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インドの月探査機「チャンドラヤーン2号」月面着陸失敗か

2019年09月08日 08時53分更新

文● Neel V. Patel

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ISRO

無人探査機を月面に安全に着陸させようとするインドの試みは失敗に終わった可能性が高い。探査機の月面着陸を成功させた史上4番目の国になるという、インドの大きな野望は打ち砕かれてしまったようだ。

インド宇宙研究機関(ISRO)は7月22日に無人月探査機「チャンドラヤーン2号(Chandrayaan-2)」の打ち上げに成功した。8月20日、チャンドラヤーン2号は月の周回軌道に到達した。その後、2週間かけて段階的に降下して軌道を下げ、9月2日に探査車(ローバー)を搭載した着陸船(ランダー)を軌道船(オービター)から分離した。

著名なインドの天文学者で、またISROの創設者であるヴィクラム・サラバイにちなんで「ヴィクラム(Vikram)」と名付けられた着陸船は、インド現地時間の9月1日の朝、月面への降下を開始した。しかし6日、まもなく月面に着陸かという直前に、着陸船と通信できなくなってしまった。通信が途絶えたということは、着陸船が月面に衝突してしまった可能性が高い。

ヴィクラム の最終的な垂直速度は、月面の上空330メートルから秒速約58メートルだった。月面着陸にしてはかなり高速である。ヴィクラムがどうなってしまったのかは現在も不明だ。

ヴィクラムは、月の南極から603キロメートル離れた地点に降下しようとしていた。月面着陸ミッションとしては、史上最南端の地点への降下だ。科学者たちは、月の南極には氷堆積物が大量にあると考えている。いつかこれらの氷を採掘できれば、月の入植者の生活に役立てたり、将来の宇宙船のロケット燃料として利用したりできる可能性もある。ヴィクラムと6輪ローバーの 「プラギヤン(Pragyan)」 は、氷堆積物の範囲を調査する上で、大きな役割を果たすことが期待されていた。

現在ISROはデータの分析とヴィクラムの状態の確認を続けているが、これまでのところ、落胆するようなニュースしかない。しかし、チャンドラヤーン2号のオービターは、少なくとも1年間は、月面から約100キロメートルの高度で一連の調査を続ける予定だ。

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