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2100年に海面上昇1メートル、国連の報告書が予測を更新

2019年09月26日 10時31分更新

文● Charlotte Jee

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AP

2100年までに海面は約1メートル上昇し、夏には北極圏の氷がなくなるかもしれない——。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)はこう結論付けている。

この海面上昇レベルは、IPCCが6年前に予測した値より10センチメートル高い。南極大陸の氷が予想よりも速く溶けているためだ。見直された推定値は、海抜10メートル以下の地域で暮らす世界中の6億人にとって極めて重要な意味を持つ。また、気候変動適応グローバル委員会(Global Commission on Adaptation)が最近警告したように、各国が海岸の堤防補強などのインフラ整備を急がなければならないことも示している。

国連の新しい報告書は、地球の表面の大部分を占める海洋に及ぼす気候変動の影響を調べている、80カ国以上の100人を超す科学者によってまとめられた。

悪いニュースはこれだけでなはい。これまでは100年に一度起こっていたような高潮などの極端な海面事象は、温室効果ガスの排出量の削減に関わらず、2050年ごろには世界の多くの地域で毎年起こるようになるだろうとIPCCは述べている。もし徹底的に排出を減少させられれば、最悪の影響をいくらかは和らげるかもしれない。だが、報告書で概説されている影響の多くは、人類がこれまでに排出した炭素量の代償なのだ。

食料への影響も出るだろう。報告書は、海洋がもっと暖かくなり、酸素の供給が減り、酸性が強くなると、大量の海洋生物の損失が危ぶまれると警告している。主要なタンパク質源として海産物に頼っている世界中の何十億人もの人々に危険な状況を招く可能性がある。

この報告書は、気候変動をめぐる活動が高まる中で開催された国連気候変動サミットを機に発表された。国連気候変動サミットでは、排出量の多い世界の国々から多くの演説はなされたが、実行を伴うものではなかった

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