実走を重ねて時代にマッチングした脚へ
Modulo Xコンプリートカーの魅力のひとつに、上質かつしなやかな脚が挙げられる。その脚を支えるサスペンションも今回登場する。500セット限定販売というサスペンション(17万500円税込)には、フロントのみ減衰力機構が搭載され、付属の工具を使い5段階で調整可能だ。
S2000の社外サスペンションは出尽くした感があるのだが、なぜ今出すのか? 川村氏は「これもグランドコンセプトからです。“20年目のマイナーモデルチェンジ”で乗り味の良さを表現するためのマストアイテムです」と理由を語る。担当した渡部氏は「S2000で一番気持ち良い旋回舵角ってどれくらいなの?」と上司から宿題を与えられました 。私もイチオーナーですから、普段オーナーの皆さんが乗る一般道で改めてじっくりとS2000と向き合って、S2000が一番気持ちよく感じる旋回シーンを定めました。それがステアリング30度の舵角で曲がる旋回シーンです。テストは主にHondaのテストコースにて確認を行なっておりますが、オーナーの皆さんが多用する高速道路やワインディングといった一般道を想定し、テストコースもそこに焦点をあわせて確認を行なっております」。500本限定にも関わらず、テストコースで徹底的に実走検討したというのは驚きだ。
残念ながら今回試乗は叶わなかったものの、撮影時少し「手で車両を押した」程度でも「あ、このクルマ、結構柔らかい乗り味かも」と思わせる手ごたえを感じた。渡部氏は「ダイナミック性能のコンセプトをワインディングマスターとして進めてきました。20年分の時代進化分であったり、Moduloとして蓄えたノウハウをふんだんに投入した結果、街乗りの乗り心地を犠牲にせず、ワインディングでも懐深く、安心してアクセルを踏めて楽しめる、そんなサスペンションになっています。また、現代のタイヤ特性を考慮して前後バネ、ダンパーも見直しています。特にリア側の突き上げ感を改善したことで、先にあげましたように走りの良さや、乗り心地の上質感が高い次元でバランスの取れたものが完成しました」と自信をみせる。
20年前とはタイヤの性能が異なる。そこに焦点を置いたというのは目からウロコだ。その上でModuloブランドらしさを重視しているという。川村氏も「Moduloの乗り味である、意のままのコントロール性、4輪で舵を切る感覚は一貫しています。人車一体の美しくしなやかな旋回姿勢を極めて、とにかく曲がるのが楽しいクルマに仕上がっています」と自画自賛する。
スポーツカーゆえ、社外サスペンションの多くは硬いセッティングであることが多い。若い頃に交換し当時は良いと思っても歳を重ね「硬いのはちょっと辛い」という方はもちろんのこと、純正サスペンションのまま乗り続けている方は、リプレースとして新型サスペンションを検討してみてはいかがだろう。ちなみに車高は10mmほどダウンするので、スタイリングの面でも◎。言うまでもないが、その程度車高を下げたとしても、街乗りで困ることはないし、車検もOKだ。しかし、限定の500セットは残りわずかとのこと(記事掲載時に完売している可能性もあります)。
日常使いできるアクセサリーで20周年をお祝い
今回登場するアクセサリー群はエアロやサスペンションに留まらない。まずは、ホンダアクセスが得意とするフロアカーペットマットが赤と黒の2色登場する。
多くの方はフロアマットを新車購入時に買い求めて以来、あまり替えないのではないだろうか。当然ながら20年モノのフロアマットはかなり汚れて、そしてヘタっていることだろう。フロアマットは2分割式で、車両にジャストフィットするのはもちろんのこと、底面にはズレ防止加工がなされているので、スポーツドライビングにも十分に対応する。そして運転席・助手席の両方にS2000誕生20周年ロゴのエンブレムがさり気なくあしらわれている。
そしてもう一つは室内の足元を照らすLEDライト。イマドキの新車では人気のアイテムだ。乗り降りの際に明るく点灯するほか、スモールランプに連動するとのこと。夜のドライブで役立つこと間違いナシの品だ。
センターコンソールのオーディオリットは、オーナーからの要望が多かった一品。デザインした梅原氏は「20周年記念品としてオーナーさんに喜んでもらいたいとデザインました。20thロゴが映える質感(ブラックのヘアライン調)にし、特別感を演出しています。グラフィックは何パターンも検討し、装着時、または単品でもバランスがよく見えるレイアウトにしています」という。
ところが見た目以外、簡単にできるものと思いきや、ここで問題が起きる。熊本氏は「車両標準のオーディオリッドと同一のお取引先様・金型・製法ですが、表面のフィルムが進化していて標準と比較して硬い為、同一の製造条件では品質が保てなかったのです。感覚的には品質熟成工数はかからないと思っていた製品だったのですが、結局4回も成形トライを実施していただくとともに、単品でのデキ栄えのみならず、常に車両取付状態かつ太陽光下での見映えも確認することなど、使用するオーナー様目線に立って検証しました。また、お取引先様にもテスト車両を目の前にし、車両に乗り込んで取付状態での確認を一緒になって実施しました。仕上がりについて厳しく追及しつつもS2000について談笑しながら、楽しく品質熟成できました」と徹底的にこだわっている。これもすべてS2000愛があるからこそだ。
残念ながら2000個限定で既に受注終了。S2000は約2万台国内販売されているが、その1割に取り付けられるという計算だ。個人的には再受注して、その割合を増やしてほしいところだ。