スマホ決済のニューカマー「HUAWEI Pay」は
香港でどのくらい使えるのか?
スマートフォンを使ったQRコード決済の利用者が急増していますが、スマートフォンメーカーによるNFCを使った支払いサービスも競争が激化しそうです。この分野で圧倒的なシェアを誇るアップルの後を追いかけて、サムスン電子が参入。そしてついにファーウェイも「HUAWEI Pay」を開始しました。
HUAWEI Payは現時点で中国、香港、ロシアなど数ヵ国のみでサービス中。複数のクレジットカードなどを登録しておけば店舗での支払いもスマートフォンをかざすだけと簡単です。今回は筆者が住む香港でそのHUAWEI Payを試してみました。
HUAWEI Payに対応するのはファーウェイのNFC内蔵スマートフォン。2020年6月時点での対応機種はファーウェイのウェブサイトによると以下の機種とのこと。今回は香港で購入したHUAWEI P40を使ってみました。
- HUAWEI Mateシリーズ
- Mate Xs, Mate X, Mate 30, Mate 30 Pro, PORSCHE DESIGN Mate 30 RS, Mate 20, Mate 20 Pro, PORSCHE DESIGN Mate 20 RS, PORSCHE DESIGN Mate RS, Mate 10, Mate 10 Pro, PORSCHE DESIGN Mate 10, Mate 9, Mate 9 Pro, PORSCHE DESIGN Mate 9
- HUAWEI Pシリーズ
- P40, P40 Pro, P40 Pro+, P30, P30 Pro, P20, P20 Pro, P10, P10 Plus
- Honorシリーズ
- Honor View30 Pro, Honor 10, Honor View 10, Honor 9, Honor 8 Pro
HUAWEI Payを香港で使うためには、まずHUAWEI AppGalleryでHUAWEI IDでログイン、設定から登録国/地域を香港にする必要があります。筆者は過去も別のファーウェイの端末を使っていたためHUAWEI IDの国は日本になっていたため変更しました。続けてWalletアプリを起動、カードを追加します。香港で利用できるカードは中国銀行(香港)、ICBC、Tap&Go(UnionPay)の3種類。
なお、Tap&Goはプリペイド式のデビットカードです。登録には香港IDカードまたはパスポート、香港の携帯電話番号が必要です。携帯電話番号はプリペイドでも構わないので、外国人でもパスポートで登録できるかもしれません(筆者は香港居住者なので香港IDで登録)。もし、この記事を読んで興味を持った方はパスポート登録で試してみてください。
Tap&Goは登録が終わるとUnionPayカード(銀聯)とマスターカード、それぞれのデビットカードが登録されます。チャージはQRコードを使い、香港のコンビニから現金でできます。Tap&PayでHUAWEI Payに登録できるのはUnionPayカードのほうなので、100香港ドル(約1400円)を入れました。
さてHUAWEI Payでスマートフォンのカードの画面をスキャン、または数字を手入力してカード登録を完了させます。登録時には支払い時の認証として指紋登録ができるため、毎回パスコードを入れる必要もありません。
では早速使ってみます。ファーストフード店の自動注文マシンで利用してみましょう。端末の横には使えるペイメントサービスが表示されていますが、HUAWEI Payはありません。しかし、UnionPayカードを登録していることから、UnionPayのキャッシュレス端末であればHUAWEI Payが使えるのです。
オーダーを決めて支払い方法を選び、NFCのリーダーにHUAWEI P40をタッチします。すると自動的にWalletアプリが起動します。
続けて指紋認証を行ないます。すると支払い機のリーダーの画面が通信画面となります。無事UnionPayのセンターと通信しています。数秒するとレシートが出てきて支払いは完了です。あとはレシートを持って、食事の受け取りカウンターで番号を呼ばれるのを待つだけ。
ここでTap&Goのアプリを起動すると購入金額11香港ドルが引かれ、残高が89香港ドルになっています。無事支払いは完了しました。なお個人的な都合上Tap & Goのアプリは他のスマートフォンに入れています。
HUAWEI Payには今後会員カードなども登録できるようになるようです。しかし、現時点ではあまり大きなメリットがないのが残念なところ。なぜならHUAWEI Payを使った優待サービスがあまりないからです。しかもHUAWEI Pay対応のお店は香港にはまだわずかしかありません。そのため、現状はUnionPayが使えるお店で使うしかなく、優待を受けるとしてもUnionPayのものだけになってしまいます。
香港でSamsung Payが始まったころは、大々的な支払い時の割引キャンペーンが行なわれました。また香港版Suicaともいえる香港の交通系ICカード「オクトパスカード」にもいち早く対応。オクトパスカードはつい最近Apple Payにも対応しましたが、iPhoneユーザーがGalaxyユーザーをうらやましいと思い続けていたほど、オクトパスカードは香港では誰もが持っている生活必須のICカードなのです。ところがHUAWEI Payはキャンペーンも目立っておらず、オクトパスカードにも対応しません。
とはいえHUAWEI Payはまだ始まったばかりです。今後はHUAWEI Payが独自に使える店を増やすことや、それと合わせて大掛かりなキャッシュバックキャンペーンなどを進めていくことでしょう。またファーウェイのスマートウォッチはすでに中国で各都市の交通系ICカード機能を搭載しています。今後はスマートウォッチにWalletを内蔵し、HUAWEI PayにICカードを登録する、としていけば利用するメリットも広がります。数年後にはファーウェイのスマートフォンがiPhoneのように支払いにも便利に使えるようになっているでしょう。
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