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松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析 第126回

アップルはあらゆる社会問題を扱うブランドになっている

2020年12月17日 09時00分更新

文● 松村太郎 編集● ASCII

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●領域の拡がりとプレス施策

 アップルは製品とサービスによって売上を上げている機能です。見方を変えると、製品とソフトウェア、サービスをすべて自社で設計することによって、その価値を発揮している企業です。

 確かに製品の魅力は他社に比べて非常に強く、ある種のベンチマーク的な存在にもなっていますが、それでもアップルのプラットホームは、パソコンで言えばWindows、スマートフォンで言えばAndroidと比べて小さな勢力にとどまっています。

 そうした企業が注目され、またテクノロジー業界の指針となる存在であり続けている点は、アップルのブランド力の勝利でしょう。

 人種やジェンダーの問題、気候変動をはじめとする環境問題、国際関係、プライバシーや健康など、人類が生きると言うこと……。アップルが扱わなければならない問題は、すでに人類や社会にまつわる「すべて」になっており、膨大な時間をかけながら、これらに答えを出し続けている状態です。

 取り組みの足りなさや改善すべき点ももちろんありますし、むしろそうした声について、アップルは歓迎して受け入れるのではないでしょうか。そうした歩み寄りと、ユーザーの当事者意識、より良くしようというモチベーションを共有できる点もまた、ブランドのなせる技だと感じています。

 

筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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