さすがの筆者も「3Dプリンター」という言葉は聞いたことはあるし、毎年出かけている台湾のCOMPUTEXや秋葉原のショップで実物を見かける機会も多い。しかし、実際に今の今までただの一度も本物には触れたことがなかった。
初の3Dプリンター、ネットで学習してから挑んだが……
そんなウルトラ・ド素人の筆者なので、今、クラウドファンディングのキックスターターでバッカー(支援者)を募集しているSelpicからお声がかかり、出荷直前版モデルを試用する機会に恵まれた。
Selpic Star Aは、なんと99ドルからスタートした激安で超話題の3Dプリンターだが、すでに超割引モデルは売り切れてしまい、現在の最廉価版モデルは119ドル(約1万2500円)のモデルだ。しかしそれでも破格の多機能3Dプリンターであり、入門のリスクもきわめて小さな商品だ。
筆者がまったく知らない新しいICT系の何かにチャレンジする時の手段と戦略はいつの時代も同じで、まずは書籍やネットで超基礎的なお勉強、続いてメーカーサイトやメディアなどでの現状や将来性の把握とFAQのチェック、そしてSNSを介した先人のヘルプ、実機の購入と実践と失敗。この繰り返しだ。
3Dプリンター初心者の筆者でも、検索エンジンの結果に手を引かれてネットをウロウロと徘徊している内に、"XYZプリンティング"という言葉を見つけて、大昔、8ビットパソコンで遊んでいた時にカシオ計算機やローランドDGのXYプロッターというペンが、自由自在に紙の上を縦横に動いて絵を描くプリンターの仲間がいたことを思い出した。
当時のXYプロッターは"LPRINT"とかいうへんてこなBASIC言語で動作順序を送り込んで、適時ペンの色を変えながら、平面の紙の上にオーディオ結線図や線画の設計図などを描いて遊んでいた。
どうも3DプリンターはそのXYプロッターに加えて、筆記面から垂直に上下するZ軸を加えただけだとすぐに理解できた。現在の普通のプリンターは、コピー用紙やハガキに平面で一回だけ印刷すれば終了だが、3Dプリンターは、最初の平面の印刷を終えると、Z軸の高さを一定量だけ持ち上げて2枚目を同じXY面に印刷し、その繰り返しをすることで立体物の印刷を実現させるものだ。
単なるインクでは平面に2重印刷するだけになってしまうので、空気に触れると固まってしまうようなプラスティック系素材(フィラメント)を熱で溶かした特殊な材料でプロッターのように印刷する。もちろん、1枚目と2枚目の印刷イメージは異なるので、最初にパソコンで作りこんだ立体物のデータから、対象物のZ軸をCTスキャンのようなイメージで大量にデータをスライスして、順番にレイヤーを印刷して積み重ねる仕組みだ。
3Dプリンター用のデータを作成するソフトは多種多様なものがあるようだが、今回のSelpic Star Aでは、フリーで使える「Ultimaker Cura」と呼ばれるスライサーアプリを推奨している。さすがにオツムの巡りが遅い筆者でもここまでネット上で勉強できればあとは楽勝だと勘違いしてしまった。

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