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同一筐体内の異なる仮想マシンでアプリケーションを動かせる「AppsON」を提供

コンテナベースの新型ミッドレンジストレージ「Dell EMC PowerStore」投入

2020年05月15日 09時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

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 2020年5月14日、デルテクノロジーズ(デルおよびEMCジャパン)はミッドレンジストレージの新製品「Dell EMC PowerStore」を発表した。オンライン開催された発表会ではDell Technologies(EMCジャパン)の遠井 雅和氏と森山 輝彦氏がデルとEMCのテクノロジーを集大成したデータ中心型ストレージのメリットをアピールした。

Dell EMC PowerStore

「データ中心型の設計」を実現すべくデルとEMCとゼロから開発

 Dell EMC PowerStoreはデルとEMCが合併して以来、初めてゼロから開発されたミッドレンジストレージ。これからのITに求められる「データ中心型」「インテリジェント」「順応性」を実現すべく、両社が従来から培ってきたテクノロジーを惜しげなく搭載しているという。

Dell Technologies(EMCジャパン) MDC事業本部 事業本部長 遠井 雅和氏

 Dell EMC PowerStoreは「ノード」と呼ばれるアクティブ・アクティブのコントローラーとドライブを搭載するエンクロージャーから構成されており、「ミッドレンジで最高の可用性」である99.9999%の可用性を実現するという。また、高速なNVMeを前提とした設計、「Intel Optane SSD」による永続ストレージとしてのSCM(Storage Class Memory)の対応により、従来のミッドレンジ製品「Unity-TX」に比べて7倍の高速化、1/3のレイテンシーを実現する。

 拡張性に関しては、拡張エンクロージャーを用いることで、アプライアンスあたり最大2.8PBeのスケールアップが可能なほか、ノード自体を増やすことでクラスターあたり最大11.3PBeのスケールアウトを実現。容量とパフォーマンスをそれぞれリニアに拡張できるのが特徴だ。さらにインテリジェントな重複排除や圧縮などを用いたデータ削減も強化。 「Dell EMC Future-Proof Program」と呼ばれるプログラムにおいて、4:1のデータ削減を保証するという(従来は3:1)。

スケールアップとスケールアウト

 近年注力しているインテリジェント(自動化・可視化)については、機械学習によって初期ボリューム配置、移行、ロードバランス、問題解決などを自動的に行なう。また、クラウド型のストレージモニタリングやアナリティクスを提供する「Dell EMC CloudIQ」によって、リアルタイムのパフォーマンス測定や履歴のトラッキングなど幅広いインサイトを得ることができる。

 さらにKubernetesやAnsible、VMware vRealize Orchestratorをはじめとした管理/オーケストレーションフレームワークをサポートしているため、展開に要する期間を従来の数日単位から数秒単位へと大幅に削減することが可能になるという。

コンテナベースのアーキテクチャで高い柔軟性

 新しいチャレンジとなるのが「順応性」を実現するための技術革新だ。まず、新たに搭載される「PowerStore OS」のソフトウェアは仮想マシンベースからコンテナベースのアーキテクチャに刷新された。モジュールの独立性が高いコンテナを採用することで、開発や修正への対応も迅速になり、従来は筐体単位で必要だった再起動も、コンテナ単位で行なえば済むという柔軟性が得られるという。

Dell Technologies(EMCジャパン)MDC事業本部 SE本部長 森山 輝彦氏

 デプロイに関しても、OSを直接ハードウェア上で動作させる従来型の「Tモデル」と呼ばれるデプロイに加え、ハイパーバイザー(VMware ESXi)上にPowerStore OSを搭載した「Xモデル」という形態が用意される。Xモデルでは、同一筐体内にPower Store OSのホストとは異なる別の仮想マシンを用意し、「データ集中型VM」としてアプリケーションを直接実行できる。いわばHCIと同じような機能を提供するこの「AppsON」という機能では、遅延にセンシティブで大容量データを扱うワークロードを動作させることを想定しているという。

 モデルは1000/3000/5000/7000/9000の5モデルが提供。「Dell EMC Unity」「Dell EMC SCシリーズ」「Dell EMC PSシリーズ」「Dell EMC VNX」「Dell EMC XtremIO」といった既存のストレージからシームレスな移行オプションを活用できる。また、上位モデルや新製品への買い替え、スケールアウトのための台数追加など柔軟なアップグレードに対応するAnytime Upgradeプログラムの対象となるほか、柔軟な従量課金オプション「Dell Technologies On Demand(DTOD)」も利用可能となっている。

 価格は880万円~(税別、最小構成、12カ月オンサイト保守サービス込み、ProDeploy for Enterpriseプロモーション適用時)で、同日から日本でも提供開始されている。

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