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安田クリスチーナ(国際NGO InternetBar.org/米マイクロソフト)

2021年01月20日 12時00分更新

文● minamoto-c

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分散型ID技術の標準化や社会実装を通じて、国や組織の垣根を超えた「信頼構築」の実現を目指す。

世界には、貧困や紛争、迫害などの理由から、公的な身分証明書を持たず、医療や教育、金融などの基礎的なサービスを利用できない人々が大勢いる。国際NGO「InternetBar.org」のディレクターを務める安田クリスチーナ(Kristina Yasuda)は、分散型ID(Decentralized Identity)サービスのインフラを構築することで、すべての人々に身分証明手段を提供することを目指している。

「分散型IDサービスは20年から30年かけて実現するビジョンであり、ライフワークです。今後5年から10年かけて技術のイノベーションおよび社会で通用する分散型IDのプロダクト開発に貢献し、その次の10年間は分散型IDの本格導入までサポートしていきたいと考えています」と、安田は自身の思いを述べる。

安田はその志を実現するために現在、二足のわらじで活動を進めている。1つは、米マイクロソフトで、分散型IDサービスの多様な構成要素を実装するのに最適な技術を選択し、技術規格の標準化を進めることだ。アイデンティティ・スタンダード・アーキテクトとして、マイクロソフトを含む各企業が構築している分散型IDサービスに相互運用性を持たせ、既存システムの連携を可能にしたいと考えている。

一方、InternetBar.orgにおける活動では、途上国での実証実験を通して分散型IDサービスの社会実装を促進すると同時に、ガバナンス・フレームワークなどの整備に貢献している。2019年にはバングラデシュで、医師資格の証明を効率化するための電子証明書を発行し、2020年にはザンビアで、スキル証明および雇用主との信頼関係構築を通して若者の雇用獲得を支援する実証実験を実施した。

安田が取り組んでいる分散型ID技術は、デジタル空間における「他者との信頼構築」においても重要な技術となる。現在のインターネットには信頼構築を可能にする共通の識別・認証・認可の仕組みが存在しない。安田は、分散型ID技術を用いることで、個人がコンテキストごとに適切な属性を自分の意思で提示し、思い通りの自己像を形成できる「自己主権型アイデンティティ」を実現でき、国や組織の垣根を超えた「信頼構築」が可能になるとみている。

(中條将典)

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