きっちりと奥まで押し込んだほうが良い。はじめは傘をめくってベント穴がふさがれているかを確かめた方が良いだろう。

　装着感も良好で、イヤーピースをはめ込む幅が広いのでより広いユーザーの耳に合うと思う。

　音を聞いてみると均整のとれた音で、細かい音もよく拾う。価格を考えるとコストパフォーマンスは高く、高性能デジタルプレーヤーでも十分使えるくらいの音質レベルだ。少し温かみのある音でケーブルの個性も出ていると思う。高域は気持ちよく伸びて、華やかな感じだ。低域はタイトでよく音が引き締まっている。パンチがあるロックやポップもよく楽しめる。