携帯電話の2年契約を途中で解約する際の違約金が、現行の3キャリアの9500円から上限1000円へと、法的に強制されようとしていることが話題になっている(今回の料金はすべて税抜)。
しかし、MVNOの格安SIMであれば、一定期間を過ぎた場合には違約金がなく解約できるほか、一部のサービスではいつ解約しても違約金はなし。2年契約が自動で更新されて、一定期間だけがタダで解約できる3大キャリアとは大きな違いだ。そこであらためて違約金の状況についてまとめた。
格安SIMは解約金がかからないのは本当?
最初に区別しておくと、一般には格安SIMと分類されるものの、大手キャリアによる“サブブランド”のUQ mobileとY!mobileは別に考えてほしい。この両サービスは一部プランを除き、3大キャリアと原則同じ。つまり2年契約が前提で2年経過後は自動更新され、解除料などが不要で解約できるタイミングは2年に1度の更新月前後のみとなる。
一定期間が経過すれば解除料などかからずに解約できるのはIIJmioや楽天モバイルをはじめとするほとんどのMVNOの格安SIM。しかも、一定期間内に解除料が必要なのは音声通話付きの契約のみで、データ通信だけの契約では短期解約の違約金などはないのが大半だ。
必要な違約金だが、音声契約付きの多くは、最初の1年間は解約時に1万円程度というのが主流。期間や制度は事業者によって違いがあり、主要サービスのうち、楽天モバイルの「スーパーホーダイ」に2年や3年といった契約もあるが、OCN モバイル ONEは6ヵ月と短い。また、IIJmioは契約月に解約すると1万2000円の違約金がかかるが、毎月1000円ずつ減額して契約してから12ヵ月目なら違約金は1000円、13ヵ月目からは不要となる。
音声通話付きのSIMでも
違約金なしで解約できる格安SIMもある
格安SIMのなかには、いつ解約しても解除料も違約金もないものもある。最も自由なのがb-mobile「Start SIM」やnuroモバイルの「お試しプラン」でいつ解約しても違約金がない。MNPで転出する場合も短期解約が理由としての手数料の割増もない。
MNP転出ではなく、純粋に回線を止めて電話番号をなくす「解約」であれば、mineoやイオンモバイルも違約金がない。MNP転出の場合の金額は、mineoは12ヵ月以内のMNP転出のみ、転出手数料のほかに解除料の9500円がかかる。イオンモバイルはもう少し複雑で、イオンモバイルで新規に契約した電話番号は、契約から90日以内のMNP転出は転出手数料込みで1万5000円と高額。しかし、MNPで転入した番号での契約なら、すぐに転出しても転出手数料は通常の3000円となる。
つまり、イオンモバイルであれば、大手キャリアからMNPで転入して、期待どおりのサービスでなかった場合は、すぐに別のところに乗り換えても高額な違約金が発生しない、という状況を保証したサービスと言える。
違約金はなぜ必要か? ユーザーにメリットはあるのか?
もともとデータ通信のみの提供だった格安SIMは、長期契約という発想がなく、すぐ解約しても違約金そのものがなかった。それが、音声通話付きのプランが登場したタイミングで、短期で解約すると違約金が必要となっていった。
MVNOの格安SIMが短期解約の違約金を徴収する理由については明らかにされていないが、一説には格安SIMで発行した電話番号を持ってMNPで3大キャリアに乗り換えることで、3大キャリアと新規契約するよりもMNPでの乗り換え特典を多く獲得するユーザーが発生することを阻止するためとも言われているが、真相は不明だ。
また最近はMVNOの格安SIMでも、加入時の端末の格安販売や高額特典、加入後一定期間の月額費用の割引施策などを実施している。短期解約を阻止する制度がなければ、このような特典は生まれてこなかった可能性もあり、違約金を設定しているがゆえの恩恵とも言える。
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