米国本社も、日本の働き方改革に注目している
そして、米本社が日本の市場を重要視している点も見逃せない。
その最たる例が、日本の市場向けに開発したといわれる「HP Elite Dragonfly」の存在だ。
欧米では、1.2kgであれば「軽い」といわれるが、クルマ社会の地域では、それは当然のことだろう。だが、電車などでの移動が多い日本では、1kgを切ることが、「軽い」という意味では、最低限の条件となる。
岡 「日本では、働き方改革で、モバイル活用やテレワークでの活用が増えたこと、働く人の女性比率が高まり、より軽く、よりスタイリッシュなノートPCが求められている。HP Elite Dragonflyは、こうした日本からの要望をもとに、日本市場向けに開発した製品」
HP Elite Dragonflyの重量は、999g。日本HPでは、日本の要望を反映し、日本から生まれた1kgを切るビジネスコンバーチブルPCと位置づけている。
そして、岡社長は、ここには重要な意味があるとする。
岡 「軽量化のために、特殊な素材や高価な素材を使用して、軽量化はできる。だが、そのために価格が高くなったり、バッテリー駆動時間が短くなったりするなど、軽量化を追求するあまり、全体的にバランスを欠いた製品になってしまう場合が多い。HPが製品化したということは、標準的に使用される素材を利用して、1kgを切る時代が訪れたということである。今後、グローバルに、1kgを切るノートPCが広がるきっかけを作ることになる」
HPがグローバルで「標準」をリードすることは、これまでにも何度かあった。
1983年に発売された世界初のポータブルPCに位置づけられる「Compaq Portable」は、その後のラップトップPCやノートPCの元祖と位置づけられている。このときも一般に手に入る部品ばかりで、製品を作り上げたのが特徴だった。また、ThinkPadが発売当初から採用していた黒い筐体カラーは、1994年頃からコンパックなどが採用することで一気に世界に広がっていった。ここでも、コンパックは、普及価格帯でのモノづくりを徹底していた。
HP Elite Dragonflyは、広く活用できる素材や部品を活用して作り上げたものだ。これまでの歴史が示しているように、全世界で、1kgを切るノートPC時代が到来することを宣言するものになるといえるだろう。
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