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元Astell&Kernの責任者が作った、新ハイレゾ機「Kontinum K100」を聴く

2020年08月24日 16時20分更新

文● 佐々木喜洋 編集●ASCII

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音質のインプレッション

 試聴はCampfire Audioの「Solaris」、Westoneカスタムの「ES80」、Noble Audioの「KATANA」を使用。DSPモードのデフォルトは32bitモードであり、32bitモードで聴きはじめた。

 はじめに結論めいたものを述べると、交換式バッテリーが耳目を集めるK100だが、音を聞くとK100の最大の強みは実は音質にあるということが分かる。それはいわゆるオンリーワンと言える個性を持っているものだ。そして試聴を進め、調べていくうちに、そのカギを握るのが本機独自の32ビットモードにあるのではないかということも分かってくる。

 K100の音を聴いて感嘆するのは、その音がとても滑らかで柔らかく暖かみがあり、いわば音楽的で美しいという点だ。ハイエンド機に時としてあるモニター的な無機的な音ではない。

 楽器の音のエッジもきつさがまったくなく、とてもスムーズで柔らかい。ただしいわゆるピントがぼけているように甘いわけではなく、良録音のジャズなどでは楽器の音はハイエンドDAC ICのAK4497らしく明瞭感が高い。高音域のハイハットなどは鮮明でシャープだ。ボーカルも聞いていて気持ちが良く、声のかすれやため息の表現も一級だ。

3段階のゲインコントロールやDSPの動作モードの変更が設定できる。

 そこでシャープなイヤモニ代表といえる、Noble AudioのKATANAを取り出して試してみたが、やはり録音に左右されずきつさはほとんど感じられない。演出的とか誇張的ではないが、プロ用途ではなく音楽リスニングに振った感じのチューニングだと思う。

 低域には独特の深みがあってES80やSolarisのようにワイドレンジで低域に強い機種では深く沈み込むような気持ち良さを感じる。音の広がりもまた奥行きを感じられて音空間も立体的で深みがある。

 また、音に力感があってDACのみならずアンプが強力な感じがする。3.5mm端子でも力強さと音の広がりは良好だ。音は耳に近くライブの前の方で聴いている感覚を覚える。2.5mm端子に変えると音圧は高くなり一層力強さは増す。また音の広がりや立体感もさらに向上する。ただ、バランス駆動もいいがアンバランスでもかなり完成された音ではあると思う。音の良さを考えると、底面の幅広いところにヘッドホン用の6.3mm端子があっても良かったのではないかとも思った。

 DSPモードを変えて24bitモードにすると普通のDAPにより近い感じになって独特の柔らかさは後退するので、この独特の音の感じは32bitモードの時の個性と感じた。32bitモードにすることで、いわばデジタル真空管のように濃厚な音になる感じだ。

 32bitモードでは基本的にCPUではなくXMOS側で、より完全な32bit処理を行ってDACに送り込む仕組みということだ。ちなみにXMOSとは内部が小さなコンピューターのようになっているカスタムICのことだ。24bitモードのときはXMOSがバイパスされてCPUで処理が行われるという。

 ただし32bitモードを使い続けると、電池は5時間ほどしか持たない。24bitモードにすれば8時間ほど再生できる。このため自動切り替えのモードもある。自動を選ぶと、ファイルタイプ/消費電力を考慮して適切なモードに切り替えるそうだ。

 具体的には、DSDやMQA、もともと32bitのPCM音源は32bitモードとなり、ほかは24bitモードになる。しかし、この32bitモードの効果は大きいので、デフォルトは32bitモードが選択されている。私も32bitモードで聴くことを強くお勧めする。バッテリーは交換できるのだから。

10バンドのEQも用意している。

 なお、使用中の本体は、結構熱を持つ。オーディオ的にはA級アンプなどに見られるように発熱するほど音がいいように思うが、プレーヤーとしては熱を持つと、先に述べたバッテリー劣化の問題がある。そういう意味では、K100は交換式バッテリーにすることで発熱を許容できる側面もあるだろう。

 最後にWi-Fi設定をしてストリーミング機能も試してみた。アプリはTIDALを入れてみたけれどもなかなかよい音でストリーミングも楽しめた。TIDAL Masters(MQA音源)ももちろん再生できる。機能的にも十分なDAPと言えるだろう。

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