Open、Share、Joinの思想があるから、コミュニティはさくらを信頼できる
さくらインターネットと鹿児島のコミュニティがmark MEIZANまでを語り尽くす
2019年05月28日 09時00分更新
2019年、mark MEIZANが始動し、新たなスタートへ
大谷:すでに取材も開始から1時間半くらい経過していて、ようやくmark MEIZANなんですが(笑)、大前提としては鹿児島市の事業なんですよね。
油井:市内にあるソフトプラザ鹿児島という古い建物をモダンに作り替えて、人が集まる場所にしようと考えていました。とはいえ、普通に作り替えただけだと県外とつながらないという課題を感じており、運営を受託することになったんです。
大谷:で、さくらインターネットとして応募することにしようと。
油井:そこは意外とスムーズな話でもなくて、リリーの野崎さんをはじめコミュニティのメンバーとも相談したのですが、運営するのはわれわれのメイン業務でもないし、大変なのは目に見えていたので。でも、さくらじまハウスを2回やってきて、さくらハウスを作り、勉強会やコミュニティを立ち上げてきた中、せっかくできる新しい施設が単なるハコモノになったら、それはそれでいやだなという思いはありました。
永田:ユニマル立ち上げたときに入居することもできたんですけど、したいと思える施設じゃなかったんです。せっかくお金かけるんだったら、悪い鹿児島らしさを出たらいやだな思って若干消極的に手を上げた感じです。
油井:永田さんは個人として手をあげてくれたんですが、結局、運営はジョイントベンチャーを組みました。さくらインターネットとシナプス、シナプスの親会社のグッドコミュニケーションズ、W・I・Zに加えて、常駐できる人は絶対必要だと思ったので、地元でブランというWebマーケティング会社をやっている大久保さんにも相談して、5社で運営することにしたんです。
FGNに関わったとき、同じ目的に向かって複数の会社が連携するジョイントベンチャーの強さと大変さを体験したので、そこでのノウハウは活きていると思います。福岡ってよくも悪くも注目されているので、いい意味でのプレッシャーもありましたし、シーンを冷静に見ることも学びました。
松岡:W・I・Zとしても、最初手を上げるつもりなかったんですが、シナプスさんも入るということで、W・I・Zもプレゼンス上げるためにやっていこうと。油井さんからはどうします?って、下北沢のお店で言われたんです。
油井:各社が関わるメリットをきちんと決めて、徹夜で資料作りましたね。昨年の9月に公募が発表されて、ジョイントベンチャーを組みながら、鹿児島市にプレゼンしたのが10・11月。あくまで運営受託なので、その頃には名前やロゴも決まっていたし、リノベーションも始まっていました。
大谷:昨日のイベントに参加して思ったのですが、mark MEIZANの目的って「クリエイティブ産業の育成」じゃないですか。クリエイティブ産業ってどこまでを指すんでしょうか?
油井:鹿児島市が定義しているクリエイティブ産業は、付加価値を付けられる人ほぼ全部。デザイナーやイラストレーターだけでなく、音楽や映像などのクリエイター、スタートアップ、ITエンジニア、コンサルタントまで含んでいます。われわれとしてはスタートアップにフォーカスした方がよいかなと思いますし、小笠原さんとかは逆にフードテックに振り切るくらいでもいいんじゃないと言ってます。鹿児島としては行政として全方位でやっていかなければならないわけです。
永田:行政はやはり公正を旨とするので、フォーカスが絞れないのはしようがないと思うんですよね。とはいえ、運営側のわれわれは、公募の資料に、ちゃんとスタートアップという言葉を入れて、スタートアップをちゃんと盛り上げますよという意思は示しています。そこらへんは今後の入居者や鹿児島の勢いに期待したいです。
運営側が考えるmark MEIZANへの期待
大谷:最後ですが、mark MEIZANに期待するところを教えてください
松岡:私はエンジニアなので、やはりエンジニアが盛り上がればいいなと思います。そのために僕ができることはどんどんしていきたい。最近、GMOペパボさんも拠点作ってくれたし、Iターン・Uターンで仲間が増えると、鹿児島はもっと面白くなると思います。
永田:僕は本当の意味で利用したい人に利用してほしい。ここでの「利用」ってちょっと悪い意味も含んでいて、mark MEIZANを経由して誰かとつながりたいとか、mark MEIZANを踏み台にして大きくなりたいという人に利用してほしいです。「ここにいれば救われるかも」みたいな人にはそもそも向かないですよね。
大谷:永田さんとしては野心や功名心、あざとさがある人、歓迎なんですね。
永田:そういう人がいれば、運営の僕らもがんばれるし、僕らもそういう人を利用して、この施設としてうまくやりたいんです。
本当の信頼関係って「利用し合う」くらいでいいと思っています。スタートアップの立場として、世の中の起業家たちが果たしてインキュベーションしてほしいのか、僕は正直よくわからないんです。アドバイスをもらうことはあるけど、基本彼らは自分でがんばって、自分で見つけて、自分で活路を見いだしているわけじゃないですか。だから、ここに来たらなんとかなるじゃなく、ここに来てなにをするのか、明確に目的を持っている人が使ってくれたらいいなと思ってます。
油井:まずはロールモデルを生み出し、発掘できること。そのためには永田さんが言ったみたいに、施設を自分の戦略のために活用する人が必要だし、そんな人を見つけなければならない。ロールモデルを生み出すためには、プレイヤーを増やさなければならないので、僕はもっと若手を巻き込みたいんですよね。
あと、鹿児島は地域資源が豊富なので、これらをうまくITと結びつけたいですね。この施設はCAMPFIREさんとも連携していくので、地域の小さな課題の解決もできると思うんです。W・I・Zやシナプスさんみたいな運営会社もいるので、ITを使って、地域課題の解決をスケールできるようになったら、うれしいです。
大谷:鹿児島、また来たいです!ありがとうございます。
油井:今年もさくらじまハウスの開催が決まったので、ぜひ!