このページの本文へ

30年の歴史をほこる、パワーあふれるオンリーワンなラーメン パワー軒(東京・砂川七番)【ZATSUのオスス麺 in 武蔵野・多摩】第20回

2020年07月20日 12時00分更新

文● ZATSU 編集● ラーメンWalker

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

多摩モノレール・砂川七番駅から徒歩10分、看板には大きく「燕三条麺」

 20回目となる今回のオスス麺は、立川の柏町にある「パワー軒」。

 1990年にオープンして今年で創業30周年になるこのお店は、立川市のラーメン専門店としては古株となる名店。

以前はドンと大きく「豚骨」の文字が!

 「豚骨 パワー軒」「支那そば パワー軒」「燕三条麺 パワー軒」と何度も看板が変わっていて節操が無いようにも見えましたが、それはご主人のサービス精神の旺盛さからくるもの。

 メニューなどもお客さんのニーズに応えようと、増やしたり改良したりの連続だった30年間。

現在の地に移転オープンした頃、看板には大きく「支那そば」

 2006年7月29日に移転オープンした際は「今後はメニューを絞って……」と言っていましたが、やはりお客さんの声によって増えていきました。

 一見コワモテの頑固親父的な雰囲気のご主人ですが、実際は凄く優しく気さくな方で、お店も昭和的な古き良き雰囲気を持っています。

 「パワー軒」の“パワー”は、ご主人がパワーリフティングをやられていた事から名付けられたもので、提供するラーメンもパワーがみなぎるようなものばかり!

券売機左上のイチオシメニュー「燕三条らーめん」

 いま一番のウリにしていて、お客さんからの人気が最も高いのが「燕三条らーめん」。

 新潟のご当地ラーメンである燕三条系ラーメンをインスパイアしたもので、最初は「にんにく麺」として提供し始めてから色々と改良を重ね、現在の形となりました。

以前は「にんにく麺」の名で提供

 独自の解釈で作り上げた「燕三条らーめん」は、薩摩最高級の鰹節と鯖節に、大量の煮干しと豚のげんこつを丁寧に下処理した後、じっくり煮出したというもの。

 一般的な燕三条系ラーメンと比べると煮干しよりも節系が主体となっていて、より馴染み易いものとなっています。 ただ、その節出汁は濃厚で、他の食材の旨味もたっぷり加わった厚みのあるもの。

 濃いめの醤油ダレと大量の背脂、そしてボリュームたっぷりな平打ちの極太麺が合わさった、インパクトとバランスを兼ね備えた一杯。

 「にんにく麺」として始めただけあってニンニクとの相性も抜群で、卓上の生ニンニクをクラッシュすれば堪らない味わいに!

「燕三条らーめん」豚骨醤油バージョン

 この「燕三条らーめん」の基本は醤油ですが、豚骨醤油・塩・塩豚骨などにも変更が可能。そうするともはや燕三条系では無くなってしまうのですが、それもまた美味しいです!

超こってり豚骨スープの「塩豚骨らーめん」

 古くからのファンにとって、「パワー軒」と言えば「塩豚骨らーめん」。創業以来この店の柱となっているメニュー。

 “超こってり”と謳っている通り、初めて食べた時もそれから20年以上経った今でも、食べる度に「超こってりだ!」と感じるドッシリした重さのあるもので、人によっては「油っこい」と感じる事もあると思いますが、それが特徴であり、ハマると抜け出せないヒキの強さにもなっています。

 単にこってりというだけでは無く、豚骨のクセを出さずに旨味を引き出し、塩ダレのスッキリさでバランスを整えた完成度の高い一杯!

煮干し感を主張させた「支那そば」

濃厚かつスッキリな「魚介豚骨醤油らーめん」

麺の素晴らしさを堪能するならこれ!「油そば」

 煮干し感と醤油感を押し出した和風テイストでありながら、動物系のコクもしっかりと感じられ、単に“あっさり”では納まらない濃厚さを持った「支那そば」。

 「塩豚骨」の濃厚な豚骨に「支那そば」の魚介テイストが加わった、超こってりと和風それぞれの良さを兼ね備えた「魚介豚骨醤油」。

 こってり感を強く出しながら和を感じる魚介テイストで、後味が意外とスッキリしたタレと、極太平打ち麺の味わいを存分に楽しめる「油そば」もオススメしたいメニュー。

流行りの「台湾まぜそば」も、パワー軒では独自の味わいに

 台湾まぜそばを食べた事が無いというご主人がニュアンスで作り、感覚で始めたというパワー軒オリジナルの「台湾まぜそば」は、ジャージャー麺と台湾まぜそばを掛け合わせたような味に仕上がったもので、他では味わえない一杯となっています。

限定メニュー「長浜ラーメン」

限定メニュー「パワー麺」

 限定メニューでありながら、少しずつ変化を加えて度々登場していたのが「長浜ラーメン」と「パワー麺」。

 「長浜ラーメン」はキメ細やかでゼラチン質に近い粘度と、唇がペットペトになるような濃厚感を楽しめる豚骨スープに、低加水の極細ストレート麺を合わせたもの。

 「パワー麺」は二郎インスパイアと言ってはいけない位にオリジナリティがあり、山盛りの炒め野菜や刻みニンニクに極太麺を合わせ、破壊的なボリューム感を誇った忘れられないものでした。

ラーメンに合わせたい大人気のサイドメニュー「パワー丼」

 そして「パワー軒」を語る上で外せないサイドメニューが「パワー丼」!

 ラーメンとセットに出来る小さめサイズの「パワー丼(小)」は、たっぷり入ったご飯の上にチャーシュー・キムチ・高菜・白髪ネギ・刻み海苔などがドサッとのせられたもの。

 その日の仕入れ具合などによってラーメンの具材が変わるのが「パワー軒」らしさであり、飽きない要因の一つでもあるのですが、この「パワー丼」は特に毎回結構違ったりします。それはもうご愛嬌ということで。

 ただ、メインとなる具材は不動となっており、チャーシューの肉汁やキムチの辛味などの味わいがご飯に染み込んだ感じが堪らないもので、さらにラーメンのスープを少しかけるともう一気に掻き込みたくなる美味しさ! 小サイズでもボリュームたっぷりで、パワーが溢れてくるようなサイドメニューです。


 ご主人はとても若く見えるのですが、今年で66歳になられたとの事。後継者も修業されているようですが、やはり「パワー軒」はご主人が居てこそのお店なので、末永く続けていただきたいと思います。

 令和の流行りのラーメン店とは全く違ったタイプですが、立川が誇る名店の一つで、パワーが溢れるオンリーワンなラーメンを食べられるオススメのお店です!

※新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策により、営業日・営業時間・営業形態などが変更になる場合があります。詳しくはお店の公式ツイッターをご確認ください。

ZATSU

2006年に開設したブログ「ZATSUのラーメン」の管理人。武蔵野・多摩地区を中心にしたラーメン食べ歩きを始めて15年以上。現在は年間400〜500杯程度を食べ、新店コレクターでありながらも老舗店やリピートするお店も多数あり。チェーン店からファミレス、カップ麺までも愛する真性の「ラーメン好き」で、基本的に何でも美味しく食べられる幸せ者。「自分の好みのラーメンを見つけて欲しい」と言う思いをモットーに色々なラーメンを紹介していきます。

本人ブログ(http://blog.livedoor.jp/zatsu_ke/

本人Twitter @zatsu_ke

カテゴリートップへ

もぐもぐ動画配信中!
アスキーグルメ 最新連載・特集一覧