●領域の拡がりとプレス施策
アップルは製品とサービスによって売上を上げている機能です。見方を変えると、製品とソフトウェア、サービスをすべて自社で設計することによって、その価値を発揮している企業です。
確かに製品の魅力は他社に比べて非常に強く、ある種のベンチマーク的な存在にもなっていますが、それでもアップルのプラットホームは、パソコンで言えばWindows、スマートフォンで言えばAndroidと比べて小さな勢力にとどまっています。
そうした企業が注目され、またテクノロジー業界の指針となる存在であり続けている点は、アップルのブランド力の勝利でしょう。
人種やジェンダーの問題、気候変動をはじめとする環境問題、国際関係、プライバシーや健康など、人類が生きると言うこと……。アップルが扱わなければならない問題は、すでに人類や社会にまつわる「すべて」になっており、膨大な時間をかけながら、これらに答えを出し続けている状態です。
取り組みの足りなさや改善すべき点ももちろんありますし、むしろそうした声について、アップルは歓迎して受け入れるのではないでしょうか。そうした歩み寄りと、ユーザーの当事者意識、より良くしようというモチベーションを共有できる点もまた、ブランドのなせる技だと感じています。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

この連載の記事
-
第321回
トピックス
10万円前後のMacBook その存在は“ワクワク”か、“退屈”か -
第320回
トピックス
アップル「iPad Pro(M5)」、もはや“Mac代わり”になり得る存在に -
第319回
トピックス
ヘンテコな「iPhone Air」の良さがジワジワ伝わってくる。折りたたみモデルの布石としての設計とは -
第318回
iPhone
アップル「iPhone」「iPad」最も注目すべき4つの新機能 #WWDC25 -
第317回
Apple
アップル初のApple Parkでの開発者イベント、初公開の「Loop Building」とは -
第316回
Apple
「Mac Studio」アップルの多様すぎる接尾語について考える -
第315回
Apple
アップル「Mac Studio」登場で生じる、ラインアップへの疑問 -
第152回
Apple
アップル「MacBook Pro」ポート増加は敗北なのか -
第151回
Apple
iPhone分解アートと、Appleが目指す未来 -
第150回
Apple
アップル新型「MacBook Pro」どの構成で買うべきか -
第149回
iPhone
アップル「iPhone 13」4つの魅力 - この連載の一覧へ










