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グローバルでリモートワークを継続するSlackの最新動向とノウハウ

日本法人代表の佐々木氏に聞いたリモートワークでのSlackの便利な活用法

2020年05月18日 09時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

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 新型コロナウイルスに対応するため、多くの会社が在宅勤務の導入を積極的に推進しているが、こうした在宅勤務に必須となるのが、Slackのようなビジネスコミュニケーションツールになる。グローバルでリモートワーク体制に移行しているSlackの現状とリモートワークでの便利な使い方について日本法人代表の佐々木聖治氏に聞いた。

Slack Japan 日本法人代表 佐々木聖治氏(Slack Japanより提供)

グローバルのSlackはオフィス閉鎖を2020年9月まで延長

 「メッセージングプラットフォーム」を謳うSlackも急速な成長を見せており、2月1日~3月25日までにグローバルで9000社の有償ユーザーを獲得しており、3月10日時点で同時接続数も1250万ユーザーに拡大している。こうしたユーザーの拡大に対してもあらかじめ予想してインフラを整備しているため、パフォーマンスの劣化もないという。

 全世界で18ヶ所のオフィスを持つSlackだが、新型コロナウイルスに対応すべく、現在はオフィスを閉鎖し、リモートワークが実施されている。先日はオフィス閉鎖の期間を2020年9月まで延長することが早々に発表され、業界を驚かしている。

 Slack社員が米国本社に集まって3月11日に開催される予定だったグローバルのセールスミーティングもオンライン開催となり、プレゼンテーションやアトラクションもすべてチャンネル上で行なわれた。「もともとオンラインでの全社会議や1on1などはオンラインでやっているので、オペレーションは慣れていますが、ここまで大規模でインタラクティブな社内ミーティングはさすがに始めてです」と佐々木氏は語る。

 日本法人のSlack Japanは中国に近いオフィスということもあり、2月からリモートワークが推奨され、3月6日から原則在宅勤務になっている。また、ユーザー事例や活用提案を披露するセミナー「Why Slack?」もオンライン開催となり、参加者数はむしろ伸びた。佐々木氏は、「在宅勤務やリモートワークだからといってなにかが停滞していることはまったくありません。これまで通り情報や仕事場はSlackにあるので、不自由しません」と断言する。

リモートワークで活用したいSlackの便利な機能

 今回の新型コロナウイルスのような危機に対しても迅速に対応できるようになるのが、メッセージプラットフォームであるSlackの大きなメリットだ。特にリモートワークに関しては、Slack自体が実践を通して、さまざまなノウハウを得ていることもあり、さまざまな活用法があるという。ここではおもに在宅勤務を前提とした「生産性のキープ」「見える化」「人とのつながりを作る」の3つのポイントで、Slackの便利な活用法を聞いてみた。

・ステータスは細かく設定
相手の状況が把握しにくいリモートワークではステータスをこまめに更新することが重要になる。現在のステータスが細かく見える化されれば、コミュニケーションも円滑になる。「『ランチ中』というステータスも、そば食べてるのか、カレー食べているのかまで細かく入れておけば、コミュニケーションのきっかけになります」(佐々木氏)

ステータスは細かく設定しておく

・会議はチャンネルに移行
オフィスで行なっていた会議はチャンネルに移行する。「時間や場所の概念を超えることができ、会議を同時に複数こなすことも可能になります」(佐々木氏)とのことで、特定のトピックに関してのディスカッションがいつも行なえる。3月のアップデートでは「ドラフト」という下書き機能が付いたので、メールに慣れている人でも抵抗感なく移行できそうだ。

・リモートワークで便利なチャンネルの例
社員全員に情報を行き渡らせるにはアナウンスチャンネル、部署やプロジェクト単位でのやりとりはチームチャンネルを活用。また、孤独に陥りがちな在宅勤務の環境でも近況を気軽に報告できる雑談チャンネルや、従業員がIT部門や他部門に支援を求められるヘルプチャンネルなども便利。もちろん、顧客や取引先など社外のコラボレーションには共有チャンネルを使えば、共同作業も容易だ。

雑談チャンネルが有効

3月のUIアップデートではサイドバーでは、サイドバーのチャンネルが整理できるようになった。重要なチャンネルにスターを付けることができ、未読がある場合は太字になったり、通知のバッジが表示される。

・ワークフロービルダーで申請フローを自動化
ワークフロービルダーを用いることで、Slackをベースにした業務フローを作れる。既存の申請フローのほか、チーム内での週次・月次報告などのフォーマットを定型化できる。「Slack Japanでは、リモートワーク期間中のオフィス入室の承認フローをワークフロービルダーで作りました。作ったのは入社3ヶ月の人事部の社員です」(佐々木氏)。

・他社サービスとの連携を試す
音声・ビデオチャットとの親和性が高いのもSlackのメリット。内線電話代わりに使える「Slack Call」という音声・ビデオチャット機能のほか、ZoomやGoogle Meet、WebEx、BlueJeansなどと連携も容易だ。「雑談から話が盛り上がって、ZoomやSlack Callで直接やりとりするといったことも弊社ではよくあります。チャンネル外とのやりとりや人数が多い場合はZoomを使いますね」(佐々木氏)。最近ではMicrosoft TeamsのWeb会議との連携も可能になった。

普段使っているWeb会議やスケジューラーと連携

スケジューラー系ではGoogleやOutlookとの連携も可能で、Slackからミーティングを設定できる。また、GoogleDriveやOneDriveのドキュメントもSlackから出し入れすることが可能。さらにメールとの連携もでき、GmailやOutlookメールをチャンネルに転送できる。総じて、G SuiteやOffice 365との相性は抜群だ。

新しいやり方を提案しつつ、顧客に寄り添う

 新型コロナウイルスとの戦いは、決して短期的に終わると思えない。多くの企業は既存のしがらみや常識にとらわれず、果敢にデジタルトランスフォーメーションに挑んでいかなければならない。

 日本の場合、オフラインでの対応を求める顧客も多いが、むしろデジタルでの新しいやり方を提案しているという。「既存のお客さまはすでに共有チャンネルでつながっているので、追加の相談や提案はリアルタイムに共有しています。新しいお客さまに関しては、チャンネルでのやりとりを体験いただき、社長・役員クラスでもZoomでの打ち合わせやデモをお願いしています」と佐々木氏は語る。

 こうした中、Slackは4月には新型コロナウイルスに対応する非営利団体、研究者、コミュニティ、医療機関などに対して、有料プランの3ヶ月の無償利用を可能にするプログラムを開始している。「お客さまに寄り添うカスタマーサービスで、利用環境を迅速に立ち上げるのが一番大きな役割だと思っています。有償ユーザー向けのカスタマーサクセスの体制を拡充し、外部のパートナーとも連携し、活動の幅を拡げていきたい」と佐々木氏は語る。

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