業務改善に効く最新ビジネスクラウド活用術 第29回
大手SIer CTCが作った中堅・大企業向けの国産SaaS
チャットもTo Doもファイル管理も全部入りの「Tocaro」
2019年09月02日 09時00分更新
完全シームレスなBox連携やテレビ会議機能をZoomに置き換える連携機能を備える
TocaroはあまりAPIを公開してすべてのサービスとつなぐというスタイルは取っていないのだが、現在2つのサービスとはシームレスに連携している。
ストレージサービスの「Box」と連携させると、チャットにファイルをアップロードするとBoxに直接保存され、アクセスできるようになる。ストレージサービスにアップロードされたことを通知するのではなく、直接保存し、アクセスできるのが強みだ。
標準でもテレビ会議機能は備えているのだが、大人数の同時参加などではやはり専門サービスのクオリティにはかなわない。そこで、「Zoom」と連携。高画質・高音質なテレビ会議ができるようになる。複数拠点に展開している企業には手放せない機能となるだろう。
さらに、Webhookにも対応しているので、エンジニアが開発することで、つなごうと思えば一通りのシステムにはつなぐことが可能。気になるニュースを受け取って情報共有したり、社内の基幹システムからの通知を流したりできる。
日本の大企業がまさに欲しがりそうなヘルプデスク機能
Tocaroには、オプションで「サービスデスク」という機能が用意されている。大企業では、自分と関係ない部署への問い合わせがよく発生する。開発が法務部に質問したり、営業が機能のエキスパートに質問したいといったケースだ。偶然適切なグループに参加し、それを把握しているならいいのだが、そもそも問い合わせ先がわからない、と言うことの方が多い。
「サービスデスク」はそんな時に、活躍する。問い合わせ先をすべて登録しておけば、ユーザーがグループを捜し回る必要はない。他部署への質問も気軽にできる。質問が投稿されたら、リンクされたグループに所属している誰かが回答すればいい。このとき、質問者にはユーザー名が秘匿されているのがキモ。
これは、回答を属人化させないため。ユーザー名がわかるチャットサービスだと、回答した人に高い確率で追加質問が飛ぶ。下手をすると個人メッセージで送られることもある。そうすると、Q&Aのナレッジが溜まらないうえ、回答者に高い負荷をかけることにもなる。「サービスデスク」機能を使えば、サービスデスクアカウントから返答されたように見える。そのため、追加質問はサービスデスクに書き込まざるを得ず、回答は別のユーザーが行えるような状態を維持できるというわけだ。
価格は1ユーザー800円と格安! スマホアプリも用意されている
スマホアプリも用意されており、外出先でもTocaroを自由に利用できる。もちろん、無料でチャットやTo-Doを利用できる。今のところは全機能を利用できるわけではないようなので、やはりPCでの利用がメインとなりそうだ。無制限に使われると困るなら、利用申請メールを設定し、使いたいユーザーのみ承認制にすることも可能。
気になる価格は1ユーザー月額800円とお手頃で、大人数での契約もハードルが低い。30日間の無料試用も用意している。導入支援プランもあり、ヒアリングシートの回答や使い方の説明、効果説明をケアするなどのサービスを提供している。
「どんなに機能が備わっていても、やっぱり使える人と使えない人が出てきます。われわれも、1万7000人の社員でTocaroを使っているのですが、ここに至るまでにいろいろな苦労がありました。そのナレッジを使って、PoC(導入支援)プランも用意しており、これが好評いただいています」(志村氏)
現在、ダッシュボードのような、進捗を可視化する機能を開発中とのことだ。
今回、初めてTocaroをがっつりと触ったのだが、UI/UXがこなれていて、迷わず使えるのに驚いた。ヘルプを見なくてもなんとなく操作できるのはとてもすごいポイント。契約する理由の一つにシンプルなUIが挙げられているというのも納得だ。チャットとタスク管理に特化し、万単位のユーザーでも安定動作するシステムも信頼できる。そもそも、CTCが自社でも使っているというのは、稟議を通す上でも強力な武器になるだろう。コミュニケーションや進捗管理といった仕事のための仕事をどうにかできないか、と悩んでいるならぜひ無料トライアルを利用してみることをお勧めする。

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