ラップトップPC「HP-110」を発売
売れ行きは今ひとつ
そのPortable Computer部門は、1984年にはHP-110(正式な型番はHP 45710A)というMS-DOSのラップトップを発表する。
画像の出典は、“HP Computer Museum”
重量は9ポンド(4.08kg)だったので、一応膝の上で利用するのは可能というレベル。Harrisの5MHz駆動の80C86と最大656KBのRAM(この一部はRAMディスクとして利用。ユーザーエリアはわずか273KB)、480×128ピクセルのLCD(テキスト表示は80桁×16行)を搭載し、MS-DOS 2.11とLotus 1-2-3をROMで搭載していた。
FDDはHP-IL経由で外付けだったが、300baudのモデムは内蔵しており、外出先での利用を考慮した製品で、価格は2995ドルとなっている。
なんというか、当時の水準で見ても、今ひとつという感じのスペックだっただけにそれほど売れ行きは良くなかったが、翌年これを改良したHP 110A(HP 45711A)を発表する。
こちらは画面サイズが480×200ピクセル(テキストでは80桁×24行)になり、RAMもユーザーエリアが512KBまで拡張され、さらに価格も2295ドルと安価になったものの、やはり売れ行きは今一歩であった。
ちなみに同じ1984年、Portable Computer部門はもう1つの可搬型マシンであるHP Integral PC(型番はHP 9807A)を発表している。
画像の出典は、“Wikipedia”
さすがにこちらはバッテリーは非内蔵(つまりAC電源必須)の構成であるが、8MHz駆動のMC68000に512KB(最大2.5MB)のRAMを搭載、HP-UXが動くUnixマシンである。
ただUnixマシンでありながらHDDは非内蔵(Unix自身はROMから起動。データ交換用に3.5インチのFDDを搭載)し、なぜかインクジェットプリンターも搭載しているなど、いろいろチグハグなところが目立つ構成であった。
ELディスプレーは512×255ピクセルで、テキスト表示は80桁×28行表示が可能だったが、どう考えてもプリンターではなくHDDを搭載すべきだった気がする。こちらもキワモノ扱いされ、あまり成功したとは言えなかった(続く)。
この連載の記事
-
第803回
PC
トランジスタの当面の目標は電圧を0.3V未満に抑えつつ動作効率を5倍以上に引き上げること IEDM 2024レポート -
第802回
PC
16年間に渡り不可欠な存在であったISA Bus 消え去ったI/F史 -
第801回
PC
光インターコネクトで信号伝送の高速化を狙うインテル Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第800回
PC
プロセッサーから直接イーサネット信号を出せるBroadcomのCPO Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第799回
PC
世界最速に躍り出たスパコンEl Capitanはどうやって性能を改善したのか? 周波数は変えずにあるものを落とす -
第798回
PC
日本が開発したAIプロセッサーMN-Core 2 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第797回
PC
わずか2年で完成させた韓国FuriosaAIのAIアクセラレーターRNGD Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第796回
PC
Metaが自社開発したAI推論用アクセラレーターMTIA v2 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第795回
デジタル
AI性能を引き上げるInstinct MI325XとPensando Salina 400/Pollara 400がサーバーにインパクトをもたらす AMD CPUロードマップ -
第794回
デジタル
第5世代EPYCはMRDIMMをサポートしている? AMD CPUロードマップ -
第793回
PC
5nmの限界に早くもたどり着いてしまったWSE-3 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU - この連載の一覧へ