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業界人の《ことば》から 第384回

アクセンチュア初の女性CEOジュリー・スウィート氏が語る

挑戦に恐怖を覚えない夢は、十分な夢と言えない

2020年03月19日 09時00分更新

文● 大河原克行 編集●ASCII

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人生の印象に残っている3つの瞬間

 スウィートCEOは、自らの人生で印象に残っている3つの瞬間があるという。

 ひとつめは両親が勤労精神にあふれた人物であったこと。そして、同時に教育の大切さを、身を持って教えてくれたことだという。

スウィート 「私は、決して豊かな家庭で育ったわけではない。父親は大学にはいかず、ホンダのディーラーで仕事をしていた。そして、母親は大学には行っていなかったが、3人の子供が産まれてから学校に通った。私が大学に入学したときに、母親が学校を卒業した。2人とも、勤労精神にあふれた両親であったが、教育や学習によって、よりよい人生を達成できるということを見せてくれた。家族が教育による恩恵を受けている。その姿を見て、学ぶことが大切であることがわかり、いまもそれを信じている」

 アクセンチュアでも、社員がスキルを高めることができる環境づくりに力を注ぎ、スウィートCEO自身も、四半期ごとにテーマを決めて学んでいることを明かす。

スウィート 「社内には、3800ものオンライン学習コンテンツがある。そして、CEO向けのコンテンツもある。自分からやってみせることが大切であり、リーダーにも学習心があることを示している」

 2つめは、スウィートCEOが大学に入学する際に父親から言われた言葉だ。

スウィート 「父親は、私に対してこう言った。大学では、自宅ではできなかった、いろいろな経験をしなさいと。そして、怖がってはいけない。新たなものをしっかりと受け止めなさいとも言った。これが自分の原点となっている」

 そして、こうも続ける。

スウィート 「自分の原点を忘れてはいけない。企業はデジタルディスラプションを恐れたり、人は、AIや自動化に対する恐怖心を持ったりしている。そうした恐怖心を持った時に、父親のアドバイスを思い出す。個人としても、企業としても、新たなものに対応しなくてはならない。成功するためには新たなものに挑戦しなくてはならない。自分の原点を忘れるということは、人間であることを忘れるのと同じである。父のことは思い出すのはそのためである」

 3つめは、いまから3年前のことだという。スウィートCEO は、夫と、11歳および13歳の2人の娘がいる4人家族だ。そして、夫は米国の伝統的な言い回しをした言葉が好きであり、そのボードを3枚飾っているという。「この3枚のボードは、部屋の色にも合っていないため、誰も見えないところに飾るならばいいと許可をした」と笑う。そのボードのひとつに書かれているのが、「自分の夢に挑戦する際に、それを自らが怖いと感じないのであれば、その夢は十分なものではなく、大きな夢とはいえない」という内容だという。

スウィート 「このボードの言葉をよく思い出す。フォーチュン500社のなかで半分はデジタルディスプラションの結果消えていくことになる。成功するためになにが必要か、変化に対応するために会社としてなにをするのか、ということともに、リーダーは常に大きな夢を持たなくてはならない。そして、挑戦しなくてはならない。若い人たちがキャリアについて質問してきたときには、自己満足をするな、常に挑戦し続けてほしいと言っている」

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