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「広告見たら暗号通貨もらえます」アドブロック付きブラウザー

2019年04月28日 10時55分更新

文● Mike Orcutt

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広告を見るとお金がもらえる。まるで詐欺のように聞こえるかもしれない。だが、これはプライバシーを重視するインターネット・ブラウザー「ブレイブ(Brave)」の紛れもない新機能だ。ただし支払いは、ブラウザーの開発会社ブレイブ・ソフトウェアが発行するイーサリアム・ベースの暗号通貨「ベーシック・アテンション・トークン(BAT)」で受けることになる。

BATは、熱狂的な新規暗号通貨公開(ICO)ブームの真っただ中の2017年に誕生した。 その年の5月、ブレイブ・ソフトウェアは1分も経たないうちに3500万ドル相当のBATを販売し、専門メディアのコインデスクは「秒速で完売した初期のICO」と評している。以来、BATは売買可能ではあるものの、投機的な資産の域を出ることはなかった。ICOプロジェクトに対する規制当局の監視が強まるにつれ、ブレイブのようなプロジェクトは、トークンが実社会で有用であり、ただ単に数百万ドルを秒単位で稼ぐ方法ではないことを実証するプレッシャーにさらされている。

ブレイブは広告とトラッキングをブロックするブラウザーとして2016年ごろから利用者を集め、600万人近いユーザーを抱える。広告を見ない代わりに、Webサイトの運営者やユーチューバーへ直接、BATを寄付ができるのも特徴だ。4月24日からは新たに、ユーザーはデスクトップに通知される広告を見ることで、広告収入を得られるようになった。広告表示を選択した場合、広告売上の70%をユーザーの暗号通貨ウォレットへ分配するという。ブレンダン・アイク最高経営責任者(CEO)は、ユーザーが受け取る報酬は毎月約5ドル程度になる可能性があるとワイアード誌に語っているコインデスクによると、ブレイブ・ソフトウェアは最終的には、ブログやサイト単位ではなく、個々の投稿に対して少額決済ができるツールも計画中だという。

暗号通貨の世界で型にはまったものはほとんどないが、BATもまた例外ではない。当初はユーザーが稼いだBATを引き出すことをできず、パブリッシャーへの支払いのためだけに利用できるようにする見通しだ。引き出しを許可する前に、ブレイブ・ソフトウェアはユーザーの身元確認のためのプロセスを確立する必要があるからだ。その間、BATの価値は変動し続けることになる。 過去1年間の価格変動幅は、およそ13セントから50セント以上となっている。

ブレイブを使うのに独自のトークンが本当に必要なのだろうか? 規制当局は、本当にBATを有価証券と見なすのだろうか? ユーザーとパブリッシャーは、不安定な暗号通貨での支払いと保有を本当に希望しているのだろうか? このような頭の痛い疑問は、ICOによって資金を調達したプロジェクトに付き物だ。だが、ここにあるのはより大きなアイデアだ。ブロックチェーンを利用して、ユーザーがパブリッシャーや広告主と新たな金銭的関係を確立できれば、何らかの形でブロックチェーンに固執する十分な理由になりそうだ。

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