モーダル小嶋のTOKYO男子めし 第20回

特別なおいしさじゃないけど、そこがなんだかいい：

すき家の横濱オム牛カレーで子供の気持ちになるですよ

「横濱オム牛カレー」
すき家
並盛790円
https://www.sukiya.jp/news/2020/08/20200819.html

この横濱カレーにまさるあらめや

　子供の頃はカレーが好きでした。いまも好きです。どういうカレーが好きだったかというと、もうカレーだったらなんでも好きだった記憶があります。ただ、グリーンカレーなどを初めて食べたときは戸惑ったものですが、今では大好き。

　カレーのえらいところは、上にカツをのせようが、ハンバーグをのせようが、カレーの力強さはそのままに、デラックス感がプラスされるところですよね。子供が好きなカレーに、子供が好きな具をのせたら、好きになるに決まっているわけで。

　すき家は、看板商品のひとつである「カレー」を8月26日に刷新。同時に「横濱オム牛カレー」を発売しました。税込790円。

この女性のイラストがいいんですよね。ちょっと懐かしい感じで、かわいくてね

　牛肉と、玉子でチーズとほうれん草を包んだ“オム”をトッピングしたカレーメニュー。ただでさえ人気者のカレーに、牛丼要素とオムレツ要素が加わって、なんだか東映まんがまつりみたいです。古いですか？

　すき家発祥の地「横濱」を冠する新しいカレーは、野菜がとけ込んだやさしいコクの欧風カレーとうたっています。牛肉やオム、チーズなど様々なトッピングに合うよう、ルーの隠し味にヨーグルトを加え、マイルドな味わいに仕上げたそう。

ワイルドな盛り付けでした

　そういうわけで食べてみたのですが、一言で言えば、懐かしい味わいだな……と感じました。

　正直に言えば、カレーは、すばらしく上質というわけではない。ちょっとシャバシャバしていて、濃厚なコクがあるわけではないんですよね。スパイシーというよりは、野菜が溶け込んだ味（と、ヨーグルト）が個性を放つタイプとはいえ、どっしりとしていない印象はあります。

　そこを物足りないと取る向きはありましょうが、いろいろなトッピングをする土台にはよいのではないかと。安っぽい味、というほどクオリティーが低くはないですし。

オムの存在感が強い

　オムは、チーズとほうれん草を包んでいて、給食チックなテイストというか。もちろん、悪く言っているわけではない。この素朴な味わいが、逆にカレーと合わさることで、アクセントになるんですよね。この部分がとても上質に作り込まれていると、逆に浮いてしまうのではないかと。

チーズも入っていますね

　とりわけチーズが入っているのがよくて、「玉子をのせただけでは？」と思われるかもしれませんが、チーズの風味とコクが加わることで、カレーと相性よくいただけます。

　牛肉部分は、牛丼の具のそれです。いわゆる「あいがけカレー」ですね。ここも特筆するようなことはないのですが、すくなくとも悪くはない。このあたりはさすがに牛丼チェーン、カレーと牛肉を組み合わせても違和感のない味のバランスになっています。

　ここまで書いて気づいたのですが、具材に特別な組み合わせのマジックはないものの、大きなマイナスもないところが、好印象につながっているのかもしれません。

牛肉もあります

　とてもよくできているとか、ありえないコストパフォーマンスだとか、そういうものではないんです。並盛790円ですから、牛丼チェーンにおいては安いとは決して言えないでしょう。

　なんというか、隙がある。カレーもものすごく上質ではないし、オムの作りもざっくりしているし、牛肉は牛丼そのまんまだし。でも、そういう“ユルい”感じに、さながらフードコートで出てきそうな、懐かしい風情があるんですよ。

　子供の頃に食べたら好きになったんじゃないかな、と思わせる、童心に帰れるカレーです。もう絶対食べてくれ、と言うものではありませんが、関係ねーですよ。食べたくなる何かがあるのでごぜーます。チェックしてみてください。

モーダル小嶋

 

1986年生まれ。担当分野は「なるべく広く」のオールドルーキー。編集部では若手ともベテランともいえない微妙な位置。一人めし連載「モーダル小嶋のTOKYO男子めし」もよろしくお願い申し上げます。

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