「豚キムチ丼」「豚キムチ定食」
松屋
豚キムチ丼650円、豚キムチ定食730円
https://www.matsuyafoods.co.jp/matsuya/news_lp/200825.html
豚キムチは夏の季語
焼いている。漬けている。のせている。だから食べている。
重々しい書き出しになりましたが、豚キムチ、ごはんと一緒に食べたいおかずです。一人暮らしを始めた頃は、よく豚キムチを作っていたんですよね。調理も簡単ですし、若い胃袋にはぴったりの味わいですし。
まだまだ暑さは続きます。ガツンと濃い味のおかずが食べたい。久々に、あの若さあふれる時代の気持ちを取り戻したい。自由に、有機的に、発展的に松屋でいのちの輝きを表現していきたい。2025年ぐらいまで元気でいたい。
そこで松屋の「豚キムチ丼」「豚キムチ定食」です。8月25日から発売されています。
豚肩ロース肉と、国産野菜の自社製“富士山キムチ”(自社の富士山工場で製造したキムチ)、ニンニクの芽を、旨味広がる特製ダレと絡めて鉄板で焼き上げたという夏の定番「豚キムチ」が今年も登場。松屋にいわせれば「猛暑を乗り切る定番スタミナメニュー」だそうです。豚キムチは夏の季語。
豚キムチ丼(みそ汁、生玉子または半熟玉子付)は650円、豚キムチ定食 (ライス、みそ汁、生野菜、生玉子または半熟玉子付)は730円。
生玉子または半熟玉子の「選べる玉子」が付きます。キムチのピリッとした辛さ、玉子のまろやかさの両方を楽しめるとのこと。
発売記念サービスとして、豚キムチ丼、豚キムチ定食は9月8日午前10時までライス大盛無料サービスの対象です。
今回はいのちの輝きをシンプルに堪能するべく、豚キムチ丼にしました。店舗によって差はあるでしょうが、ワイルドな豚キムチの盛り付けに若干おののきます。
とにかく見た目がシンプルですね。まあ、ごはんに豚キムチをのせただけなので、トリッキーな外見になるはずもないのですが。余計なことをしていない点には好感を持ちます。
ともかく、構成要素が豚キムチ+丼という、直球とカーブしか投げない昭和のピッチャーのようなツーピッチメニューです。つまり、豚キムチの味がすべてとなる。
しかし、しかし……。これ、豚キムチの味が濃いと思うんですよ。マジで。「味が濃い」のコメントだけで終わってしまうのは記事的にどうかなあと思いつつも、さすがにそう言わざるをえない。正直、濃すぎるんじゃないかしら。
キムチがハチャメチャに辛い、ということはないです。まあ、塩辛いとはいえるかもしれない。味が濃いという意味で、“辛い”。白米と一緒に食べるのだから、味を濃くするのはわかるけれど、ちょっとやり過ぎではないか。
「豚キムチとはそういう味付けの料理だろう」と言われれば、まあ、そうかもしれません。しかし、ニンニクの芽の甘味が逆にアクセントになってしまうほど、豚キムチの味が強いというのは、どうでしょうか。
おいしいキムチは、酸味や塩辛さの中にも確かな旨味があります。そのコクが、豚肉の味を引き立ててこその豚キムチ。その考えでいくと、やはり、味が単調かなと……。
もっとも、この味付けはある程度、想定の範囲内。松屋のこの手のメニューは味が濃い、というのは基本路線なんですよ。編集部きっての松屋ニスト(松屋が好きな人)である筆者は、この程度では怯みません
そこでテイストをマイルドにするべく、半熟玉子を選んだのですが、微妙でした。うーん。まろやかにならなくもないのですが、それでも、豚キムチが強すぎる気がします。
生玉子のほうが味がまろやかになる
そこでもう一度、松屋に行き、今度は生玉子を選んでみました。
生玉子を選ぶと、黄身と白身を分けてくれる器具が出されます。ちなみに、これは「黄身分け器」などという名称で調理器具を扱うお店で売られており、数百円で購入できます。
松屋の広報写真から見ても、黄身だけをのせてほしいことは明らかです。ただ、白身までも入れたほうが、全体の味がまろやかになって、バランスが取れるのではないかと。
つまりですね、豚キムチの味を整えるべく、生玉子を選び、よくといてから、丼にかける。これが一番、まろやかにいただけるのではないでしょうか。これでも、まだまだ濃いとは思うものの。
松屋は「チゲ」系のメニューなどもそうなのですが、カレー以外の辛いメニューを作らせると、とにかく味が強くなってしまう傾向にあります。辛くてもいいのです。その分、コクがほしい。辛旨にしてほしい。
濃すぎて食べられないとまでは言いませんが、もっと旨味を増した味の作りにできないだろうかと感じてしまいます。残暑厳しい折、外で汗をかいてから食べるにはよいということなのでしょうか。そうはいっても、豚キムチとしてのクオリティを、高める方向に進めてもよいのではないか?
すこし手厳しい書き方かもしれませんが、「味が濃い」という点はどれだけ書いても書きすぎるということはないでしょう。そこを考慮して、店頭で選んでいただければと。濃いめの豚キムチで白米をわしわしとかき込むのも、いのちの輝きの表現だとは思いますので。
モーダル小嶋
1986年生まれ。担当分野は「なるべく広く」のオールドルーキー。編集部では若手ともベテランともいえない微妙な位置。一人めし連載「モーダル小嶋のTOKYO男子めし」もよろしくお願い申し上げます。
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