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NASA、土星系の探査用に変形ロボをテスト中

2019年09月30日 07時38分更新

文● Neel V. Patel

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NASA/JPL-Caltech/Marilynn Flynn

米国航空宇宙局(NASA)が、「トランスフォーマー」のように複数の形態に変化する能力を持つ新型ロボット「シェイプシフター(Shapesihfter)」のテストを実施している。これと似たようなデザインのロボットが、いずれ土星の衛星であるタイタンの探査に使われるかもしれない。

NASAのジェット推進研究所(JPL:Jet Propulsion Laboratory)は現在、3Dプリントされたシェイプシフターのプロトタイプをテストしている。NASAによると、その外観は、「細長く引き伸ばされたハムスター・ホイールに入ったドローンのよう」だという。真っ二つに分かれることができ、分かれた後、小さなプロペラを使用してドローンのように空中を浮遊する機能を持つ。

シェイプシフターの完全実現化バージョンは、「母船」型の着陸機となる予定 だ。12台のミニロボットの一群(「コボット」を呼ぶ)を地表に運び、主電源として機能し、科学機器一式を使ってサンプルをその場で直接分析できる。コボットが協力して母船を各地に運んだり、移動させたりする。コボットは、さまざまな地形や環境に適応するために、個別でも機能するし、1つのまとまりのあるユニットとしても機能できるようにする。

たとえば、コボットは、分離して別々の方向に飛んだり、一群となって飛んだりできる。狭い洞窟や大きな洞窟を探検するためにサルの集団のように連結したり、液体に浮かんだり泳いだりすらできるようになると考えられる。

土星探査機「カッシーニ(Cassini)」のミッションをはじめとする最近の調査で、土星の衛星群の表面や大気について多くのことが分かった。 タイタンは特に魅力的なターゲットだ。液体メタンとエタンの深い湖があり、大気が霞んでいることから、水やアンモニアを噴出する氷火山といった活発な地質的特性を持つ可能性があると考えられている。こうしたすべての結果から、タイタンには生命に適した成分があるかもしれないと期待されている。

テストがうまく行けば、NASAがシェイプシフターに実際のミッションのゴーサインを出す可能性は高い。だが、これはまだずっと先の話だ。ただし、少なくとも今回のシェイプシフターのテストは少なくとも、将来の他の地球外ミッションに向けて新たな探査機を設計する際のヒントにはなるかもしれない。

一方ではNASAは、近い将来実施される「ドラゴンフライ(Dragonfly)」のミッションに向けて、すでにフル回転で作業をしている。自律型ドローンを使ってタイタンを調査するこのミッションは、2034年に予定されている。

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