コロナ騒ぎが始まった今年初めころから約半年間、ダイソーの500円ミリタリー腕時計以外には、新しい腕時計をまったく衝動買いしていなかった。筆者が感じるここ数年の国内腕時計トレンドは、テクノロジー前面押し出し系や外観デザイン奇抜系のモノから、よく言えば大人でシックで目立たない地味なミニマルデザイン系に移行してきている。
筆者も日本メイドのなんちゃってミニマル系腕時計が登場してきたころは、心からヨイショして自らも先行衝動買いしたが、その後、登場する腕時計は猫も杓子も、同じようななんちゃってミニマル腕時計ばかりで心底残念だ。いずれを見ても、そのデザインルーツは、バウハウス系のNOMOS(ノモス)や古くはブラウンやユンハンスの腕時計のそっくりさんばかりなのだ。
多少辟易したころに、SNSなどで時々広告を見かけるようになった、UNDONE(アンダーン)と呼ばれる香港ゆかりの腕時計ブランドに目が留まった。アンダーンの特長は、昨今流行のミニマル系とは無縁の見かけ豪華で、多少ミーハーな腕時計が元気だった1960年〜1980年ころの雰囲気を持った、ちょっとレガシーで格好いい腕時計だ。
そしてアンダーン腕時計の最大の特徴は、世界的に有名な人気キャラクターとのコラボ腕時計やユーザーがお気に入りのベースモデルを選び、ウェブ上でお好みの色や形のパーツを組み合わせてカスタマイズすることで、1億以上の組み合わせの中から自分オンリーの腕時計をクリエーションできることだ。
筆者が衝動買いした腕時計も、ダイヤル、ケース、ベゼル、ムーブメント、ストラップ、文字盤上のイニシャル文字、背面カバーへの印刷などをユーザーがウェブ画面上で取捨選択して世界で自分だけのオリジナル腕時計を作り上げることができる。
筆者は、数あるアンダーンの腕時計の中からBasecamp(ベースキャンプ)Classic Blackoutという腕時計を選んだ。ウェブでのコメントを見ると、どうも作者はロレックスの往年の冒険腕時計であるエクスプローラーIIの特徴的なオレンジ色の24時間針にオマージュして、自ら開発したようだ。
Basecamp腕時計は、ダイヤル、ケース、ベゼル、ムーブメント、ストラップ、文字盤上のイニシャル文字、背面カバーへの印刷などのオプションをガイドメニューに沿って選択してゆくだけで、自分専用のカスタマイズ腕時計を実現してくれる
筆者は、Basecamp Classic Blackout(3万7800円)のベースモデルから、いろいろカスタマイズしてみた。まず基本カラーはブラックにしたかったので、ダイヤル(文字盤)はブラックにスモークイエローのインデックス。ケースももちろんブラック。
ベゼルは光沢のあるインデックスマーカー付きのガラスベゼル。ムーブメントの選択は、カレンダー表示の数字の背景色だけだが、文字が目立ちすぎずダイヤルカラーとの違和感もないように、同じブラック背景の白文字を選択。そしてストラップは、カーフ素材で文字盤上の時刻表示の数字に近い濃いイエローを選択した。
これらのカスタマイズのほとんどはパーツの選択要素なので、それによる価格アップはまったくない。価格がアップルするカスタマイズオプションは、12時マーカーの直下に記述するイニシャルなどの3文字(+2400円)と、背面の強化ガラスカバーへのカラー印刷(+2400円)の2つだけだ。
いずれも絶対必要なアイデンティティーでもないが、カスタマイズという観点からはなかなか無視するのも残念な要素であることは事実だ。ミーハーな筆者はもちろんこの両方のオプションを採用したので、実質的な購入価格は4万2600円になってしまった。
2つのオプションの内で特に選択を悩んだのは、背面の強化ガラスへのプリントだった。プリントなしの無料を選択した場合、腕時計の裏側から内部のムーブメントが透けて見える仕様で、これはこれでなかなか捨てがたい魅力なのだ。
Basecampの場合、採用されているムーブメントはSII(セイコーインスツル)が他社腕時計メーカーに供給するなかなか評判のよいキャリバー「NH35A」なので、その型番が記されたローターが透けて見えてグルグル廻るだけで、ミーハーな筆者には超うれしい仕様だ。しかし、個性を追求する仕様にするにはオリジナル画像のプリントも捨てがたい魅力だ。
最終的に、今回はユニークさ、目立ち度という誘惑に負けてプリントするというオプションを選択することにした。
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