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太陽系外から飛来した新たな恒星間天体が発見される

2019年09月15日 15時56分更新

文● Neel V. Patel

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Anthony Citrano / Flickr

速報によると、2つめの恒星間天体が太陽系を通過している様子を、アマチュア天文家が捉えたようだ。

クリミアのジェナディ・ボリソフが自らの望遠鏡で初めてこの天体を発見したのは8月30日のことだ。その天体の奇妙な軌道は太陽の重力に束縛されていないことを示しており、太陽系外から飛来した恒星間天体であることはまもなく明らかになった。

天体は当初「gb00234」と呼ばれていたが、ハーバード・スミソニアン天体物理学センター(Harvard & Smithsonian Center for Astrophysics)の小惑星センター(Minor Planet Center)が、発見者に敬意を表して「C/2019 Q4(ボリソフ)」と名付けた。C/2019は「双曲線軌道」上にあり、太陽系にとどまることなく離れるはずだということが追跡観測によって確認された。C/2019には長さ10キロメートルにおよぶ尾が見られることから、彗星である可能性が高い。

記録上では、最初に太陽系を通過した恒星間天体は、2017年後半に発見された「オウムアムア(‘Oumuamua)」である。ホットドッグに似た構造と、内部太陽系から離れる際に加速したことを理由に、高度な知性に由来する地球外宇宙船ではないかと複数の科学者が公然と推測し始めると、世界中が大興奮に包まれた(もちろん、そうではなかった)。

オウムアムアは、すでに太陽系を通過するころに発見されたので、天文学者たちはわずか数週間しか研究ができなかった。 しかし、C/2019はまだ太陽系に進入中なので、少なくとも6カ月間は近くにいるはずだ。オウムアムアの約6倍というC/2019の明るさは、観測期間を延ばすのに役立つ可能性がある(ただし、彗星の明るさは予測が難しい要素でもある)。

太陽系内の距離は、地球と太陽の間のおおよその距離である「天文単位(AU、1AUは約1億5000万キロメートル)」で測定できる。 発見時のC/2019は地球から約3AU離れていたが、12月10日にはその距離が約1.8AUとなり、地球に最接近する見通しだ。米国航空宇宙局(NASA)のハッブル宇宙望遠鏡をはじめとする世界の主要な望遠鏡と天文台の多くが、その研究にかなりの時間を費やすことが予想される。

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