IT専門調査会社IDC Japanは1月18日、2020年9月末時点の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響を考慮した国内IT市場 地域別予測のアップデートを発表した。
2020年は、COVID-19の感染拡大を受け、インバウンド需要の消失、外出自粛、また輸出減少などによって国内経済は深刻な影響を受けているため、多くの企業でIT支出は抑制されており、国内IT市場規模は17兆1162億円、前年比成長率はマイナス6.3%と減速し、地域別でも各地域でマイナス成長となっている。
特に消失したインバウンド/観光需要、製造業の停滞の影響を大きく受ける北陸/甲信越地方、東海地方、近畿地方、中国/四国地方、九州/沖縄地方といった地域で大幅に減速を見込む。一方で、東京都ではマイナス成長となるものの、比較的小幅に留まるとみている。
2021年における国内IT市場全体は経済環境の回復により17兆6050億円、前年比成長率2.9%とプラス成長という予測だが、回復ペースは緩やかであり、IT支出がCOVID-19感染拡大以前の水準に回復するのは2022年以降になると予測。また、今後の状況によっては予測を大きく見直す可能性があるとしている。
地域別に見た場合、北海道/東北地方以外の地域でプラス成長に回復を予測しているが、特に大都市圏(関東地方、東京都、東海地方、近畿地方)を中心に多くの企業で業績を回復することからIT支出はプラス成長に回復を予定しているという。なかでも、2021年に延期された東京2020オリンピック・パラリンピックを控えた東京都に加えて、2025年に大阪・関西万博を開催する予定の近畿地方でIT支出は堅調な拡大を予測している。また、大都市圏の企業では、大企業を中心にデジタルトランスフォーメーション(DX)を目的としたIT支出も本格化するとして、大都市圏のIT支出を牽引するとみている。
一方で、大都市圏以外の地域では2021年以降も低い成長率に留まるという。九州/沖縄地方では大手製造業、主要都市などで牽引することから、小幅ながらプラス成長で推移するとみているが、その他では、地域を牽引する産業、主要都市がないことに加えて、人口減少に伴う地域経済停滞の影響が深刻であり、多くの企業、地方自治体などでIT支出は抑制傾向の長期化が見込まれるという。
このように、2021年以降の大都市圏とそれ以外の地域でIT支出に大きな差異が生じると予測しているが、その要因として地域経済の回復状況に加えて、地域の企業のDXの推進状況も大きいという。IDC Japan ITスペンディンググループのリサーチマネージャーである市村 仁氏は、「ITサプライヤーは、COVID-19を契機として新しい業務体制へのシフトを模索する大都市圏以外の地域の企業に対して積極的に支援を行い業務効率化からDX推進を図ることで、大都市圏以外の地域の企業のIT支出の促進を図るべきである」と分析している。
本レポートの詳細はIDCが発行した調査レポート「国内IT市場 地域別予測 2021年~2024年:2020年 9月末時点のCOVID-19による影響を考慮」(有料)に記載されている。