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MacのCPU変更がついに発表! 「WWDC 2020」特集 第8回

アップル、WWDC20基調講演に見る「統合」と「変化」の時代

2020年06月23日 19時00分更新

文● 西田 宗千佳 編集●飯島 恵里子/ASCII

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軽量アプリを即座に読み込んで支払いやサービスの利用をする「App Clips」

「App Clips」に見るリアル市場拡大の可能性

 個人的に大きく可能性を感じるのが、iOS 14に導入される「App Clips」だ。

 これは簡単に言えば、サイズが小さく機能の一部だけを持つアプリを短い時間でロードする仕組み。店舗でNFCやQRコードを使い、すばやく「ちょっとここで決済したい」「ちょっとこのサービスを使いたい」ときに呼び出せる。アプリストアまで行く手間を省くことで、実質的にアプリ利用とサービス利用の拡大を促進するのが狙いだ。

 これは別に新しいものではなく、中国などでも「ミニアプリ」として広がっているものだ。一般的にはウェブ技術で構築するが、App Clipsはネイティブのアプリとして作る。要はアプリの一部機能を切り出したような形だ。サイズは10MB以下で、一般的なアプリと同様のセキュリティモデルで扱われる。

 これをどう使うかは難しい。なぜなら、リアルのストアやECサイトなど、従来アプリを「ダウンロードしてから使ってもらう」業種での顧客導線を作り直す必要があるからだ。だが、周知が広がれば、街中でのアプリ利用拡大のきっかけになりうる。日本では「アプリによって生まれる経済圏」が、ゲームなどのデジタルコンテンツ課金やネットサービスの利用に偏っている部分がある。リアルな店舗をいかに便利にするのか、という意味では価値あるものであり、知恵を絞る価値がある。

 ただ課題は、「iPhoneのみのもの」であり、Androidユーザー向けの施策を別途用意しないといけない、という店である。「iPhoneユーザーに利便性が高まればいい」と判断するか、それとも「半分のユーザーにしか使われないなら別の方法を」となるのか。そこは難しい選択肢を迫られそうだ。

 

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