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地元に愛されながらブラッシュアップを続ける「中華そば」 初代 修(東京・国立)【ZATSUのオスス麺 in 武蔵野・多摩】第27回

2020年09月21日 12時00分更新

文● ZATSU 編集● ラーメンWalker

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 今回のオスス麺は、国立を代表する地元密着型の人気店「初代 修(のぶ)」。

 高校生の頃まではラーメンがさほど好きではなかったというご主人ですが、アルバイト先の先輩に連れられて行った「新横浜ラーメン博物館」にある熊本ラーメンの名店「こむらさき」の豚骨ラーメンを食べた事でラーメンが好きになりました。

 そして地元国立で、油そば発祥の一店とも言われる「三幸(当時は「焼き鳥 三幸」)」で初めて油そばを食べて衝撃を受けた事を機に、「ラーメン屋さんで働いてみたい」との思いが生まれ、当時立川で大人気だった「あじまる(現在は閉店)」で働くことに。

 その後、ニューウェーブ系の走りでWスープの元祖「中華そば 青葉」や当時府中で絶大な人気を誇っていた「らいおん」などで修業を積んだ後、地元の国立で串焼屋「二代目 串焼 博」を営みながら、営業時間外であるお昼のみ限定30食でラーメンを提供する「初代 修」として、2007年2月からラーメン店をスタートさせました。

 「修(のぶ)」はご主人のお名前から取ったもので、「初代」と付けたのは串焼屋の方が「二代目」だったので、それにかけたとの事。

最初は串焼屋のランチタイムで二毛作営業をしていた

30食限定で提供していた「中華そば」(2007年撮影)

そこで提供されていた一杯は今と殆ど変わらないビジュアルなのが凄く、当時から完成度が高かった事を思わせてくれます。

 今でこそ別業態の二毛作はよくありますが、当時はまだこの手の二毛作は少なく、しかも「初代 修」という看板も掲げず30食のみの提供だというのに、「美味しい」という評判はすぐ広まり、オープンから2ヵ月もしないうちに私の耳にも入ってくる程でした。

「初代 修」として独立出店した最初の店舗(2011年9月〜2016年1月)

 その後、着実に常連客を掴み人気店と呼べる程になり、2011年9月12日に同じ国立で遂に独立店舗を構え、ラーメン屋さんとして本格的にスタート。いよいよ看板が付くかと思いきや、ここでもまだ看板は付きませんでした。

 そこがまたファンの心をくすぐる「知る人ぞ知る」お店として噂され、口コミが広がり、お客さんが集まりました。

 国立は一橋大学の学生さんを中心に“学生の街”と呼ばれる事もあり、ご主人の気さくなお兄さん的な人柄が沢山のお客さんの心を掴み、惹き付けたのだと思います。

現在の店舗。JR国立駅の南口から徒歩5分ほど

 順調に営業を続けていましたが、店舗の敷地一帯がマンションに建て替えられるとの事で移転を余儀なくされ、2016年1月いっぱいで一旦閉店。同年4月5日に現在の店舗に移転オープンしました。

 そして待望の「中華そば 初代 修」の屋号が書かれた看板が遂に付けられました!

基本であり看板メニューの一杯「中華そば」

 「二代目 串焼 博」の頃から不動の人気メニューは「中華そば」。

 見た目からもわかるように修業元である「中華そば 青葉」を踏襲した動物魚介スープながら、豚骨魚介の「青葉」に対し、「初代 修」では鶏2:豚1で鶏を主体にした動物系。さらに煮干・鯖節・鰹節などの魚介系を合わせる事によって、より和の風味高さが感じられる奥深いコクと旨味を持ったクセの無いスープに仕上げています。

 そこに、あきる野市「近藤醸造」のキッコーゴなど4種類の醤油をブレンドした特製の醤油ダレを合わせ、程よい濃厚さと程よいスッキリさを持った絶妙なバランスの味わいとなっています。

 麺は三河屋製麺のもので、「極細」「普通」「中太」「真空平打ち」「極太」「みそ用普通」「みそ用太麺」と、多種の麺を自由に選べるようになっています。

 通常はオススメの普通麺ですが、好みや気分で変える事が出来る“お客さん本位”なシステムとなっています。

 チャーシューは、修業元の「らいおん」でも使っていた肩バラという部位をホロリと柔らかく煮込み、旨味を楽しめる味に仕上げ、メンマも短冊メンマを手割きするなど手間を惜しまずかけています。

こちらも人気のメニュー「つけめん」

 スープ自体は中華そばと同じものですが、酸味と醤油感をやや強めに立たせてシャープさを出し、それを香味油によって少しまろみとこってり感をつけて、中華そばとはまた違った表情を楽しめる一杯になっています。

国立っ子のソウルフード的な一杯「油そば」

 「三幸」を食べて衝撃を受けたというだけあって、「油そば」は王道を行く武蔵野油そばタイプ。

 ねっとりと麺に絡み付くタレはシンプルながらも香りが良く、旨味のしっかりした濃厚なもので、味・食感・風味が三位一体となったバランスの良い味わい。

味噌味も好評。「みそ中華そば」の他、「みそつけめん」「みそ油そば」もラインアップ

 「みそ中華そば」は、味噌の香り高さや味わいをしっかりと活かした仕上がりで、中華そばと比べるとパンチのある味を楽しむ事が出来ます。

 そして不定期ながら限定メニューも提供し、普段とは違った味を楽しむ事ができ、常連さんを中心に楽しませてくれています。

限定メニュー「豚骨しょうゆ」

 豚骨の風味を程よく楽しめ、ポッテリした高い粘度の濃度を楽しめる本格派豚骨で、その豚骨の味わいを活かすようなバランスで醤油ダレを合わせた、かなりクオリティの高い一杯でした。

限定メニュー「濃厚豚骨魚介そば」

 「初代 修」らしい節系の和風味をしっかり活かしたもので、同じ動物魚介でありながら通常の「中華そば」よりもかなり濃厚感が強く、風味は似ているけれど別物として楽しめるもので、頻繁に食べても飽きないレギュラーの中華そばに対して、限定としてのパンチを効かせた一杯に仕上がっていました。

 タイミングが合わず私は食べられていないのですが、修業元であり今は無き立川の名店「あじまる」の味を再現した「あじまる風豚骨醤油ラーメン」も時々限定メニューとして出していて、あじまるファンだった一人として私もいつかタイミングを合わせて食べに行きたいと思っています。

 「二代目 串焼 博」で二毛作として営業していた頃から完成度の高い中華そばを提供していて、ブラッシュアップはしていても味の方向性は13年間全くブレずにいる。だからこそ地元の方が、いつでも安心して気軽に食べに行ける愛されるお店となったのでしょうね。

 あっさりし過ぎず、こってりし過ぎず、老若男女問わず美味しく食べられる中華そばやつけめん。丁寧に作られたバランスの良い和の風味を楽しめるオススメの一店です!

※新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策により、営業日・営業時間・営業形態などが変更になる場合があります。詳しくはお店の公式ツイッター(https://twitter.com/shodainobu)をご確認ください。

ZATSU

2006年に開設したブログ「ZATSUのラーメン」の管理人。武蔵野・多摩地区を中心にしたラーメン食べ歩きを始めて15年以上。現在は年間400〜500杯程度を食べ、新店コレクターでありながらも老舗店やリピートするお店も多数あり。チェーン店からファミレス、カップ麺までも愛する真性の「ラーメン好き」で、基本的に何でも美味しく食べられる幸せ者。「自分の好みのラーメンを見つけて欲しい」と言う思いをモットーに色々なラーメンを紹介していきます。

本人ブログ(http://blog.livedoor.jp/zatsu_ke/

本人Twitter @zatsu_ke

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