Mark Vincent Hurd氏がCEOに就任
Fiorina氏退任のあと、新たにCEOに選任されたのがMark Vincent Hurd氏(今年10月18日に逝去された)である。Hurd氏、HPの前はNCRに1980~2005年まで勤務しており、最終的には社長兼COOまで務めている。
Fiorina氏の退任にともない、NCRからHPに移籍してきた格好である。ちなみにFiorina氏のCEOおよび取締役会会長辞任は2005年2月9日であるが、Hurd氏のCEO就任は同年4月1日、取締役会会長就任は2006年9月22日とやや時間が空いている。
これもあって、この間の暫定CEOとしてFiorina氏在任当時CFOを務めていたRobert P. Wayman氏がCFOと兼業の形で務めている。一方取締役会会長はPatricia Cecile Dunn氏が就任したが、彼女はBarclays Global InvestorsというファンドのCEOから選ばれた社外取締役であり、非業務執行取締役会会長というポジションとなり、これが2006年9月まで続くことになった。
画像の出典は、NY TimesのDunn氏の死亡記事
取締役の辞任で露呈した
法的にグレーな手段でのスパイ探し
実は、Dunn氏からHurd氏への会長職の移管は2007年1月が予定されていたが、HPスパイ事件のためにDunn氏が2006年9月に辞任、前倒しでの移管となった。やや脇道にそれるが、このHPスパイ事件の話をしておきたい。当時、日本ではほとんど話題にならなかった記憶があるが、アメリカでは結構なスキャンダル事件としてとりあげられた。
もともとは、2006年4月に米CNETが、“HP outlines long-term strategy”と題した記事を公開したことに起因する。この記事はおそらく正確だったのだろう。Dunn氏は、取締役会ないし経営陣から情報がリークされたと判断し、このリーク元を突き止めるべく、HPの法務顧問に対してセキュリティー専門家チームと契約することを要請する。
最終的に調査チームは当時取締役会に籍を置いていたGeorge Keyworth氏がリーク元と判断、2016年5月に取締役会の席でDunn氏がKeyworth氏に辞任を要請する。Keyworth氏はリークの事実は認めつつ、そもそもが不正な調査結果によるものだとして一旦は拒否するものの、最終的には辞任に追い込まれている。
この一連の解任劇を受けて、別の社外取締役であったThomas James Perkins氏も合わせて辞任している。Perkins氏の辞任は、この解任が法に則ったものではなく、このためDunn氏の行動を承認できないという理由でのものだ。
問題は取締役が辞任した場合、SEC(米証券取引委員会)にForm 8-Kと呼ばれる書類を提出し、辞任の理由を記載する必要があることだ。ただHPはPerkins氏の辞任の理由をForm 8-Kに記載せず(できず)、またSECからの辞任理由の開示要求にも答えなかった。この状況に向けてPerkins氏は自身で辞任の理由を公表したことで、いきなりメディアの関心が高まることになった。
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