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熊本ラーメン×チーズがやみつきになっちゃう 分田上(東京・南大沢)【ZATSUのオスス麺 in 武蔵野・多摩】第26回

2020年09月14日 12時00分更新

文● ZATSU 編集● ラーメンWalker

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 今回のオスス麺は、八王子市下柚木にある熊本ラーメンの人気店「分田上(わけたがみ)」。

京王相模原線・南大沢駅から1.7kmほど、野猿街道沿いに店を構える

 熊本ラーメンというと、九州は熊本のご当地ラーメンとして有名ですが、現在武蔵野・多摩地区で熊本ラーメンを提供しているお店はかなり少なく、貴重な存在となっています。

 淵野辺の有名店「肥後っ子 大石家(現在は閉店)」で修業した方が、2000年4月にオープンさせたこのお店。

 熊本ラーメンをベースに、チーズをのせるのが特徴の一つでもあった大石家。その出身者のお店は当時多摩地区に何軒かありましたが、短命なお店が多く、ここだけが生き残ったのは志の高さやラーメンやお客さんへの愛情が故の賜物と言えるのではないでしょうか。

 「分田上」という店名は、昔テレビで放映されていたドラマ「前略おふくろ様」の中で登場したお店の名前から取ったもので、「分けた」ものが「上向きになるよう」という意味を持つようです。

 「分田上」のお隣の店舗は「ラーメンショップ」に始まり、「ラーメン二郎 野猿街道店」、「麺処 ひろなか」、現在は「ブンブンマル」と、ラーメン店が常にありますが、良い感じに共存されています。現在のブンブンマルとは営業時間を昼夜真逆にして競合せず、逆に駐車場を共有するなどされています。

15年ほど前の店舗外観

10年ほど前の店舗外観

オブジェや草花で彩られたアットホームな入口

木の温もりを感じる店内。手書きのメニューも味わい深い

 外装も内装も木をふんだんに使い活かしたもので、メニューは黒板にチョークで手書きされるなど、温かみを感じる雰囲気。外観や暖簾などは少しずつ変化されていますが、温かい雰囲気は変わりません。

 そしてその雰囲気をより一層引き立たせるのが、奥さまの接客。

 穏やかで優しい笑みと物腰柔らかな接客で、凄く気配りがあるのに近すぎない心地好い距離感を保っていて、お店の雰囲気を和やかで温かみのあるものにしてくれていて、これだけでも「このお店に来て良かった」と思わせてくれます。

 メニューのラーメンは一種類のみで、そこに「ねぎ」「梅干し」「チーズ」「Wチーズ」「チャーシュー」「ラーユ」「きくらげ」「キムチ」「高菜」「温たま」「味たま」のトッピングを好みで付けるスタイル。

 「チーズ」の相性が抜群で、オープン当初は別料金だったチーズも1枚はサービスとなり、多くのお客さんがその「チーズラーメン」を頼みます。

 私自身も何度もお店に行っていますが、「チーズラーメン」若しくは「Wチーズラーメン」ばかりで、実は通常のラーメンを食べた事がありません。

基本にしてイチオシの一杯「チーズラーメン」

 サラッとした口当たりの豚骨スープは、博多などの豚骨と比べるとライトであっさり寄りのものでありながらも、コクや旨味はしっかりと感じられるもの。

 熊本ラーメンの特徴といえば、焦がしニンニクを用いて作った「マー油」と呼ばれる香味油。「なんつッ亭」のような漆黒のものを始め、黒マー油と呼ばれるものが印象に強く残りますが、こちらのマー油は黄金色をしていて風味にもキツさが無く、ふわっとアクセント程度に広がる心地よいもので、ゴマの風味と合わさって凄く食欲が掻き立てられるものとなっています。

 麺は、当日分のみを毎日自家製麺するというもので、卵白を加えた低加水の細ストレート。

 一般的な熊本ラーメンの麺と比べると細く、博多ラーメンのそれに近いタイプながら、その食感やクセの無い風味はオリジナリティが強く感じられるもので、あくまでもこのスープに合わせたものという感じが伝わってきます。

 トッピングには、ホロリと柔らかで香ばしくジューシーなバラチャーシューが3枚のり、表面に色がしっかりとついた味玉半分、刻んでいない紅生姜、刻みキクラゲ、青ネギなどがデフォルトでのるのも嬉しいです。更に2019年10月からは、さつま揚げもデフォルトトッピングとしてのるようになりました。

 そしてメインとも呼べる「チーズ」。

 とろけるスライスチーズっぽいものだけど、そのとろけ具合が凄く、麺にコーティングするかの如く濃密に絡み付き、時間が経つとスープに溶け込んでいくような感覚のもの。

 そして、そのチーズが溶け込んだスープは「ダブルテイスト」と呼んでも良い程に表情が変わり、あっさりな豚骨からクリーミーなコクを持ったチーズ豚骨へと変化を遂げます。

 あっさりから濃コクに変化するまでの過程も含めて全てが美味しく、また楽しくもある味わい。だからこそ苦手でなければ「チーズ」は絶対に入れてもらいたいと個人的に思っています。

なんとこれで100円!大サービスの「かえ玉」

 物足りなさはありませんが、スルッと食べられる食べやすいラーメンなので、もう少し食べられそうという場合に是非試して欲しいのが「かえ玉」。

 こちらの「かえ玉」には、麺だけで無くチャーシューと万能ネギが添えられるので、もう一杯ラーメンを食べているようなお得感があります。

「かえ玉(ラーユ付)」はこのボリュームで150円!

 更に50円アップの「かえ玉(ラーユ付)」にすると自家製の特製辣油が付き、この肉味噌のようなラーユをスープに投入すると、チーズが溶けてミルキーさの出た豚骨スープやゴマの風味と、挽肉たっぷりなピリ辛の旨味が合わさって担々麺のようなテイストに変化し、また違った味わいを楽しむ事が出来ます。

 ラーメンは一種類だけのこぢんまりした「分田上」ですが、飽きさせない味わいと居心地の良い雰囲気と接客で、ほっこり優しい気持ちになれるオススメのお店です!

 ※新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策により、営業日・営業時間・営業形態などが変更になる場合があります。詳しくはお店にご確認ください。

ZATSU

2006年に開設したブログ「ZATSUのラーメン」の管理人。武蔵野・多摩地区を中心にしたラーメン食べ歩きを始めて15年以上。現在は年間400〜500杯程度を食べ、新店コレクターでありながらも老舗店やリピートするお店も多数あり。チェーン店からファミレス、カップ麺までも愛する真性の「ラーメン好き」で、基本的に何でも美味しく食べられる幸せ者。「自分の好みのラーメンを見つけて欲しい」と言う思いをモットーに色々なラーメンを紹介していきます。

本人ブログ(http://blog.livedoor.jp/zatsu_ke/

本人Twitter @zatsu_ke

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