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“薬を渡すだけの場所”から“患者に付加価値を提供する場所”へ

薬局の課題解決と患者満足の両立を支援 薬局体験アシスタント「Musubi」リニューアル

2020年07月14日 09時00分更新

文● 山口/ASCII

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 カケハシは7月2日、薬局体験アシスタント「Musubi」のリニューアルを発表した。

 薬局の働き方改革と患者満足の両立を通じた薬局体験の向上を支援するため、Musubiと連携する2つのサービス「Pocket Musubi」および「Musubi Insight」を提供開始する。

 Pocket Musubiは、服薬期間中のフォローを軸とした患者と薬局の関係づくりをサポートするアプリ。薬局から提供されるQRコードを介して 服用薬データを入力。同データに基づいたフォローに必要な質問が、自動で患者のアプリに送信される。

 質問に対する回答だけでなく、 体温や食事の内容・薬を用法に従って飲んだかなど、患者側が簡単な操作で記録可能としている。薬剤師は、Pocket Musubiの管理画面を通じて患者のデータを確認しながら服薬中の状況を把握し、適切なフォローができるという。

 患者との過剰なやり取りや極端な連絡不足を防ぎ、最小限の業務負荷でコミュニケーションを図ることで、患者満足を実現しながら現実的で継続可能な業務フロー構築を支援する。なお、iOSアプリとして提供開始する。

「Pocket Musubi」のサービスイメージ

 Musubi Insightは、Musubiのデータを使用して薬局経営上の重要な指標を可視化。根拠に基づく薬局運営を実現するクラウドサービス。

 薬歴完了率のような薬剤師の業務状況を表すデータから、売上をはじめとする店舗経営データ、処方箋数や再来率・新患率など患者との関係性を表すデータなどを見える化。解決すべき課題の発見・把握を効率化し、適正な薬局運営の実現を支援する。

「Musubi Insight」のサービスイメージ

電子薬歴だけとどまらない
包括的な薬局体験プラットフォームとして提供

 2015年、厚生労働省による「患者のための薬局ビジョン」では、薬局における対物業務から対人業務へのシフトが提唱された。2020年9月に施行される改正薬機法では、薬剤師による「服薬期間中のフォローの義務化」が開始されるなど、薬局・薬剤師を取り巻く環境が大きく変化しつつある。

 さらに、新型コロナウイルス感染症の影響で新しい生活様式が普及するなか、薬剤師は患者にとってより身近な専門家であることが求められるようになると推測されている。

 これまでMusubiは、電子薬歴サービスとして調剤薬局向けにのみ提供していた。今回のリニューアルでは、薬剤師・患者をトータルでサポートする形となる。

 カケハシの取締役CTO 海老原氏は、「薬局業界の約3割弱が紙で薬歴を作成しており、他業界と比べてIT化が遅れています。そのため、さまざまなソフトウェアベンダーが電子薬歴サービスを提供していますが、電子化の支援としてはそれだけに留まっている状況です。今回のソリューションは、薬局の働き方改革と患者さんの満足を同時に支援する包括的な薬局体験プラットフォームとして提供します」

 「薬歴の電子化やデータ活用は大前提とし、今後は、調剤薬局業界全体のオペレーションやプロセスがどう変わっていくべきなのか、といったことも視野に入れたシステムを提供することが重要です。本リニューアルは、カケハシによるDX化の第一段となります。DX化といっても、調剤薬局オーナーの悩みや課題にリンクしていないと意味がありません。Pocket Musubi、Musubi Insightを通して、これからの薬局経営を再設計していきます」と語った。

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