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メイド・イン・ジャパンの技術で生まれた秀逸な空間表現

机に置く全方位スピーカーEgretta TS-A200を聴く

2019年12月22日 08時00分更新

文● ASCII

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明瞭で非常に抜けのいいサウンドに驚く

 TS-A200asの音を実際に音を聞いてみた。ペアで20万円程度なので、若干値は張るが、その価値は十分にあると思う。音は立ち上がりが早く明瞭で、特にボーカルの抜けの良さが印象的だ。男声、女声とも生々しい質感が感じられるし、バックの楽器からにごりなく浮き立って聞こえる。また、ギターのようにアタックの強い楽器、あるいは複雑な倍音を持つブラス系の楽器のハリといった点でも申し分ない。

 360度スピーカーというと、音は広がるが、少し不明瞭なものを思い浮かべる人がいるかもしれないが、それとは対極的なサウンドと言える。単品で売られている、高級ブックシェルフを鳴らしている感覚に近い音だ。

 魅力的なサウンドを出すうえで重要な役割を果たしているのが、高域を担当するハイルドライバーだ。すでにTS1000Fでも採用しているが、振動板にポリマー・クレイ・コンポジットと呼ばれる新素材を利用しており、日本の工場で手作業で蛇腹状に折りたたんでいるそうだ。ハイルドライバーは、空気を動かす振動板の面積が大きく、反応が速い点が特徴。響きにもくせがなく、やわらかで爽快感のあるサウンドとなっている。

ハイルドライバーは独自開発。

左が振動板に使っているポリマー・クレイ・コンポジット。これに電極を付けたのち、右下のように蛇腹状に折りたたむ。

 ただ、この反応の速さは組み合わせるウーファーを選ぶ面もある。そこでウーファーでは珍しいドーム型のユニットをTS-A200シリーズ用に新開発した。素材としては、カーボン繊維強化プラスチックだが、スギ由来の「改質リグニン」を配合し、薄型軽量化ができたという。

カーボン繊維にリグニンを配合した振動板。ウーファー用では珍しいドーム型だが、これはアクティブホーンと組み合わせて音の広がりを出すため。

立体的な空間の再現で、ボーカルと楽器の位置関係がよく分かる

 2台を組み合わせて聴くと、定位感や空間の広がりが非常にリアルに再現される。全方位スピーカーであるため、スピーカーセッティングの自由度が高く扱いやすい点もメリットだろう。とりあえず2台を並べ、それと等間隔の位置で聞くだけでいい。もちろん壁の位置などの影響は受けるが、内振り・外振りといったシビアな調整は不要。割合気軽に立体的な奥行きのあるステレオ再生ができる点は、マニアでない、普通の人にこそ体験してもらいたい面がある。

2台組み合わせて聴くと、立体的な空間が体験できる。全方位スピーカーの音場の広さは、セッティングのしやすさにつながっている。

リスニング位置で定位感はかなり変わる。写真のようなポジションで聴くとヘッドホンで聴いているような感じになる。

 小型のスピーカーということで、低域には少し物足りなさがあるが、下に置く素材や大きさなどである程度コントロールできる。例えば、量感が欲しいなら大きめの机に直置き、明瞭感を重視するなら、オーディオボードに乗せて、インシュレーターで少し浮かせるといった調整が有効。個人的には、サブウーファーの追加も効果的なのではないかと思った。ニアフィールド再生用とうたっているが、6畳や8畳程度の部屋なら問題ない音量が取れるので、デスクトップ再生にこだわらず、いろいろな設置方法を試してみるといいのではないか。

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