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夏に負けないCPUクーラー選びのポイントをチェック

純正から市販品までRyzen用空冷CPUクーラー8製品比較テスト

2019年06月17日 11時00分更新

文● 石川ひさよし

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市販CPUクーラーを別予算で買い足すケース

 CPUクーラーが付属しないCPUでは当然、市販のCPUクーラーを導入する必要がある。一方、CPUクーラーが付属するCPUなのにあえて市販のCPUクーラーを組み合わせることがあるのはいくつか理由がある。

 まず性能面。場合によっては寝る場所でもあるプライベート空間にPCを置くことも多い日本では、静音性に特化したPCを望むユーザーもいる。その静かさを実現するためにはよく冷えることも重要だ。また、PCケース側の問題もある。純正CPUクーラーは比較的背が低いのでPCケースとの相性が生じることがないのだが、稀に極端にスリムなPCケースというものも存在する。そうしたスリムなケースでは薄型のCPUクーラーを用いることがある。ほか、見た目というのも大きい。クリアサイドパネルのPCケースが増え、光る光らないに限らずPC内部でもとくに目立つCPUクーラーの個性的な外見にこだわるユーザーも増えている。

 見た目はユーザーの好みによることなのでここでは触れないが、性能面、静かさや冷却性能を求める場合、製品のどこに注目したらよいのかを紹介しておこう。まず、冷却性能の目安となるのはヒートシンクの大きさだ。CPUから吸い上げた熱はヒートシンクに拡散される。そしてファンによる風で大気に放出される。ヒートシンクが大きければ、より多くの熱を許容することができるわけだ。ハイエンドの空冷CPUクーラーでは、ヒートシンクの奥行きや、ヒートシンクの数に注目だ。ただ、あまり大きすぎるとケースに干渉したり、マザーボードのVRM周辺やメモリと干渉したりと、相性が生じることがある。ここにだけは注意して製品を選びたい。

市販のCPUクーラーはサイズも形も見た目も個性豊か

be quiet!「PURE ROCK SLIM BK008」(実売価格3,700円前後)。ブランド名のとおり静音性推し。9cm角ファンモデルとしては高価だが、高級ブランドbe quiet!のなかでは比較的安価なクーラーだ

サイズ「虎徹 Mark II」(実売価格3,500円前後)。市販CPUクーラーの定番である12cm角ファンのシングルタワー構造で、価格も手ごろで人気が高い。シリーズ2代目になり、安定した性能とともに装着方法もシンプルで確実なものに進化した

Cooler Master 「MasterAir MA620P」。ツインタワーのデュアルファン、いわゆるハイエンドに属するCPUクーラーだ。このクラスのサイズのものは1万円前後も珍しくないが、本製品はRGB LEDを採用しつつ実売価格7,000円前後で購入できる

 静音性は、これもヒートシンクと関連するが、ファンの口径と回転数が目安になる。ファンには9cm、12cm、14cmといった口径の違いがあり、ファンの口径が大きいほど、同じ回転数でも風量をかせぐことができる。ポイントは、同じ風量なら口径の大きなファンのほうが回転数を落とせることだ。現在のマザーボードは、CPUの温度に応じてCPUファンの回転数を可変させる。これにより必要以上に回転数が上がることはなくなった。口径の大きなファンを用いたCPUクーラーならば、すみやかに冷やし、回転数が上がらないわけだ。さらに上を目指すならば、ファンの数にも注目したい。シングルよりもデュアルファンのほうがより冷える。

 最後に、形について説明しよう。今回用意した市販のCPUクーラーはすべてサイドフロー型だが、トップフロー型というものもある。その代表例が先の純正CPUクーラーだ。見分け方はファンの向き。サイドフロー型は、ヒートシンクとファンがマザーボードに対して垂直になる。CPUソケット上の大きな空間が利用できるので、CPUクーラーの大型化が容易な形状だ。トップフロー型は、CPUソケット周辺の部品もあるため、サイドフロー型と比べると大型のものが少ない。ただし風向き的に、CPUソケット周辺の部品を同時に冷やすことができるメリットもある。また、スリムなPCケースではトップフロー型以外の選択肢がない。

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