Huawei Technologies(華為技術)が3月31日に、2019年の決算報告を実施した。米中戦争による煽りを喰らっている同社だが、2019年の売上高は前年比19%増と堅調な成長を遂げた。背景にあるのは自国市場とスマートフォンだ。米政府がさらなる締め出しをとるのであれば「中国政府も対抗策に出るだろう」とするなど、対立は軟化しそうにない。
「難しい1年」でも、売上自体は前年比19%増でアップ
世界中の国々がウイルスとの戦いに苦戦する中、米中関係はいまだ改善していない――それを痛感した1時間半だった。
3月31日、輪番会長のEric Xu氏はじめファーウェイの3人の幹部は深センの本社から誰もいない会場で決算発表を行なった。新型コロナウイルス感染症は、中国では収束に向かっているようだが、ファーウェイが多くの顧客を抱える欧州、アフリカなどの国はまだまだ火中にある。
では、決算の内容を見てみよう。
2019年の売上高は8588億3300万人民元(1229億7200万ドル)、前年比から19.1%の増加となる。収益は5.6%増の626億5600万人民元(89億7100万ドル)だ。
ファーウェイは売上高、営業利益、キャッシュフローについて過去5年の年間平均成長率を出しており、それぞれ、21%、14%、15%となっている。売上高の過去5年間の年間平均成長率は、2018年と2017年と連続して26%で成長していたことを考えると、成長のペースが鈍化していることは否めない。
なお、Xu氏は2019年を「難しい1年だった」と振り返るが、2020年はもっと厳しい一年になるとの予想を示した。
スマホが事業の柱に また中国依存が強まる
ファーウェイの成長を牽引しているのは何か。地理的には中国、分野としてはデバイスだ。
自国市場からの売上は5067億3300万人民元、これは2018年から36.2%の増加という。ファーウェイにとって大きな市場となるEMEA(ヨーロッパ・中東・アフリカ)地区は前年比0.7%増の2060億700万人民元、アジア太平洋地区は13.9%減少の705億5300万人民元だ。
2017年時点では全体の5割だった中国市場が、現在では全体の約6割(59%)を占めており、自国での売上への依存が大きくなっていることがうかがえる。
なお、売上に占める比率としては6%を占めるに過ぎないアメリカ地区は、前年比9.6%増加している。ラテンアメリカ市場が好調だったためという。
もう一つの成長要因がデバイス事業だ。ファーウェイは、通信機器(キャリアビジネス)、スマートフォンなどのデバイス(コンシューマービジネス)、そして比較的新規となるサーバーやクラウドなどの法人事業(エンタープライズビジネス)と3つの事業を持つ。同社は元々通信機器メーカーであり、デバイスは11年前に初のAndroidスマートフォンを提供してから本格化させた。
2017年は同31.9%増の2372億4900万人民元で、まだキャリアビジネスよりも事業規模が小さかったのが、2018年に逆転、2019年は54.4%と半分以上を占めた(キャリアビジネスは34.5%、エンタープライズビジネスは10.4%)。
そして2019年、コンシューマービジネスは前年同期比34%増の4673億400万人民元となった。同年、スマートフォンの出荷台数は2億4000万台、これは前年の20%増という。
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