濃厚な豚骨から、強力な煮干しの味へリニューアル!? らーめん 五ノ神精肉店(東京・東秋留)【ZATSUのオスス麺 in 武蔵野・多摩】第41回
2020年12月28日 12時00分更新
今回のオスス麺は、あきる野市にある「らーめん 五ノ神精肉店」。 東秋留駅や拝島駅など、最寄り駅から1km以上離れた場所にありながらも沢山のお客さんが訪れる人気店です。
「五ノ神」という名でピンと来る方も多いと思いますが、青梅の「いつ樹」を本店とし、都内に「鮮魚らーめん 五ノ神水産」「つけ麺 五ノ神製作所」などの支店を持つ「株式会社 五ノ神製作所」の直営店。
今から4年ほど前、当時ビルの取り壊しによって休業されていた「いつ樹」が仮店舗としてこの場所に目をつけ、正式な移転が決まるまでここで営業する予定でした。しかし、仮店舗にするには惜しい位に力を入れてしまい、「いつ樹」の仮店舗では無く「いつ樹」の正式な支店として2016年9月20日にオープンしました。
「いつ樹」本店とは勿論、他の支店とも全く違ったコンセプトの新しいお店で、同市内で営業している人気つけ麺店「池谷精肉店(https://ramen.walkerplus.com/article/4015926/)」に対してのリスペクトの意を込めて「五ノ神精肉店」と名付けたとの事。
「精肉店」と付けた事もあり、毎月29日に行われる「29の日」には、他を寄せ付けないようなボリュームたっぷりで食べ応えのある肉料理のようなラーメンを提供し、話題を呼んでいます。
メニューの構成も一般的なお店とちょっと違った感じで、レギュラーメニューは「豚骨らーめん」のみで、定期的に替える「準レギュラー」を置き、それ以外にも限定メニューを提供するというスタイルでスタートしました。
「豚骨ラーメンを無化調でどこまでやれるか作ってみました」と当時店主が笑いながら提供してくれたのが、唯一のレギュラーメニューだった「豚骨らーめん」。
豚骨の風味が漂い、骨や肉や髄の全てが溶け込んだような超濃厚さで、飲むのでは無く食べているような感覚を持った豚骨スープ。そこにマー油の香ばしい風味のアクセントを加えて自家製の中太麺を合わせた、熊本ラーメンを無化調で超濃厚に仕上げたような他には無い一杯となっていました。
「精肉店」らしさのある拘りの焼豚や、「いつ樹」のトレードマークである三角メンマもしっかりのせてありました。
牛ベースの和出汁っぽい雰囲気の優しい旨味が重なり合い、風味高く厚みのある醤油がそれらをまとめあげた「牛出汁中華そば」。
合鴨の手羽先を主軸とした濃厚な白湯スープを用いて、従来の「鴨」のイメージを一新した斬新な一杯の「合鴨つけ麺」。
奇をてらわずに誰もが受け入れやすいようなバランスの良い味に仕上がっていて、「昔ながらの」という言葉がピッタリハマる「鶏中華そば」。
牛肉の旨味をこれでもかって位に感じられ、後から酸味を纏ったトマトの味や風味がやってくるようなビーフシチューのような濃厚な味わいの「牛トマトつけ麺」。
背脂チャッチャ系を昇華させたような細かな背脂と豚骨醤油スープを使用して、つけ麺として提供した「豚肉汁つけ麺」。
揚げ葱と葱油の持つ香ばしい風味と特有の強い甘味のアクセントを楽しめる、あっさり中華そばの「ノスタルジック揚げ葱もやし麺」。
広島のご当地ラーメンインスパイアで、あっさりした出汁の旨味にフワフワ柔らか&揚げてカリッとした背脂がアクセントになった「尾道ラーメン」。
等々、4年間の間に沢山の「準レギュラー」メニューや「限定ラーメン」を、そして西多摩地区最高濃度とも言えるような「豚骨らーめん」を提供してくれました。
他では中々食べる事の出来ない貴重な「豚骨らーめん」でしたが、それを封印。
今年9月末からメニューを一新し、第二章とも言える「らーめん 五ノ神精肉店 煮干し編」として新たにスタートしました。
こちらが「煮干し編」の看板メニューと言える一杯!
出汁の味わいと風味、そしてエグミや苦味が出るギリギリまで旨味を引き出したような強い煮干し感が楽しめる「煮干し味」という感じのインパクトを出しながらも、然り気無くまろみを出して食べやすく仕上げているのは流石です。
煮干しは、八王子の人気店「圓」の初代店主の口利きによって「圓」と同じ煮干しを使用しているとの事で、「下手なものは出せない」という良い緊張感を持ってのラーメン作りをされていて、2か月以上経った今もなお「もっと良いものを」と日々試行錯誤されている様子。
迫力のある焼豚や三角メンマは、「煮干し編」になっても健在です!
合わせる麺は、自家製の平打ち太麺。
強い手揉み感があり、ビロビロポコポコした特徴的な口当たりとモッチモチな食感が楽しめます。粉の味わいを楽しみつつスープの味もしっかり持ち上げてくれる、正にこのスープの為に作られた麺と言った美味しさ!
当初は背脂を浮かべて「塩」との差別化を図っていましたが、暫くして背脂はのせないようになりました。
それでも「塩」とは違ったアプローチになっていて、醤油ダレが煮干し感を円やかにし、後からやってくる動物系の旨味も後押ししてくれて、厚みのある味わいを楽しめます。
個人的にイチオシなのが「油そば」。
アンチョビを用いた強力な煮干しの味でありながら全くもってキツさや嫌味を感じさせない仕上がりで、濃厚且つ円やかさがあって食べやすく、ムチムチした食感の自家製太麺とベストマッチ!
濃厚な煮干し味で麺量も270gもあるというのにスルスルと入っていき、気づけば食べ終えているような、夢中になれるここにしかない味わい!
「豚骨」&変幻自在なメニューから、「煮干し」を主役にした「煮干し編」へとリニューアルを遂げた「らーめん 五ノ神精肉店」。
煮干しの良さを限界まで引き出し日々進化し続け、これから先どんなラーメンが提供されていくのか非常に楽しみなオススメのお店です!
※新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策により、営業日・営業時間・営業形態などが変更になる場合があります。詳しくはお店の公式ツイッター(https://twitter.com/g_seinikuten)をご確認ください。
ZATSU
2006年に開設したブログ「ZATSUのラーメン」の管理人。武蔵野・多摩地区を中心にしたラーメン食べ歩きを始めて15年以上。現在は年間400〜500杯程度を食べ、新店コレクターでありながらも老舗店やリピートするお店も多数あり。チェーン店からファミレス、カップ麺までも愛する真性の「ラーメン好き」で、基本的に何でも美味しく食べられる幸せ者。「自分の好みのラーメンを見つけて欲しい」と言う思いをモットーに色々なラーメンを紹介していきます。
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