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17億ドル調達のテレグラムの暗号通貨にSECが「待った」

2019年10月17日 14時51分更新

文● Mike Orcutt

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Associated Press

米国証券取引委員会(SEC)が、メッセージング・サービス会社テレグラム(Telegram)による20億ドルもの鳴物入りのデジタル・トークンの販売に「待った」をかけた。

2018年初頭、熱狂的な投資家たちは、グローバルな暗号通貨ネットワークを立ち上げるというテレグラムの野心的な計画に数十億ドルを注ぎ込んだ。 投資家たちはその見返りとして、月間3億人のユーザーを抱えるメッセージ・アプリを擁するテレグラムが、将来の暗号通貨ネットワークで役立つと約束したデジタル・トークンの権利を取得した。トークンは、10月31日までに発売される予定だった。

当初の熱気は、いまや不透明感へと変わってきている。 SECによると、テレグラム・グループと子会社TONイシュアー(TON Issuer Inc.)は米国内で未登録証券の違法販売を実施したという。 テレグラム側は、「グラム(Grams)」と呼ばれる29億のデジタル・トークンを世界中の投資家171人に販売し、17億ドルを調達した。うち4億2500万ドル分のトークンが米国内で販売されたことから、米国内の投資家を監視するSECが関心を示していた。

計画されている暗号通貨ネットワークはまだ立ち上がっておらず、トークンはまだ何にも使用できないことから、株式や債券を管理するのと同様の厳格な規制が適用されるとSECは述べている。 つまり、トークンはあらかじめ当局に登録されている必要があり、テレグラムは投資家に対し、経営、財務状況、管理、リスク要因についての情報を提供しなければならない。「暗号通貨またはデジタル・トークンというラベルを貼ったからといって、連邦証券法の適用は回避できないと、私たちは繰り返し発行者に対して明言してきました」とSEC法執行部門のスティーブ・ペイキン共同部長は声明の中で述べている。

ブルームバーグによれば、テレグラム側は「当局の懸念を払拭する方法を検討中」であり、実際に過去18カ月間にわたってSECと交渉している。 テレグラムはSECが起こした今回の訴訟に対して「驚き、失望した」と述べており、現時点では暗号通貨ネットワークの立ち上げが遅れる可能性がある。

SECは、2017年と2018年初頭の新規暗号通貨公開(ICO)ブームで生じた混乱をまだ一掃しきれていない。テレグラム対する訴訟は、EOSブロックチェーン・ネットワークの開発資金調達を目的としたトークン販売で40億ドルを調達したブロックワン(Block.One)との和解から、わずか2週間後のことだ。

ブロックワンが2400万ドルの罰金の支払いだけで済み、テレグラムほど厳しい罰則が適用されなかった理由は明らかではない(ただし、SECに対しブロックワンがテレグラムより協力的であった可能性はある)。 しかし、肝心なのは、暗号通貨だからといって既存の法律の適用が免除されることはない、というペイキン共同部長の言葉である。

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