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スペシャリストたちの組織を次のステージへ導くノウハウ

Sansan、セールスフォース、PFUが語る製品連携のパワー

2019年04月04日 11時30分更新

文● 柳谷智宣 編集●大谷イビサ

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SansanとSalesforceを組み合わせれば営業に高い下駄を履かせられる

 最後は「名刺管理の次のステップ SFA+MA+AIで人脈からビジネスを創り出す」というお題のセッション。実際にSansanとSalesforceの両方を導入した事例を元に、どのようなメリットがあるのかを紹介してくれた。講演者はセールスフォース・ドットコムの田崎純一郎氏。

 セールスフォースは、SFAからスタートしたが現在はCRM全般を網羅しているクラウドサービス。売上高は1兆4000億円くらい。2011年からずっと「Forbes The World's Most Innovative Companies(世界で最も革新的な企業)」の1~3位にランクインしている。

 また、SansanはSalesforceのユーザーで、2008年から連携開発を行なっているそう。さらに、2013年からSalesforce Venturesの出資を受けている。

セールスフォース・ドットコム マーケティング本部 プロダクトマーケティングディレクター 田崎純一郎氏

 SansanとSalesforceの両方を使っている2つの事例が紹介された。まずはタイルを販売している60名ほどのRIVIERAは、商業施設のビジネスが多いので長期間のプロジェクトを追いかける必要があるそう。ウェブサイトから飲み込み客や名刺交換した情報をすべてSansanに登録し、その後SalesforceのマーケティングツールであるPardotに連携している。案件が長いので、Sales Cloudで9個のステップに分けて管理しているという。

 manebiは人事系のソリューションを提供しているスタートアップで、以前はSansanのみを使っていたそう。営業が案件の掘り起こしから受注までを一人でやっていたが、インサイドセールスとフィールドセールスの分業体制へ移行する際にSalesforceを導入。そのおかげで前年同月比の月次受注数300%を達成した。

リード獲得からクロージングまでをマネジメントするために両サービスを活用しているmanebiの事例

 次は、Salesforceに加え、Sansanを利用しているSansan自社事例を Sansan事業部 DX推進グループ データソリューションアーキテクト 久永航氏が紹介してくれた。久永氏は2009年にSansanにジョイン。法人営業からカスタマーサクセス部門の立ち上げを経て、直近では社内のIT部門の責任者を担当していた。現在は、最新サービスのデリバリーに携わっているという。

Sansan Sansan事業部 DX推進グループ データソリューションアーキテクト 久永航氏

 Sansanでは、設立4年目となる2011年にマーケティング部門にSalesforceを導入。2017年に営業部門にも拡大し、2018年にはカスタマーサクセス部門でも利用し始めた。

 そのおかげで、マーケ部ではリードの流入経路の属性を可視化でき、客観データを見ることにより実績を振り返る精度が向上、施策のPDCAを高速に回せるようになった。営業部では、KPIの測定が簡単になるのですぐにフィードバックできるようになり、効率的な営業推進を実現。ナレッジマネジメントにより、新人の立ち上げも短時間でできるようになった。

 ここ数年、Sansanは積極的に広告宣伝投資を行ない、リードソースは数十倍に膨れ上がっている。そのため、従来の流入元の管理だけでは、顧客の状態を計り知れなくなってきているという。そこで、SansanではSalesforceなどで管理している顧客データの二重登録を防ぎつつ、データをリッチ化して名寄せ工数を削減できる新機能「顧客データHub」を開発したという。

「Sansan事業の情報が一元化されたことで、新しく入ってきたリードを適切な人に振り分けていくことが自動でできるようになりました。カスタマーサクセス部門もSalesforceに統合したことにより、既存のお客さまの契約などの情報を管理ながらフォローできるようになっています」(久永氏)

Sansanでは、Salesforceを軸に見込み客の見極めから利用促進までを管理している

 「名刺管理の次のステップ」ということで、セールスフォース・ドットコム マーケティング本部 プロダクトマーケティング マネージャー 秋津望歩氏がデモを行なってくれた。

「SalesforceとSansanはシームレスに連携しています。顧客データHubを使えば、名刺のデータは取引先責任者もしくはリードに自動でマッチングされます。つねにデータは最新で鮮度の高い状態になっており、重複を発見すれば一人の人として紐付きますし、異動や昇進で役職が変わっても自動で連携してくれます」(秋津氏)

セールスフォース・ドットコム マーケティング本部 プロダクトマーケティング マネージャー 秋津望歩氏

 デモでは、Sansanが提示する情報を選択するだけで名寄せしているところを見せてくれた。日本語は名寄せが難しい言語なのだが、AIの力でスムーズに処理している。

AIが登録した人物にスコアを付けてくれるので、効率的に営業活動を行なえる

 次に、Salesforceの見込み客画面に移ると、先ほど名寄せした人物にAIがスコアを付けている。その人が、自分たちの企業をどういう風に見ていたか、メールは開いているのか、といったデータがわかるのだ。MAツールでは、1時間前にウェブサイトを見てくれたとか、イベントページに登録してくれた、といったことまで把握できる。

「データを蓄積していけばAIのパワーを使えます。例えば、SalesforceのAIが営業マンの売り上げ予測をしてくれます。過去の案件のデータと営業マンごとの特徴をAIが学習したうえ、アドバイスをしてくれます。営業マンは絶対行けると言っているが、AIはちょっときついいんじゃないかと言うことがありますし、その逆もあります。その情報をマネージャーが確認した上で、未来を変えるための行動を取ることができます」(秋津氏)

 ビジネスでは人脈を管理することは目的ではなく、その出会いをビジネスにつなげていくかが重要。SansanとSalesforceの強力な連携があれば、それを実現できる、と秋津氏は締めた。

 最後に田崎氏は、「営業マネージャーは手帳を使ったマネジメントから、ツールを使ったマネジメントに変える必要があります。我々自身が、20年間で3万数千人の会社になり、1兆4000億円を売り上げるまでになったノウハウをすべて開示しています。「うちの営業を鍛えなければいけない」というのは、敗因を担当営業のせいにしていた可能性があります。しかし、仕組みをきちんと作れば、営業に高い下駄を履かせて現場に向かわせることができます。これが会社成長のためには重要なのです」とSalesforceを推してセッションを締めた。

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