「モータースポーツのフィギュアスケート」とも呼ばれるドリフト競技の最高峰「D1グランプリ」シリーズの最終戦が大分県・オートポリスで行なわれ、単走はGRスープラを駆る斎藤選手が優勝、追走は今年から参戦した中村選手がうれしい初優勝。シリーズチャンピオンは昨年のチャンピオンである横井選手が2連覇を達成しました。波乱が波乱をよんだD1グランプリ最終戦をリポートします。
マシンのレギュレーションが変更されたことにより、例年より遅い6月に開幕した今年のD1グランプリシリーズ。注目マシンはチャンピオン経験者である斎藤選手、川畑選手が乗る2台のGRスープラでした。ですが注目を集めたものの、熟成不足から来る戦闘力不足などにより、ここまで目立った結果は出せておらず、現在のD1GPシリーズの厳しさを感じさせます。
シーズンは、初戦と2戦の筑波は、昨年のシリーズチャンピオンであるD-MAXの横井選手が連勝。圧倒的な強さで今シーズンも席巻するのでは? と思われたのですが、続く3戦と4戦の十勝サーキットはRE雨宮の松井選手が連勝。さらに5戦と6戦はTeam ORANGEに所属し、D1最年少選手の小橋選手が連勝するものの、横井選手がノーポイントという展開。チャンピオンシップ争いが失速した横井選手に対して、松井選手が7ポイント差にまで追い上げた状態で最終戦を迎えました。
「チャンピオン候補上位2名が予選落ち」の異常事態発生
D1グランプリは、走りの美しさや正確さを競う「単走」と、単走上位16名がどれだけ相手に近づけたかを競うトーナメント対戦「追走」の2種目で争われます。2日にはそのうちの単走が行なわれました。
まずは追走トーナメントに進出しなければならない横井選手と松井選手。ですが両名ともプレッシャーからか、普段の走りができず、まさかの予選落ちという展開。一気にチャンピオンシップ争いが混沌とした状況に陥ります。この展開に誰もがざわつき、注目は自力優勝の可能性があるシリーズポイント3位の小橋選手と4位の藤野選手に集まります。藤野選手は6番手、小橋選手は13番手でトーナメント進出をはたします。
そんな波乱の単走で光る走りを魅せたのが、斎藤選手とGRスープラ。2本目にメインストレートで時速「194.79km/h」を出すと、そこから急角度なドリフトを魅せて101.1点と、参加選手中唯一の満点越え。今シーズンの苦しみを一気に吹き飛ばす快走に、場内からは割れんばかりの歓声と拍手が沸き上がりました。普段はポーカーフェイスの斎藤選手も笑顔で「気持ちよかった!」とコメント。今までの不調から抜けだしたようです。
2番手は地元九州出身で、今年はR35のエンジンを搭載したS15シルビアでスポット参戦するベテランの植尾選手、3番手にプリムス・バラクーダ顔のロケットバニー・ボスワイドボディーキットを装着したS14シルビアを駆る日比野選手が入りました。