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巨大衝突による月の誕生に新説、地球はマグマで覆われていた?

2019年05月01日 13時55分更新

文● Erin Winick

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がどのように作られたのかについては、いくつかの説がある。もっとも有力だとされているのは、地球が「テイア(Theia)」という大きな天体にぶつかった時に月が作られたという巨大衝突説である。テイアが地球にぶつかった時の衝撃によって大量の破片が軌道上に放り出され、最終的にこれらの破片が合体して月を作ったというのだ。

しかし、巨大衝突説には問題がある。この説の数学モデルは、月を構成する物質の大部分は、ぶつかってきた天体(テイア)に由来する物であることを示している。しかし、アポロ・ミッションで採取されたサンプルによると、月面上の物質の大部分は地球に由来するものだったのだ。

4月29日付けのネイチャー・ジオサイエンス(Nature Geoscience)に掲載された論文で、これらの問題を説明できるかもしれない新たな説が提示されている。国立研究開発法人海洋研究開発機構の細野七月特任技術研究員、イェール大学の唐戸俊一郎教授、神戸大学の牧野淳一郎教授、斎藤貴之准教授の研究によると、衝突時の地球は、硬い地殻ではなく、熱いマグマで覆われていたのではないかというのだ。

マグマは、地球の固い地殻よりも、はるかに簡単に地上から飛び出してしまう可能性がある。つまり、地球に由来する物質がより簡単に宇宙に飛び出し、月を作ることが可能になるというわけだ。

この理論は、月が作られるタイミングに大きく依存している。この理論が真実であるならば、テイアがぶつかったとき、地球のマグマはちょうどよい温度でなければならなかっただろう。

さらに、パデュー大学のジェイ・メロシュ教授が論文に付随する記事で説明しているように、この新しいシミュレーションは、観測結果を理論と一致させるのに必要な条件をすべて満たしているわけではない。しかしこれは、月がどうやって作られたかという問いに対する答えに近づく重要な一歩なのだ。


5月5日13時30分訂正:記事公開当初、米国版MITテクノロジーレビューの原文記事に基づき、本研究をパデュー大学のジェイ・メロシュ教授らによるものとして紹介していましたが、正しくは国立研究開発法人海洋研究開発機構の細野七月特任技術研究員らによるものでした。訂正してお詫びいたします。なお、現在は米国版の原文記事も修正されています。

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